石川いしかわ 奥おく能登のと地域ちいき4市町しちょう 7月つき時点じてんの失業しつぎょう給付きゅうふ 去年きょねん同月どうげつ比ひ3.75倍ばいに

石川いしかわ労働ろうどう局きょくによりますと、地震じしんで大おおきな被害ひがいを受うけた、奥おく能登のと地域ちいきの輪島わじま市し、珠洲すず市し、能登のと町まち、穴水あなみず町まちの4つの市しと町まちで雇用こよう保険ほけんの失業しつぎょう給付きゅうふを受うけている人ひとは、7月つきの時点じてんで867人にんとなっています。

これは去年きょねんの同おなじ月つきの231人にんと比くらべて3.75倍ばいと4倍ばい近ちかくに上のぼっています。

奥おく能登のと地域ちいきで仕事しごとを求もとめている人ひと1人にんに対にたいして、企業きぎょうから何なん人にんの求人きゅうじんがあるかを示しめす有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつは、働はたらく場所ばしょごとに集計しゅうけいした「就業しゅうぎょう地ち別べつ」で、7月つきは1.47倍ばいで、去年きょねんの同おなじ月つきの1.71倍ばいと比くらべて0.24ポイント低下ていかしています。

石川いしかわ労働ろうどう局きょくによりますと、店舗てんぽの営業えいぎょう再開さいかいや建物たてものの解体かいたい工事こうじが増ふえていることなどから、小売こうり業ぎょうや建設けんせつ業ぎょうなどでは求人きゅうじんが増加ぞうかする傾向けいこうがみられますが、その傾向けいこうは一部いちぶの業種ぎょうしゅにとどまっているということです。

このため、再さい就職しゅうしょくの活動かつどうを続つづける人ひとがこれまでに経験けいけんがあったり希望きぼうしたりする業種ぎょうしゅの求人きゅうじんが少すくないケースがあり、再さい就職しゅうしょくまで時間じかんがかかる可能かのう性せいがあるといいます。

ハローワークでは被災ひさい者しゃの再さい就職しゅうしょくを支援しえんするため職員しょくいんの数かずを増ふやすなど体制たいせいを強化きょうかしています。

地震じしんで仕事しごと失うしなった男性だんせい 7月つきから再さい就職しゅうしょくの活動かつどう

輪島わじま市し門前もんぜ町まちの42歳さいの男性だんせいは、鶏卵けいらんの生産せいさんを行おこなう会社かいしゃで正せい社員しゃいんとして働はたらいていましたが、勤務きんむ先さきだった輪島わじま市しの養鶏ようけい場じょうが地震じしんで大おおきな被害ひがいを受うけたため、ことし4月つきに仕事しごとを失うしないました。

男性だんせいは養鶏ようけい場じょうで卵たまごの仕分しわけ作業さぎょうを担当たんとうしていたということで、会社かいしゃからは養鶏ようけい場じょうの建物たてものが壊こわれるなどしたため事業じぎょうの継続けいぞくが難むずかしくなったことの説明せつめいを受うけたといいます。

失業しつぎょうしたあとすぐに再さい就職しゅうしょくの活動かつどうを始はじめることはできませんでした。

高齢こうれいの両親りょうしんと3人にんで暮くらす木造もくぞう2階かい建だての自宅じたくが壁かべがはがれるなど半壊はんかいの被害ひがいを受うけたほか、家いえの中なかの家具かぐや日にち用品ようひんなどが散乱さんらんする状態じょうたいになったため、片かたづけ作業さぎょうなどを優先ゆうせんする必要ひつようがあったためです。

そしてことし7月つきからハローワークに通かようなど再さい就職しゅうしょくに向むけた活動かつどうを始はじめました。

地元じもとで収入しゅうにゅうが安定あんていした正せい社員しゃいんの仕事しごとを見みつけたいと思おもっています。

8月つき27日にちに輪島わじま市しで開ひらかれた企業きぎょう説明せつめい会かいに参加さんかしましたが、求人きゅうじんは思おもったよりもパートやアルバイトが多おおいと感かんじたといいます。

また正せい社員しゃいんの求人きゅうじんの職種しょくしゅをみると、建設けんせつ業ぎょうや警備けいび業ぎょうなどが目立めだっていて、希望きぼうする販売はんばいや工場こうじょう内ないでの作業さぎょうなどの仕事しごとが見みつからないといいます。

雇用こよう保険ほけんの失業しつぎょう給付きゅうふを受うけていますが、生活せいかつを安定あんていさせるためにもできるだけ早はやく再さい就職しゅうしょくしたいと話はなします。

男性だんせいは「パートやアルバイトの求人きゅうじんはあるみたいですけど、できればフルタイムの正せい社員しゃいんとして働はたらきたいです。家計かけいが厳きびしい状況じょうきょうをひしひしと感かんじるので、早はやく働はたらきたいです」と話はなしています。

スーパー 営業えいぎょう再開さいかいも人手ひとで不足ふそく 採用さいようにも結び付むすびつかず

能登のと半島はんとう地震じしんの被災ひさい地ちでは、被害ひがいを受うけた企業きぎょうが営業えいぎょうや事業じぎょうを再開さいかいする動うごきが広ひろがっています。

一方いっぽうで、地震じしんの影響えいきょうで従業じゅうぎょう員いんが減少げんしょうするなどして人手ひとで不足ふそくとなるケースが相次あいついでいます。

石川いしかわ県けん輪島わじま市しのショッピングセンター「ワイプラザ輪島わじま」にあるスーパーマーケットは、地震じしんで天井てんじょうの板いたが落おちるなどの大おおきな被害ひがいを受うけ、営業えいぎょうを休止きゅうししていましたが、復旧ふっきゅう作業さぎょうが進すすみ、ことし4月つきに再開さいかいしました。

しかし、スーパーで働はたらく正せい社員しゃいんやパートなどは地震じしんの前まえは96人にんいましたが、被災ひさいしたため仕事しごとを続つづけられなくなった人ひとが相次あいつぎ、およそ80人にんに減少げんしょうしました。

また、レジでは地元じもとの専門せんもん学校がっこう生せいがアルバイトとして働はたらいていましたが、地震じしんの影響えいきょうで学校がっこうの校舎こうしゃが県けん外がいに移転いてんしたため、仕事しごとを続つづけられなくなりました。

このため、営業えいぎょうは再開さいかいしたものの、特とくに夕方ゆうがたから夜間やかんの時間じかん帯たいの人手ひとでが足たりないため、営業えいぎょう時間じかんは地震じしんの前まえより1時間じかん短縮たんしゅくして午後ごご7時じまでとしています。

地元じもとの住民じゅうみんから夜間やかんの営業えいぎょうを求もとめる声こえがあり、通常つうじょうの営業えいぎょう時間じかんに戻もどしてほしいという要望ようぼうも出でていますが、簡単かんたんではないと考かんがえています。

このスーパーでは、営業えいぎょうを再開さいかいしたことし4月つきからハローワークなどに求人きゅうじんを出だしていますが、応募おうぼが少すくなく採用さいようがほとんどできない状況じょうきょうが続つづいているといいます。

このスーパーも8月つき27日にちに輪島わじま市しで開ひらかれた企業きぎょう説明せつめい会かいに参加さんかしました。

レジなど担当たんとうするパート従業じゅうぎょう員いんを8人にん募集ぼしゅうしたところ、2人にんが仕事しごとに前向まえむきな考かんがえを示しめしましたが、採用さいようには結び付むすびつかなかったということで、人手ひとで不足ふそくが解消かいしょうできる見通みとおしは立たっていません。

「ワイプラザ輪島わじま」の浄きよし琳坊ぼう隆たかし支配人しはいにんは「長ながく働はたらける地元じもとの人ひとの採用さいようを進すすめることで、できるかぎり早はやく営業えいぎょう時間じかんを元もとに戻もどし、被災ひさい地ちの復興ふっこうにつなげたい」と話はなしていました。

“片かたづけや解体かいたい終おわらないため 再さい就職しゅうしょくへの活動かつどうできず”の声こえ

ハローワークが8月つき27日にちに輪島わじま市しで開ひらいた説明せつめい会かいには、仕事しごとを求もとめる30人にん以上いじょうが集あつまり、満席まんせきになりました。

小売こうり店てんや宅配たくはい事業じぎょう者しゃなど5つの企業きぎょうが参加さんかし、このうち福井ふくい県けんのドラッグストアチェーンは、輪島わじま市しなど6つの店舗てんぽで商品しょうひんの棚卸たなおろしやレジを担当たんとうするパートなどを募集ぼしゅうしていると説明せつめいしていました。

「ハローワーク輪島わじま」の疋島しま信也しんや所長しょちょうは「仕事しごとを失うしなった被災ひさい者しゃからは、自宅じたくの片かたづけ作業さぎょうや解体かいたいが終おわらないため、再さい就職しゅうしょくに向むけた活動かつどうができないという声こえも多おおい。失業しつぎょうが長期ちょうき化かしないよう支援しえんを続つづけていきたい」と話はなしています。

専門せんもん家か “失業しつぎょうの増加ぞうかと企業きぎょうの人手ひとで不足ふそく 2つの問題もんだいが同時どうじ発生はっせい”

被災ひさい地ちの経済けいざいの復興ふっこうに詳くわしい、関西かんさい大学だいがく社会しゃかい安全あんぜん学部がくぶの永松ながまつ伸しん吾われ教授きょうじゅは、能登のと半島はんとう地震じしんの被災ひさい地ちの雇用こようをめぐっては、「失業しつぎょうの増加ぞうか」と「企業きぎょうの人手ひとで不足ふそく」という2つの問題もんだいが同時どうじに起おきていて、対策たいさくが重要じゅうようになっていると分析ぶんせきしています。

永松ながまつ教授きょうじゅは、仕事しごとを探さがす被災ひさい者しゃの希望きぼうと企業きぎょうのニーズが合あわない、いわゆる雇用こようの「ミスマッチ」の解消かいしょうを進すすめることが重要じゅうようだとしています。

そのうえで「能登のと地方ちほうの企業きぎょうがより付加ふか価値かちをつけてより多おおくの雇用こようを生み出うみだせるように体力たいりょくをつけていくことも考かんがえないといけない」と述のべて、雇用こようの創出そうしゅつや継続けいぞく的てきな賃上ちんあげが実現じつげんできる環境かんきょうの整備せいびが欠かかせないとしています。

また、被災ひさい地ちの雇用こよう対策たいさくについては「被災ひさい者しゃの支援しえんに多おおくの人手ひとでが必要ひつようだと思おもうので、ボランティアでなくて、被災ひさいした住民じゅうみんに働はたらいてもらう取り組とりくみを進すすめるべきだと思おもう。例たとえば仮設かせつ住宅じゅうたくで暮くらす住民じゅうみんを見守みまもり声ごえがけを行おこなうことや、困こまりごとに対にたいして対応たいおうする仕事しごとが考かんがえられる。被災ひさい者しゃを雇用こようするための財政ざいせい支援しえんを国くにが行おこなうことが重要じゅうようだ」と述のべました。

永松ながまつ教授きょうじゅは、被災ひさい地ちの雇用こよう対策たいさくが進すすまなかった場合ばあいの今後こんごの影響えいきょうについて「失業しつぎょう者しゃが仕事しごとを求もとめて能登のと地方ちほうから離はなれることで、人口じんこう減少げんしょうがさらに進すすむおそれがある。一方いっぽう、企業きぎょうも人手ひとでの確保かくほが難むずかしいため、事業じぎょうを継続けいぞくができなくなり、さらに雇用こようが減へるという負まけのスパイラルが起おこる可能かのう性せいがある」と指摘してきしています。

石川いしかわ県けんによりますと、能登のと半島はんとう地震じしんで大おおきな被害ひがいを受うけた石川いしかわ県けん奥おき能登のと地域ちいきの4つの市しと町まちでは、1月つき1日にちから8月つき1日にちまでの7か月かげつ間かんで人口じんこうが6.4％減少げんしょうしていて、ふるさとを離はなれてほかの地域ちいきへ移うつる動うごきに歯止はどめがかかっていません。