自転車じてんしゃの交通こうつう違反いはん取締とりしまり 反則はんそく金きん課かす「青あお切符きっぷ」導入どうにゅうへ 警察庁けいさつちょう

自転車じてんしゃの悪質あくしつな交通こうつう違反いはんが後ごを絶たたないことから、警察庁けいさつちょうは、反則はんそく金きんを課かすいわゆる「青あお切符きっぷ」による取締とりしまりを導入どうにゅうする方針ほうしんを固かためました。

警察庁けいさつちょうによりますと、全国ぜんこくの交通こうつう事故じこの発生はっせい件数けんすうは年々ねんねん、減少げんしょうしている一方いっぽうで、自転車じてんしゃが関係かんけいする事故じこの占しめる割合わりあいは増加ぞうか傾向けいこうが続つづいているうえに、去年きょねん、自転車じてんしゃが関係かんけいした死亡しぼう・重傷じゅうしょう事故じこのうち、およそ4分ぶんの3で自転車じてんしゃに違反いはん行為こういがあったということです。

こうした状況じょうきょうを受うけて、警察庁けいさつちょうは、有識者ゆうしきしゃ会議かいぎで取締とりしまりのあり方ありかたなどについて検討けんとうした結果けっか、自転車じてんしゃにも自動車じどうしゃやオートバイのように反則はんそく金きんを課かすいわゆる「青あお切符きっぷ」による取締とりしまりを導入どうにゅうする方針ほうしんを固かためました。

「青あお切符きっぷ」による取締とりしまりは、16歳さい以上いじょうの利用りよう者しゃに対にたいし100余あまりの違反いはんが対象たいしょうで、中なかでも▼信号しんごう無視むしや▼一時いちじ不ふ停止ていし、それに▼携帯けいたい電話でんわを使用しようしながらの運転うんてんなど重大じゅうだいな事故じこにつながるおそれのある違反いはんを重点的じゅうてんてきに取り締とりしまる方針ほうしんです。

警察庁けいさつちょうは来年らいねんの通常つうじょう国会こっかいに道路どうろ交通こうつう法ほうの改正かいせい案あんを提出ていしゅつする方針ほうしんで、身近みぢかな交通こうつう手段しゅだんの交通こうつう違反いはんの取締とりしまりが大おおきく変かわることになります。

取締とりしまりはどう変かわる

現在げんざい、自転車じてんしゃの交通こうつう違反いはんの取締とりしまりの多おおくは、交通こうつうルールが書かかれたカードを違反いはん者しゃに見みせる「警告けいこく」などが行おこなわれていて、罰則ばっそくは伴ともないません。

去年きょねんは全国ぜんこくでおよそ131万まん件けんありました。

一方いっぽう、悪質あくしつな違反いはんには交通こうつう切符きっぷ、いわゆる「赤切符あかぎっぷ」が交付こうふされ、刑事けいじ罰ばつの対象たいしょうとして検察庁けんさつちょうに送おくられることになっていて、去年きょねん、全国ぜんこくで「赤切符あかぎっぷ」などで検挙けんきょされたのは2万まん4549件けんでしたが、その多おおくは起訴きそされず、罰則ばっそくが適用てきようされるケースは少すくないということです。

「青あお切符きっぷ」取締とりしまりの対象たいしょうとなるのは

では、今後こんごはどうなるのか。

まずは年齢ねんれいです。

「青あお切符きっぷ」での取締とりしまりの対象たいしょうとなる利用りよう者しゃは16歳さい以上いじょうとなります。

最低さいてい限げんの交通こうつうルールを知しっていると考かんがえられることや、原はら付つき免許めんきょなどを取得しゅとくできる年齢ねんれいであること、そして、電動でんどうキックボードを運転うんてんできる年齢ねんれいであることなどが考慮こうりょされました。

次つぎに、対象たいしょうとなる違反いはんです。

「青あお切符きっぷ」の対象たいしょうとなるのは100余あまりの違反いはんで、このうち重点的じゅうてんてきに取り締とりしまるのは事故じこにつながるおそれのある重大じゅうだいな違反いはん行為こういとしています。

具体ぐたい的てきには

▼信号しんごう無視むし、

▼一時いちじ不ふ停止ていし、

▼右側みぎがわ通行つうこうなどの通行つうこう区分くぶん違反いはん、

▼自転車じてんしゃの通行つうこうが禁止きんしされている場所ばしょを通とおること、

▼遮断しゃだん機きが下おりている踏切ふみきりに立ち入たちいること、

▼例外れいがい的てきに歩道ほどうを通行つうこうできる場合ばあいでも徐行じょこうなどをしないこと、

▼ブレーキが利きかない自転車じてんしゃに乗のること、

▼携帯けいたい電話でんわを使つかいながら運転うんてんすること、

▼傘かさを差さしたりイヤホンを付つけたりしながら運転うんてんするなど都道とどう府県ふけんの公安こうあん委員いいん会かいで定さだめられた順守じゅんしゅ事項じこうに違反いはんすること、が対象たいしょうとなります。

「赤切符あかぎっぷ」刑事けいじ罰ばつの対象たいしょうは

一方いっぽう、▼酒さけ酔よい運転うんてんや酒気しゅき帯おび運転うんてんなどの飲酒いんしゅ運転うんてん、▼携帯けいたい電話でんわを使用しようしながら事故じこにつながるような危険きけんな運転うんてんをした場合ばあいは、これまでどおり、「赤切符あかぎっぷ」が交付こうふされ、刑事けいじ罰ばつの対象たいしょうとなります。

取締とりしまりは通勤つうきんや通学つうがくの時間じかん帯たいや事故じこが増ふえる薄暮はくぼ時間じかん帯たいに自転車じてんしゃが多おおい駅えきの周辺しゅうへんや過去かこに自転車じてんしゃの事故じこが発生はっせいした場所ばしょなどで重点じゅうてん的てきに行おこなわれることが想定そうていされています。

警察官けいさつかんの警告けいこくに従したがわずにこうした違反いはん行為こういを続つづけた場合ばあいや事故じこにつながるような危険きけんを生しょうじさせた場合ばあいに「青あお切符きっぷ」を交付こうふし、取締とりしまりを行おこなう方針ほうしんです。

背景はいけいには “事故じこの増加ぞうか”と“順守じゅんしゅ意識いしきの差さ”

「青あお切符きっぷ」による取締とりしまりを行おこなう反則はんそく金きん制度せいどを導入どうにゅうする背景はいけいには、交通こうつう事故じこ全体ぜんたいの件数けんすうが減少げんしょう傾向けいこうにある中なかで、自転車じてんしゃの交通こうつう違反いはんが重大じゅうだいな事故じこにつながるケースが相次あいついでいることがあります。

警察庁けいさつちょうによりますと、全国ぜんこくの交通こうつう事故じこの発生はっせい件数けんすうは毎年まいとし、減少げんしょうしている一方いっぽうで、自転車じてんしゃが関係かんけいする交通こうつう事故じこは去年きょねん、6万まん9985件けんで、2年ねん連続れんぞくで増加ぞうかしました。

ことしも11月つきまでに自転車じてんしゃが関係かんけいする事故じこは6万まん5397件けん発生はっせいしていて、去年きょねんの同おなじ時期じきより2000件けん余あまり多おおくなっています。

さらに、去年きょねん、全国ぜんこくで起おきた自転車じてんしゃが関係かんけいする死亡しぼう・重傷じゅうしょう事故じこ7107件けんのうち73.2％にあたる5201件けんで自転車じてんしゃ側がわに前方ぜんぽう不ふ注意ちゅういや信号しんごう無視むし、一時いちじ不ふ停止ていしなどの交通こうつう違反いはんが確認かくにんされたということです。

また、警察庁けいさつちょうが全国ぜんこくのおよそ5000人にんを対象たいしょうにインターネットで行おこなったアンケートでは▼「自転車じてんしゃ乗車じょうしゃ中ちゅうに携帯けいたい電話でんわを使用しようしてはいけない」という交通こうつうルールを正ただしく認識にんしきしている人ひとは90％を超こえていた一方いっぽうで▼これを守まもれていると答こたえた人ひとは67％にとどまるなど交通こうつうルールを知しっていても守まもれていない人ひとが一定いってい数すういるとしています。

重大じゅうだいな事故じこにつながる悪質あくしつな自転車じてんしゃの違反いはんを減へらすため、実効じっこう性せいのある取締とりしまりや効果こうか的てきな啓発けいはつが喫緊きっきんの課題かだいとなっています。

専門せんもん家か「その違反いはんが危あぶないと気付きづかせてくれる機会きかい」

自転車じてんしゃに関かかわる政策せいさくの調査ちょうさ・提言ていげんなどをしているNPO法人ほうじん「自転車じてんしゃ活用かつよう推進すいしん研究けんきゅう会かい」の理事りじ長ちょうで、警察庁けいさつちょうの有識者ゆうしきしゃ検討けんとう会かいで委員いいんを務つとめる小林こばやし成基せいきさんは「自転車じてんしゃは何なにをしてもいいと勘違かんちがいしている人ひとや、車くるま用ようの信号しんごうや標識ひょうしきに従したがわなくてもいいと思おもっている人ひとが増ふえていると感かんじる。反則はんそく金きんの制度せいどを導入どうにゅうすることで、これまでよりも注意ちゅういされることが多おおくなるかもしれないが、それは、その違反いはんが危あぶないことなんだと気付きづかせてくれる機会きかいなので、事故じこが減へることを期待きたいしたい」と話はなしました。

その上うえで、自転車じてんしゃの交通こうつう違反いはんの背景はいけいには、路上ろじょう駐車ちゅうしゃなど道路どうろの状況じょうきょうにも課題かだいがあると指摘してきし「自転車じてんしゃが安心あんしんして快適かいてきに走はしれる環境かんきょうづくりをすることが大事だいじだと思おもう。警察けいさつの取締とりしまりと環境かんきょう整備せいびは両輪りょうりんだと思おもうので、うまく連携れんけいしながら進すすむことを期待きたいする」と述のべました。