大だい相撲すもう九州きゅうしゅう場所ばしょ 大関おおぜき・霧島きりしまが優勝ゆうしょう ことし春場所はるばしょ以来いらい2回かい目め

九州きゅうしゅう場所ばしょは14日にち目めを終おえて

▽2敗はいで霧島きりしまが単独たんどくトップに立たち

▽星ほしの差さ1つの3敗はいで平幕ひらまくの21歳さい、熱海あたみ富士ふじが追おう展開てんかいとなり、優勝ゆうしょう争あらそいは2人にんに絞しぼられていました。

千秋楽せんしゅうらくの26日にち、先さきに取組とりくみがあった熱海あたみ富士ふじは関脇せきわけ・琴きんノ若わかと対戦たいせんし「引き落ひきおとし」で敗やぶれたため、この時点じてんで

そして霧島きりしまは結むすびの一番いちばんで大関おおぜき・貴き景勝けいしょうと対戦たいせんし、立ち合たちあいで強つよく当あたって相手あいての上体じょうたいを起おこしたあと、タイミングよく突き落つきおとして勝かち13勝しょう2敗はいとして、土俵どひょうを締しめました。霧島きりしまが幕内まくうちで13勝しょうをあげたのは、これが初はじめてです。

霧島きりしまは大関おおぜきに昇進しょうしんして3場所ばしょ目めとなる今こん場所ばしょ、4日にち目めに大関おおぜき経験けいけん者しゃの高安たかやす、6日にち目めに平幕ひらまくの豪ごうノ山やまに敗やぶれたものの、その後そのごは磨みがいてきた立ち合たちあいからの突き放つきはなしや持ち前もちまえの素早すばやい動うごきを生いかして白星しろぼしを重かさねました。

終盤しゅうばん戦せんに入はいり、まわしを取とる相撲すもうが増ふえてからは、さらに安定あんてい感かんが増まし、12日にち目めには関脇せきわけ・琴きんノ若わか、14日にち目めには熱海あたみ富士ふじと2敗はいで並ならんでいた力士りきしに勝かって単独たんどくトップに立たちました。

今こん場所ばしょも照あきらノ富士ふじが休場きゅうじょうし、初日しょにちから横綱よこづな不在ふざいとなる中なか、霧島きりしまが大関おおぜきとして若手わかての挑戦ちょうせんを退しりぞけ、昇進しょうしん後ご初はじめての優勝ゆうしょうを果はたしました。

◆霧島きりしまとは

霧島きりしまはモンゴル出身しゅっしんの27歳さい。左ひだり四よっつに加くわえて前まえまわしを取とっての寄より、さらに強きょうじんな足腰あしこしを生いかした粘り強ねばりづよい相撲すもうが持ち味もちあじです。

モンゴルでは遊牧民ゆうぼくみんとしてゲルと呼よばれる移動いどう式しきの住居じゅうきょで生活せいかつし、少年しょうねん時代じだいは1人にんで馬うまを乗のりこなしていたということで柔道じゅうどうやモンゴル相撲すもうなどにも取り組とりくみました。

相撲すもうの経験けいけんはなく体重たいじゅうは70キロほどでしたが来日らいにちしてから陸奥むつ部屋へやに入門にゅうもんして平成へいせい27年ねん夏場なつば所しょの前ぜん相撲すもうで初はつ土俵どひょうを踏ふむと、その年としの九州きゅうしゅう場所ばしょで三さん段だん目めで優勝ゆうしょうを果はたしました。

その後そのご、幕下まくしたでは左ひだりひざのけがなどに苦くるしみましたが師匠ししょうで元もと大関おおぜき・霧島きりしまの陸奥みちのく親方おやかたをはじめ同おなじモンゴル出身しゅっしんの元もと横綱よこづな、鶴つる竜りゅう親方おやかたからも指導しどうを受うけて体からだ作づくりを進すすめながら相撲すもうの技術ぎじゅつを学まなんで着実ちゃくじつに実力じつりょくを伸のばしました。

そして、初はつ土俵どひょうからおよそ5年ねんで新しん入幕にゅうまくを果はたすと、次つぎの年としの九州きゅうしゅう場所ばしょでは新しん三さん役やくとなる小結こむすびに昇進しょうしん。ことしの初はつ場所ばしょでは三さん役やくで初はじめての2桁けたとなる11勝しょうを挙あげ、新しん関脇せきわけとして臨のぞんだ春場所はるばしょでは12勝しょう3敗はいで並ならんだ大栄おおえ翔しょうとの優勝ゆうしょう決定けってい戦せんを制せいして初はつ優勝ゆうしょうを果はたしました。

そして、5月つきの夏場なつば所しょでも11勝しょうをあげ三さん役やくを務つとめて直近ちょっきん3場所ばしょでの勝ち星かちぼしが34勝しょうと大関おおぜき昇進しょうしんの目安めやすとされる33勝しょうを超こえ、場所ばしょ後ごの臨時りんじ理事りじ会かいで正式せいしきに大関おおぜき昇進しょうしんが決きまりました。

しこ名しこなを「霧きり馬山まやま」から師匠ししょうの陸奥みちのく親方おやかたと同おなじ「霧島きりしま」に改名かいめいし、新しん大関おおぜきとして臨のぞんだ名古屋なごや場所ばしょはけがのため、6勝しょう7敗はい2日にちの休やすみに終おわりましたが、9月つきの秋場所あきばしょは勝ち越かちこして角番かどばんを脱出だっしゅつしました。

今こん場所ばしょは西にしの大関おおぜきとして臨のぞみ、力強ちからづよい寄よりと動うごきのよさで白星しろぼしを重かさねてきました。

【解説かいせつ】たゆまぬ努力どりょくで2回かい目めの賜杯しはい

稽古けいこ熱心ねっしんなことで知しられる霧島きりしまは大関おおぜきに昇進しょうしんしてもなお、たゆまぬ努力どりょくを続つづけ、2回かい目めの賜杯しはいを手てにしました。

今こん場所ばしょに向むけては大関おおぜき経験けいけん者しゃの正代しょうだいが所属しょぞくする時津とぎつ風ふう部屋へやに連日れんじつ、出稽古でげいこに赴おもむき、関脇せきわけ・若わか元春もとはるや大栄おおえ翔しょうなどを相手あいてに精力せいりょく的てきな稽古けいこを行おこないました。ある日ひの稽古けいこでは終おわってみれば41番ばん、実じつに55分間ふんかん、相撲すもうをとり続つづけました。

それでも稽古けいこ後ごにはと語かたり、努力どりょくを惜おしまない姿勢しせいがことばにもにじみ出にじみでていました。

稽古けいこ十じゅう分ふんで臨のぞんだ今こん場所ばしょでしたが、前半ぜんはん戦せんで2敗はいを喫きっするなど順調じゅんちょうとはいえないスタートを切きりました。それでも「自分じぶんの相撲すもうを取とる」「1日にち一番いちばん」とみずからの相撲すもうに向き合むきあい続つづけ、徐々じょじょに調子ちょうしを上あげていきました。

特とくに、終盤しゅうばん戦せんにかけては、土俵どひょう上じょうでの霧島きりしまらしさが発揮はっきされました。

11日にち目めの関脇せきわけ・若わか元春もとはるとの一番いちばんでは、互たがいに得意とくいとする左ひだり四よっつで組み合くみあったあと、どんどん前まえに出でて寄り切よりきり。12日にち目め、2敗はいでトップに並ならんでいた関脇せきわけ・琴きんノ若わかと対戦たいせんでは、立ち合たちあいで右みぎの下手へたは許ゆるしたものの、まわしを引ひいて頭あたまをつける霧島きりしまらしい攻せめで琴きんノ若わかに十分じゅうぶんな形かたちを作つくらせませんでした。そして、最後さいごは、力強ちからづよく寄り切よりきってみせました。

翌日よくじつの関脇せきわけ・大栄おおえ翔しょうとの対戦たいせんでは、強烈きょうれつな突つき押おしにも下さがることなく受け止うけとめ、タイミングよくはたきこんでみせました。

そして、14日にち目め、優勝ゆうしょうを争あらそう平幕ひらまくの熱海あたみ富士ふじとの直接ちょくせつ対決たいけつに臨のぞみました。熱海あたみ富士ふじも稽古けいこ熱心ねっしんな力士りきしとして知しられていますが、霧島きりしまは、この取組とりくみに向むけてと気負きおいはありませんでした。

霧島きりしまは立ち合たちあいで熱海あたみ富士ふじの圧力あつりょくを受け止うけとめながら右腕うわんを差さすと、すきを見みて左腕さわんを巻まきかえてもろ差もろざしの体勢たいせいを作つくりました。

そのあとは、体からだが起き上おきあがった熱海あたみ富士ふじを一気いっきに寄り切よりきり、大関おおぜきとして格かくの違ちがいを見みせつけた一番いちばんとなりました。

単独たんどくトップで迎むかえた千秋楽せんしゅうらくの朝あさもしこを踏ふみ、立ち合たちあいの確認かくにんを行おこなうふだんどおりの稽古けいこを行おこなった霧島きりしま。

「緊張きんちょう感かんはどうか」という報道陣ほうどうじんからの問といかけにもとここでも泰然たいぜん自若じじゃくでした。

師匠ししょうで元もと大関おおぜき・霧島きりしまの陸奥みちのく親方おやかたは「今こん場所ばしょだけではなくて、積み重つみかさねて休やすまずやってきているから。今回こんかいも巡業じゅんぎょうに出でて、稽古けいこして、その結果けっかだろう」と目めを細ほそめていました。

鹿児島かごしま県けん出身しゅっしんの師匠ししょうのご当所とうしょでもある九州きゅうしゅう場所ばしょで最高さいこうの結果けっかを出だした霧島きりしま。年間ねんかん最多さいた勝かちも獲得かくとくし、大関おおぜきとしての責任せきにんと存在そんざい感かんを示しめしました。