北海道ほっかいどう・三陸さんりく沖おき後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう 16日にちから運用うんよう 発表はっぴょうなら備そなえを

情報じょうほうの運用うんようは16日にち正午しょうごから始はじまり、3メートル以上いじょうの津波つなみや震度しんど6弱じゃく以上いじょうの揺ゆれなどが想定そうていされている北海道ほっかいどうと青森あおもり県けん、岩手いわて県けん、宮城みやぎ県けん、福島ふくしま県けんそれに茨城いばらき県けんと千葉ちば県けんの、太平洋たいへいよう側がわを中心ちゅうしんとした182市町村しちょうそんが対象たいしょうです。

情報じょうほうが発表はっぴょうされても住民じゅうみんに事前じぜんの避難ひなんなどは呼よびかけず、▽発表はっぴょうから1週間しゅうかん程度ていどは日常にちじょうの生活せいかつを維持いじしつつ、▽津波つなみが想定そうていされるなど迅速じんそくな避難ひなんが必要ひつような場合ばあいにはすぐ行動こうどうできるよう備そなえておくことなどを求もとめるとしています。

また、企業きぎょうや地域ちいきに対にたいしては▽津波つなみや土砂どしゃ災害さいがいのおそれのある場所ばしょでの作業さぎょうを控ひかえるほか▽地域ちいきに住すむ高齢こうれい者しゃへの声こえかけや連絡れんらく手段しゅだんを改あらためて確認かくにんするなどとしています。

内閣ないかく府ふと気象庁きしょうちょうは北海道ほっかいどうや東北とうほくの沖合おきあいや沿岸えんがん部ぶでは地震じしん活動かつどうが活発かっぱつで、情報じょうほうの発表はっぴょうは2年ねんに1回かい程度ていどとなる見込みこみだとしています。

内閣ないかく府ふは「千島ちしま海溝かいこうや日本にっぽん海溝かいこうでは巨大きょだい地震じしんの発生はっせいが切迫せっぱくしている可能かのう性せいが高たかいとされ、1人にんでも多おおくの人命じんめいを救すくうために情報じょうほうの運用うんようを始はじめます。情報じょうほうが出だされたとしても巨大きょだい地震じしんが必かならず発生はっせいするとは限かぎりませんが、住民じゅうみんが適切てきせつな行動こうどうをとれるように周知しゅうちに努つとめていきます」と話はなしています。

原則げんそくとして事前じぜんの避難ひなんは必要ひつようありません。

ただ、発表はっぴょうから1週間しゅうかん程度ていどは日常にちじょうの生活せいかつを維持いじしつつ、津波つなみが想定そうていされるなど迅速じんそくな避難ひなんが必要ひつような場合ばあいにはすぐ行動こうどうできるよう備そなえておくことが求もとめられています。

▽利用りよう客きゃくや従業じゅうぎょう員いんの避難ひなん経路けいろや避難ひなん誘導ゆうどうの手順てじゅんを確認かくにんする、▽病院びょういんや高齢こうれい者しゃがいる施設しせつでは、高たかい階かいに移動いどうするなどより安全あんぜんな場所ばしょで過すごす、▽津波つなみや土砂どしゃ災害さいがいのおそれのある場所ばしょでの作業さぎょう、道路どうろの通行つうこうを控ひかえる、▽勤務きんむ地ちの災害さいがいリスクが高たかい場合ばあいにはテレワークを活用かつようする、▽機械きかいや設備せつびの転倒てんとう防止ぼうし対策たいさくを確認かくにんする、▽重要じゅうような情報じょうほうをバックアップし場所ばしょをわけて保存ほぞんする、▽非ひ常用じょうよう発電はつでん設備せつびと備蓄びちく用ようの燃料ねんりょうを確認かくにんする、▽自治体じちたいとの災害さいがい時じの協定きょうていの内容ないようを確認かくにんするなどです。

一方いっぽう、気象庁きしょうちょうはふだん、震度しんど5強つよ以上いじょうの揺ゆれが観測かんそくされた際さいや津波つなみ警報けいほうや注意報ちゅういほうなどを発表はっぴょうした場合ばあいに、地震じしんから1時間じかん後ごをめどに記者きしゃ会見かいけんを開ひらくなどしてその後そのごの地震じしんへの注意ちゅういを呼よびかけています。

場合ばあいによっては気象庁きしょうちょうなどから2度どの“注意ちゅうい呼よびかけ”が行おこなわれることになりますが、これらはどう違ちがうのでしょうか？気象庁きしょうちょうによりますと最初さいしょの地震じしんからおよそ1時間じかん後ごをめどに開ひらかれる記者きしゃ会見かいけんでは「1週間しゅうかん程度ていどは同どう程度ていどの規模きぼの強つよい揺ゆれを伴ともなう地震じしんが起おきる可能かのう性せいがある」として家具かぐの転倒てんとう防止ぼうしや停電ていでん対策たいさく、ハザードマップで地域ちいきの危険きけんな場所ばしょや避難ひなん場所ばしょの確認かくにんをするほか、万が一まんがいちに備そなえた非常ひじょう持ち出もちだし袋ぶくろの準備じゅんびなどを呼よびかけます。

一方いっぽう、「北海道ほっかいどう・三陸さんりく沖おき後発こうはつ地震じしん注意ちゅうい情報じょうほう」では、同どう程度ていどの規模きぼではなく、「より規模きぼの大おおきい巨大きょだい地震じしんが起おきる可能かのう性せいがある」と気象庁きしょうちょうに加くわえて内閣ないかく府ふが一緒いっしょになって注意ちゅういと防災ぼうさい対応たいおうを呼よびかけます。

現在げんざいの科学かがくでは地震じしんの発生はっせいを予知よちすることはできず、『巨大きょだい地震じしんが必かならず起おきるとは限かぎらない』ということもあり、国くには事前じぜんの避難ひなんは呼よびかけないとしています。

国くにが想定そうていしている「千島ちしま海溝かいこう」の巨大きょだい地震じしんは北海道ほっかいどうの択捉えとろふ島とう沖おきから十勝とかち地方ちほうの沖合おきあいにかけての領域りょういきで起おきる地震じしんを指さします。

ここでは海うみ側がわの太平洋たいへいようプレートが陸りく側がわに沈しずみ込こんでいてその境目さかいめでは過去かこ、▽1952年ねん（昭和しょうわ27年ねん）の「十勝とかち沖おき地震じしん（マグニチュード8.2）」や▽1973年ねん（昭和しょうわ48年ねん）の「根室ねむろ半島はんとう沖おき地震じしん（マグニチュード7.4）」などマグニチュード7クラスやマグニチュード8前半ぜんはんの津波つなみを伴ともなう地震じしんが相次あいついで発生はっせいしました。

さらに、津波つなみによって運はこばれた土砂どしゃなど「津波つなみ堆積たいせき物ぶつ」の調査ちょうさから17世紀せいきにはこれらの領域りょういきが一いち度どにずれ動うごくような巨大きょだい地震じしんが起おき、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいのような高たかい津波つなみが押し寄おしよせたと考かんがえられています。

過去かこおよそ6500年ねん分ぶんの調査ちょうさの結果けっか、こうした規模きぼの巨大きょだい地震じしんは300年ねんから400年ねんの間隔かんかくで発生はっせいしたと考かんがえられ、前回ぜんかいからすでに400年ねん程度ていどが経過けいかしていることから、政府せいふの地震じしん調査ちょうさ委員いいん会かいは「大だい津波つなみをもたらす巨大きょだい地震じしんの発生はっせいが切迫せっぱくしている可能かのう性せいが高たかい」としています。

2011年ねんの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいをもたらした巨大きょだい地震じしんでは南側みなみがわの東北とうほくや茨城いばらき県けんにかけての領域りょういきが一気いっきにずれ動うごきました。

一方いっぽう、国くには北海道ほっかいどうの南みなみの日高ひだか沖おきから岩手いわて県けんの三陸さんりく沖おきにかけての領域りょういきでも津波つなみ堆積たいせき物ぶつの調査ちょうさから17世紀せいきや、12～13世紀せいきなど、300年ねんから400年ねんに一度いちど大だい津波つなみを伴ともなう巨大きょだい地震じしんが発生はっせいしていたことがわかったとしています。

これらの領域りょういきでは17世紀せいきの地震じしんを最後さいごにこうした規模きぼの巨大きょだい地震じしんは発生はっせいしていないとして、国くにの検討けんとう会かいは、「最大さいだいクラスの津波つなみの発生はっせいが切迫せっぱくしている」と指摘してきしています。

ただ、巨大きょだい地震じしんの実像じつぞうはわかっていないことも多おおく、国くには東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいを受うけて現状げんじょうの科学かがく的てきな知見ちけんをベースに最大さいだいクラスの地震じしんや津波つなみを想定そうていしています。

建物たてものは▽津波つなみで約やく7万まん7000棟むね、▽火災かさいで約やく3100棟むね、▽揺ゆれによる倒壊とうかいが約やく1700棟むね▽液状えきじょう化かで約やく1600棟むねなどとあわせて約やく8万まん4000棟むねが全壊ぜんかいするとしています。

被害ひがいが想定そうていされている地域ちいきでは冬ふゆは厳きびしい寒さむさとなります。

津波つなみから逃のがれたものの屋外おくがいで長時間ちょうじかん過すごすなどして低てい体温たいおん症しょうになり、命いのちの危険きけんにさらされるおそれのある人ひとが▽日本にっぽん海溝かいこうで4万まん2000人にん、▽千島ちしま海溝かいこうで2万まん2000人にんに達たっするとしています。

具体ぐたい的てきには▽浸水しんすい域いきにいるすべての人ひとが地震じしんから10分ふんほどで避難ひなんを始はじめるとともに、▽津波つなみ避難ひなんタワーやビルの指定してい、▽防寒ぼうかん機能きのうを備そなえた避難ひなん施設しせつの整備せいび、▽低てい体温たいおん症しょうを防ふせぐための乾かわいた衣類いるいや暖房だんぼう器具きぐなどの備蓄びちく、▽避難ひなん路ろの凍結とうけつや積雪せきせつ対策たいさくなどをとることで、死者ししゃの数かずをおおむね8割わり減へらすことができるとしています。

その結果けっか、青森あおもり港こうでは津波つなみ警報けいほうが発表はっぴょうされた際さいには事業じぎょう者しゃに対にたいして一律いちりつに避難ひなんを求もとめる指針ししんを設もうけていますが、今回こんかいの情報じょうほうで1週間しゅうかんにわたる制限せいげんをかけると経済けいざい活動かつどうに及およぼす影響えいきょうが大おおきいなどとして避難ひなんについて新あらたな指針ししんを設もうけず各社かくしゃそれぞれの基準きじゅんで対応たいおうすることになりました。

国くにの検討けんとう会かいで座長ざちょうを務つとめ、情報じょうほうの内容ないようや伝つたえ方かたについて議論ぎろんを続つづけてきた東京とうきょう大学だいがく大学院だいがくいんの片田かただ敏孝としたか特とく任にん教授きょうじゅは「巨大きょだい地震じしんにつながる可能かのう性せいは100回かいに1回かいあるやなしやという非常ひじょうに不確ふたしかな情報じょうほうであることは事実じじつで、ほとんどの場合ばあい、空振からぶりになってしまう可能かのう性せいが高たかい。一方いっぽう、大おおきな津波つなみを伴ともなう地震じしんが発生はっせいする可能かのう性せいが相対そうたい的てきに高たかまっているのも間違まちがいなく、そうした状況じょうきょうを知しらせる情報じょうほうだ」と話はなしています。

その上うえで片田かただ教授きょうじゅは、情報じょうほうが出だされた際さいに受け取うけとる側がわの行動こうどうによって被害ひがいの回避かいひや軽減けいげんにつながると指摘してきします。

片田かただ教授きょうじゅは東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは巨大きょだい地震じしんが起おきる2日にち前まえにマグニチュード7.3の地震じしんが起おきていたことを例れいに「寝ねるときには近ちかくに非常ひじょう持ち出もちだし品ひんや靴くつを置おくとか避難ひなん経路けいろの確認かくにん、避難ひなん生活せいかつの準備じゅんびなどをしておけば、万が一まんがいち、地震じしんが起おきたときに被害ひがいを少すくなくできる。自分じぶんや家族かぞくの命いのちを守まもるための情報じょうほうとして主体しゅたい的てきな姿勢しせいで対応たいおうしてもらえれば、地域ちいきの安全あんぜん性せいを高たかめることにもつながると理解りかいしてほしい」と話はなしています。