再ふたたび舞まいあがれ！ 飛躍ひやくを目指めざす航空こうくう業界ぎょうかいのいま

10月つきに水際みずぎわ対策たいさくが大幅おおはばに緩和かんわされてから、関西かんさい空港くうこうには朝あさから晩ばんまでスーツケースを持もった人々ひとびとが続々ぞくぞくと降り立おりたち、国際線こくさいせんのロビーは、かつてのにぎわいを徐々じょじょに取り戻とりもどし始はじめています。

世界せかい的てきな感染かんせん拡大かくだいは、航空こうくう業界ぎょうかいに暗くらい影かげを落おとしました。

利用りよう者しゃ数すうは、一時いちじ、感染かんせん拡大かくだい前まえの1％以下いかにまで落ち込おちこみました。

国際線こくさいせんのロビーからは人ひとの姿すがたが消きえ、照明しょうめいも落おとされる、廃墟はいきょのような雰囲気ふんいきすら漂ただよっていました。

感染かんせん拡大かくだい直前ちょくぜんの2020年ねん初はじめにはおよそ2万まん人にんが関西かんさい空港くうこうで働はたらいていましたが、空港くうこう以外いがいの会社かいしゃに出向しゅっこうしたり、コロナ禍かが長期ちょうき化かするなかで離職りしょくしたりする人ひとも相次あいつぎました。

飛行機ひこうきの運航うんこうを支ささえる仕事しごとがしたいという幼おさない頃ころからの夢ゆめを実現じつげんし、やりがいを感かんじていましたが、コロナ禍かで業務ぎょうむが激減げきげん。

西田にしださんは、1年ねん前まえ、空港くうこうでの業務ぎょうむとは全まったく関係かんけいのない外部がいぶの企業きぎょうに出向しゅっこうしました。

西田にしださん

「あんなに大おおきな飛行機ひこうきをみんなで協力きょうりょくして運航うんこうさせることに憧あこがれて、この仕事しごとに就つきました。コロナ禍かで便びんが減へり始はじめると、出勤しゅっきんしても1日にちの稼働かどう時間じかんは4時間じかんとかになって、どんどん仕事しごとがなくなりました。出向しゅっこうはないかなと思おもってたんですけど、自分じぶんが出向しゅっこうすることになり、正直しょうじきびっくりでした」

到着とうちゃくした機体きたいから荷物にもつを降おろして、旅客りょかくが受け取うけとる場所ばしょへ運はこぶ業務ぎょうむにあたっています。

最近さいきんは忙いそがしさが日に日ひにひに増まし、人手ひとで不足ふそくすら感かんじると言いいます。

西田にしださん

「フライトが増ふえてきたことで、荷物にもつの積つみ降おろしはタイトなスケジュールで行おこなう必要ひつようが出でてきました。以前いぜんより勤務きんむ時間じかんも長ながくなっています。忙いそがしくなってきて、人手ひとでは欲ほしいです」

パイロットや客室きゃくしつ乗務じょうむ員いんだけでなく、西田にしださんのようなグランドハンドリングを担になう人ひとがいなくては、飛行機ひこうきの運航うんこうは成り立なりたちません。まさに縁えんの下したの力持ちからもちです。

この会社かいしゃでは、長引ながびくコロナ禍かで、およそ400人にんいた社員しゃいんの4割わりが出向しゅっこうを経験けいけん。1割わりほどが離職りしょくしました。

需要じゅようが回復かいふくし始はじめたここ数すうか月かげつ、会社かいしゃは西田にしださんのように出向しゅっこうしていた人ひとを相次あいついで現場げんばに呼び戻よびもどしていますが、それでも手てが足たりません。

人事じんじ部ぶは毎日まいにちのようにオンラインで説明せつめい会かいを実施じっし。

そこでアピールするのは、「安定あんていしたやりがいのある職場しょくば」だということ。

こうした訴うったえを続つづけることで、多おおい月つきには数すう十じゅう人にんの採用さいようにつながっています。

「コロナ禍かにより、航空こうくう業界ぎょうかいは『安定あんていしない業界ぎょうかいなのではないか』と見みられてしまっているところは、少すくなからずあるのかなと思おもいます。ただ、やはり、人ひとの移動いどうしたいという欲求よっきゅうがなくなることはないということは、ここ最近さいきんの世界せかい的てきな往来おうらいの再開さいかいを見みれば明あきらか。旅行りょこう需要じゅようがなくなることはないと、コロナ禍かで証明しょうめいされたのではないでしょうか。われわれ航空こうくう業界ぎょうかい、旅客りょかく関連かんれんは再ふたたび伸のびていくマーケットだと思おもうので、業界ぎょうかいの魅力みりょくを発信はっしんしながら、人材じんざいの採用さいよう・育成いくせいをしていきたい」

17路線ろせんあった国際線こくさいせんはすべて運休うんきゅう。

去年きょねん、おととしと、2年ねん続つづけて過去かこ最大さいだいの赤字あかじを更新こうしんし、負債ふさいが資産しさんを上回うわまわる「債務さいむ超過ちょうか」の状態じょうたいに陥おちいりました。

その規模きぼは前まえの年度ねんどのおよそ3倍ばいにあたる727億おく円えんに膨ふくらみました。

LCCのビジネスモデルは効率こうりつ性せいを重視じゅうしした「薄利はくり多売たばい」。

さらにピーチ・アビエーションの場合ばあい、拠点きょてんとする関西かんさい空港くうこうが国内こくないでも数少かずすくない24時間じかん運用うんようで、夜中やちゅうの発着はっちゃくも可能かのうです。

これを強つよみに、国内こくない便びんが飛とばない早朝そうちょうや深夜しんやの時間じかん帯たいに国際こくさい便びんを運航うんこうし、限かぎられた数かずの機体きたいで最大限さいだいげんの収益しゅうえきを得えるねらいです。

ピーチ・アビエーションは、世界せかい的てきな往来おうらい再開さいかいの風向かざむきを感かんじると、ことし8月つき以降いこう、韓国かんこく路線ろせんを手始てはじめに、運休うんきゅうしていた路線ろせんを再開さいかい。

ピーチ・アビエーション 航空こうくう事業じぎょう企画きかく室しつ ネットワーク企画きかく部ぶ クオン・キティさん（香港ほんこん出身しゅっしん）

「香港ほんこん人じんの若わかい人ひとの中なかには、日本にっぽんについてのスラングがあるんです。よく日本にっぽんに行いく人ひとは、訪日ほうにちという言い方いいかたではなくて、「帰省きせいする」って言いうんです。私わたしが出身しゅっしん地ちである香港ほんこんに帰かえりたいと思おもうように、香港ほんこん人じんの中なかには、日本にっぽんにまた行いきたいと思おもっている人ひとがいるので、弊社へいしゃの香港ほんこん路線ろせんの復活ふっかつが手軽てがるな“帰省きせい”の一助いちじょになればうれしいです」

さらに12月末げつまつには、タイ バンコクとの路線ろせんを週しゅう6往復おうふくで新あらたに就航しゅうこうさせます。

日本にっぽんから向むかう人ひと、逆ぎゃくに日本にっぽんへ向むかう人ひと、双方そうほうから需要じゅようが高たかい路線ろせんへの参入さんにゅうです。

路線ろせんの利用りよう者しゃをいかにひきつけるか、戦略せんりゃくを練ねるためです。

きらびやかな仏教ぶっきょう寺院じいんや、屋台やたいが軒のきをつらね、ストリートフードが多おおくの人ひとを魅了みりょうするバンコク。日本にっぽんから多おおくの利用りよう客きゃくが見込みこめます。

さらに東南アジアとうなんあじあ有数ゆうすうのハブ空港くうこうであるバンコクから新規しんき路線ろせんを使つかって、多おおくの人ひとに日本にっぽんに来きてもらおうと、現地げんちのPR会社かいしゃと打ち合うちあわせ。

コロナ禍かを経へて、現地げんちでも人気にんきが高たかまっている日本にっぽんへの旅行りょこうで使つかってもらうための、広報こうほう戦略せんりゃくを話し合はなしあいました。

「タイの観光かんこう庁ちょうさんにうかがって、東アジアひがしあじあの副ふく局長きょくちょうから新あたらしいビジネスパートナーとして期待きたいをしていると、身みの引き締ひきしまる言葉ことばをいただきました。タイから関空かんくうに来きてもらって、関空かんくうから国内こくない線せんで日本にっぽん各地かくちへ手軽てがるに旅行りょこうに行いくことができるので、国内線こくないせんと国際線こくさいせんのシナジー効果こうかを最大さいだい化かしたいですね」

ピーチ・アビエーションは、業績ぎょうせき回復かいふくには需要じゅようが見込みこまれる路線ろせんへの参入さんにゅうが重要じゅうようだといいます。

ピーチ・アビエーション 福島ふくしま 志幸しこう 航空こうくう事業じぎょう企画きかく室長しつちょう

「2022年ねんを振り返ふりかえると、初はじめは収入しゅうにゅうとしてはかなり厳きびしい状況じょうきょうでした。その頃ころは黒字くろじにはほど遠ほどとおかったですが、夏なつにはなんとか営業えいぎょう利益りえきをあげられるようになってきました。業績ぎょうせきを急きゅう回復かいふくして、2023年ねんをことしよりいい年としにするためには、コロナ前まえに運航うんこうしていた既存きそん路線ろせんの再開さいかいだけを見みていてはだめで、新規しんき路線ろせんもチャレンジしていくのが、一番いちばんはやく回復かいふくできる戦略せんりゃくだと思おもっています」