初の1京円突破! ミセスワタナベ来年はどう動く【経済コラム】 - Easy News

個人こじん投資とうし家かが外国がいこくの通貨つうかを売買ばいばいするFX＝外国がいこく為替かわせ証拠しょうこ金きん取引とりひき。金融きんゆう先物さきもの取引とりひき業ぎょう協会きょうかいによると、ことし1月つきから11月つきまでの合計ごうけいで、年間ねんかんの取引とりひき額がくとして初はじめて1京きょう円えんを超こえました。1京きょうというと想像そうぞうもつきませんが、10000000000000000円えんと1のあとに0が16個こ続つづく数字すうじです。それではお金おかねの1京きょう円えんがどのくらいすごい金額きんがくかというと1万まん円えん札さつを1兆ちょう枚まい並ならべた金額きんがくで、これを積み重つみかさねると、高たかさは10万まんキロメートル、距離きょりにすると地球ちきゅう2周しゅう半はんに及およびます。ことし空前くうぜんの活況かっきょうを呈ていしたFX取引とりひき。12月つき20日にちに日銀にちぎんが金融きんゆう緩和かんわを修正しゅうせいするなど足元あしもとで環境かんきょうが大おおきく変かわる中なか、来年らいねんのFX取引とりひきがどうなるのか展望てんぼうします。（経済けいざい部ぶ記者きしゃ仲沢なかざわ啓あきら）

この記事きじのポイント

・ことし、個人こじんのFX取引とりひき額がくが初はつの1京きょう円えん突破とっぱ、特とくにドル円えんの取り引とりひきが活発かっぱつに。

・理由りゆうは、金融きんゆう緩和かんわ維持いじの日本にっぽんに対にたいし、金融きんゆう引き締ひきしめ強化きょうかのアメリカという

【明白めいはくな日にち米べいの金融きんゆう政策せいさくの方向ほうこう性せいの違ちがい】

・今後こんごについては一転いってんして日本にっぽんは引き締ひきしめ、アメリカは緩和かんわという見方みかたが急きゅう浮上ふじょう。

【来年らいねんの方向ほうこう性せいは見通みとおしにくく、FXは低調ていちょうとの見方みかたも】

1京きょう円えん市場しじょうに拡大かくだいした理由りゆうは？

今年ことし1月つきから11月つきまでのFXの店頭てんとう取引とりひき額がくの合計ごうけいは1京きょう1083兆ちょう円えん。

去年きょねん1年間ねんかんの5998兆ちょう円えんと比くらべると実じつに1.8倍ばいに急増きゅうぞうしました。

このうちドル円えんの取引とりひきは8223兆ちょう円えんと全体ぜんたいの74％を占しめています。

市場しじょうに活気かっきをもたらしたもの、それは急速きゅうそくに進すすんだ円えん安やすです。

その要因よういんの1つが日にち米べいの金融きんゆう政策せいさくの方向ほうこう性せいの違ちがいです。

ことし3月つき、アメリカは記録きろく的てきなインフレを抑え込おさえこむため、コロナ禍かで2年間ねんかん続つづけてきたゼロ金利きんり政策せいさくを解除かいじょし、利上りあげに踏み切ふみきりました。

その後そのごもアメリカは「一時いちじ的てきに景気けいきを犠牲ぎせいにしてでもインフレ退治たいじを優先ゆうせんする」との姿勢しせいで利上りあげを継続けいぞく。

一方いっぽうの日銀にちぎんは、大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわを維持いじするスタンスを変かえず、この対照たいしょう的てきな金融きんゆう政策せいさくの結果けっか、日にち米べいの金利きんり差さは拡大かくだいし、これが円えん安やすを加速かそくさせる要因よういんとなりました。

個人こじん投資とうし家かなどは、日銀にちぎんが動うごかない以上いじょう、この構図こうずは当面とうめん変かわらないだろうと判断はんだんし、円えん売うりドル買かいの動うごきを強つよめていきました。

1ドル＝150円えん台だいまで円えん安やすが進すすんだ10月つきには、政府せいふ・日銀にちぎんが24年ねんぶりにドルを売うって円えんを買かう市場しじょう介入かいにゅうに踏み切ふみきりました。

しかしそれでも円えん安やすのトレンドは変かわらないと見みた個人こじん投資とうし家かなどは、介入かいにゅう直後ちょくごも積極せっきょく的てきに円えん売うりドル買かいを行おこないました。

ことしのFX取引とりひきの推移すいいをみると、9月つきの取引とりひき金額きんがくが1398兆ちょう円えん（前年ぜんねん同期どうき比ひ200％増ぞう）と統計とうけいを取とり始はじめた2008年ねん11月つき以来いらいでは単月たんげつでは最大さいだいとなりました。

また10月つきの取引とりひき額がくは1088兆ちょう円えん（前年ぜんねん同期どうき比ひ88％増ぞう）でした。

さらに円えん相場そうばが反転はんてんして円えん高だか方向ほうこうに動うごいた11月つきについても1297兆ちょう円えん（前年ぜんねん同期どうき比ひ120％増ぞう）と活発かっぱつな取り引とりひきが続つづきました。

この間このかん、どのような人ひとが取り引とりひきに参加さんかしていたのか。

FX取引とりひき大手おおてのGMOクリック証券しょうけんによりますと、ことし6月末げつまつ時点じてんでこの会社かいしゃのFX取引とりひきの専用せんよう口座こうざを持もっている人ひとは、年代ねんだい別べつでは40代だいが最もっとも多おおく30％を占しめているということです。

また、30代だいが28.6％、20代だいは10％と、比較的ひかくてき若わかい世代せだいも多おおく参加さんかしていることがわかります。

巨額きょがくの資金しきんを動うごかす日本にっぽんのFX取引とりひき参加さんか者しゃは、海外かいがいでは“ミセスワタナベ”とも呼よばれ、マーケットを左右さゆうする存在そんざい感かんのあるプレイヤーだと認識にんしきされています。

“ミセスワタナベ”は、2007年ねんごろにかけての円えん安やす局面きょくめんでも海外かいがいで注目ちゅうもくされましたが、ことし改あらためてその存在そんざいが注目ちゅうもくされました。

来年らいねんも活況かっきょう続つづく？

ただこの空前くうぜんの活況かっきょう、来年らいねんは続つづかないとみる市場しじょう関係かんけい者しゃがほとんどです。

その理由りゆうは、円えん安やす相場そうばを生み出うみだした日にち米べいの金融きんゆう政策せいさくのスタンスに変化へんかが出で始はじめたからです。

アメリカのFRB＝連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじ会かいは12月つき14日にちまで開ひらいた会合かいごうで、利上りあげの縮小しゅくしょうを決きめました。

記録きろく的てきなインフレが落ち着おちつく兆きざしが見みえてきたこと、そして急速きゅうそくな利上りあげが経済けいざいに悪あく影響えいきょうを及およぼすことに配慮はいりょしたためだとみられます。

一方いっぽう、12月つき20日にちの日銀にちぎんの金融きんゆう政策せいさくを決きめる会合かいごう。

私わたしも含ふくめて、市場しじょう関係かんけい者しゃのほとんどがいまの大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわ策さくを維持いじすると思おもっていましたが、長期ちょうき金利きんりの変動へんどう幅はばの上限じょうげんを引き上ひきあげました。

日銀にちぎんの黒田くろだ総裁そうさいは、この修正しゅうせいは利上りあげではない、引き締ひきしめではないと強調きょうちょうしましたが、市場しじょうでは事実じじつ上じょうの利上りあげだと受け止うけとめられ、円えん高だかドル安やすが一気いっきに進すすみました。

これについて、FX取引とりひきに詳くわしい外為がいためどっとコム総合そうごう研究所けんきゅうじょの神田かんだ卓也たくや調査ちょうさ部長ぶちょうは次つぎのように話はなします。

「ことしの取り引とりひきが多おおかったときと比くらべると、12月つきの取引とりひき額がくは最大さいだいで半分はんぶん以下いかにまで落ち込おちこんでいる。20日にちに日銀にちぎんが金融きんゆう緩和かんわを修正しゅうせいしたことで急速きゅうそくに円えん高だかドル安やすが進すすんだが、このときには、10月つきに政府せいふ・日銀にちぎんが市場しじょう介入かいにゅうを行おこなったときのように安やすくなったドルを買かう動うごきはあまり見みられず、かつてのような熱気ねっきはなくなっている。日にち米べいの金融きんゆう政策せいさくが変化へんかしつつある中なかで、方向ほうこう性せいがわかりにくくなり、積極せっきょく的てきに投資とうししづらくなっている。来年らいねんはことしのような盛り上もりあがりには欠かけるのではないか」

急速きゅうそくな円えん安やすの流ながれの中なかで空前くうぜんの活況かっきょうを呈ていしたことしのFX取引とりひき。