「ステマ」規制きせいへ “インフルエンサー 2わりちかおこな結果けっか

Easy Japanese news
Dec 27, 2022 19:12
Furigana
Japanese newspaper
インターネットなど広告こうこくぬし広告こうこくあることをかくしたまま宣伝せんでんするいわゆる「ステルスマーケティング」の規制きせいについて検討けんとうしてきた消費しょうひしゃちょう有識者ゆうしきしゃ検討けんとうかいは、「規制きせい必要ひつようがある」とする報告ほうこくしょをまとめました。

消費しょうひしゃちょう今後こんご法律ほうりつでの規制きせいけて制度せいど設計せっけい運用うんよう基準きじゅん策定さくていなどすすめる方針ほうしんです。

いわゆるステマの実態じったいや、実際じっさい依頼いらいされたインフルエンサーのこえなどくわしくお伝おつたします。

ステルスマーケティングは、実際じっさい企業きぎょう店舗てんぽなど広告こうこくぬし依頼いらいしたにもかかわらず、利用りようしゃ個人こじん感想かんそうなどをよそおって商品しょうひんサービス宣伝せんでんするもので、SNSなどの普及ふきゅうともなって問題もんだい指摘してきされるケース相次あいついでいます。

こうした行為こういについて消費しょうひしゃちょうは「消費しょうひしゃ合理ごうりてき選択せんたく阻害そがいするそれある」として大学だいがく教員きょういん弁護士べんごし消費しょうひしゃ団体だんたい有識ゆうしきしゃなどによる検討けんとうかいをことし9つきげ、規制きせい必要ひつようせい在り方ありかたなどについて検討けんとうすすめてきました。

27にち検討けんとうかいでまとまった報告ほうこくしょでは、ステルスマーケティングについて「規制きせい必要ひつようせいがある」と結論けつろんづけたうえで、景品けいひん表示ひょうじほう不当ふとう表示ひょうじ対象たいしょうに、「消費しょうひしゃが、事業じぎょうしゃ広告こうこくぬし表示ひょうじであることを判別はんべつすることが困難こんなんであるとみとめられるもの」という内容ないようあらくわえ、「禁止きんし行為こういとして指定していすることが妥当だとう」としました。

規制きせい対象たいしょうなるのは、ネットやテレビ新聞しんぶんといったすべての媒体ばいたいで、消費しょうひしゃ広告こうこくどうかを明確めいかく表示ひょうじするために、たとえば広告こうこく」「宣伝せんでん」「PR」などといった表示ひょうじもとめていて、まわ文字もじ比較ひかくしてちいさく表記ひょうきされるなど明瞭めいりょう場合ばあい禁止きんし行為こうい該当がいとうするとしめしています。

消費しょうひしゃちょう今後こんご法律ほうりつでの規制きせいけて制度せいど設計せっけい運用うんよう基準きじゅん策定さくていなどすすめ、来年らいねん以降いこう施行しこうする方針ほうしんです。

インフルエンサー 2わりちかがステマおこな

検討けんとうかいではSNSなど影響えいきょうりょくあるインフルエンサーを対象たいしょうったステルスマーケティング、いわゆるステマに関にかんするアンケート結果けっか報告ほうこくされました。

広告こうこくぬしとインフルエンサーを結び付むすびつけるプラットフォームを運営うんえいする企業きぎょうが、消費しょうひしゃちょう委託いたくけてことし8つき実施じっししたもので、SNSのフォロワーすうが50まんにん未満みまんのインフルエンサー300にん回答かいとうもとめました。

それによりますと、全体ぜんたいおよそ4わりにあたる123にんが、「広告こうこくぬしからステマの依頼いらいちかけられた経験けいけんある」と回答かいとうしました。

さらに、ステマの依頼いらいどう対応たいおうしたかたずねたところ、55にんが、「すべてけた」か「一部いちぶけたことがある」とこたえ、全体ぜんたいの2わりちかがステマをおこなっていたことがわかりました。

依頼いらいけた理由りゆうについては

▽「ステマに対にたいする理解りかいひくかった」など知識ちしき不足ふそくをあげたのが6わりあま(63.6%)で、

▽「広告こうこくぬしから報酬ほうしゅう条件じょうけんだったから」など広告こうこくぬし条件じょうけんにしたがったひとが3わりあまり(30.9%)、

▽「広告こうこく記載きさいするとフォロワーの信頼しんらいうしなから」が2わりちか(18.2%)で、

▽「広告こうこく記載きさいすると商品しょうひんサービスれないから」(9.1%)といった理由りゆうもありました。

また、ステマをどうおもたずねたところ、「わることだとおもう」とこたえたのは全体ぜんたいの5わりあまにとどまり、半数はんすうちかが、「わからない」またはわるいこととはおもわない」と回答かいとうしました。

表記ひょうきなしで投稿とうこうしてほしい」

SNSを活用かつようしたインフルエンサーとして活動かつどうする30だい女性じょせいは、広告こうこくぬしからステマを依頼いらいされるケースおおく、実際じっさいっている知り合しりあもいるとはなしました。

女性じょせいは「インスタグラムがおおですが、ダイレクトメールで企業きぎょう代理だいりてんから、『表記ひょうきなしで投稿とうこうしてほしい』とか、ハッシュタグのなかでも、『PRがわかりづらいように紛れ込まぎれこませて投稿とうこうする』ことを企業きぎょうからちかけられることはあります。広告こうこくではない投稿とうこうほうおおひとてもらいやすいです、ユーザーのなかにも広告こうこく嫌悪けんおかんいだ気持きもあるおもので、より自然しぜん投稿とうこうせてほしいという意図いとがあるのかなとおもいます」とはなしました。

女性じょせい自身じしんはステマだとわかる依頼いらいことわっているということですが、気付きづかないうち自分じぶんもステマに加担かたんしているのではと不安ふあんかんじることがあるいます。

女性じょせいは「サンプリングだったりとか、商品しょうひん提供ていきょうだけで、投稿とうこうしてくださいとはわれなくても、『商品しょうひんをもらったからには投稿とうこうしてほしい』という企業きぎょうがわおも見え隠みえかくするような依頼いらい投稿とうこうしてしまったりとかはかけます。おおのはコスメ、スキンケアとか、サプリメントとか。いろんなひとにばらまきというか、たくさんひとにダイレクトメールをおくって、ギフティングをしているのがおおおもいます」などかしました。

そのうえで、規制きせいについては「あいまいになっている状況じょうきょうを、きちんとルールしてもらえることは、企業きぎょうがわもインフルエンサーがわにとっても非常ひじょうにいいことだとおもいます。どうしても企業きぎょうがわ立場たちばうえになって、依頼いらいされたら投稿とうこうしないといけないという気持きもちになるインフルエンサーもおおおもので、しっかりルール整備せいびしてもらうことでインフルエンサーがまもられるので、すごくいいことかなとおもいます」とはなしています。

SNSマーケティング会社かいしゃ「ステマおおくある

3まんにんのインフルエンサーをかかえ、ステマの実態じったい調査ちょうさするアンケートおこなったSNSマーケティング会社かいしゃ福田ふくだ晃一こういち社長しゃちょうは、「広告こうこくぬし企業きぎょう広告こうこくだとせたほうが販売はんばい効果こうかたかかんがえている」とはなし、ステマを構造こうぞうてき問題もんだいとしてとらえて、規制きせいしていく必要ひつようせい指摘してきしています。福田ふくだ社長しゃちょう数多かずおおのステマがおこなわれている実態じったいについて、「SNSマーケティングのかいわいではまだまだステルスマーケティングがおおくある広告こうこくぬしがわものりたい場合ばあい広告こうこくではなくて実際じっさい自分じぶん使つかってすごくよかったという表現ひょうげんなほうがものれるおもっているが、そのさいは、広告こうこくだとせたほうが販売はんばい効果こうかたかかんがえている」など指摘してきし、ステマの規制きせいむずかしさを指摘してきしています。

一方いっぽう、ステルスマーケティングが消費しょうひしゃあたえるデメリットについて、「消費しょうひしゃは、インフルエンサーの選択せんたくしんじてものっているので、消費しょうひしゃ自身じしん選択肢せんたくしくしているのとおなで、じつ、インフルエンサーが体験たいけんしていなかったし、本当ほんとういいとおもっていなかった、というのは、消費しょうひしゃにとっては、だまされて誤認ごにんして購入こうにゅうしたということになる経済けいざいてきなダメージと、精神せいしんてきなダメージのダブルいたしょうじる」と指摘してきしました。

会社かいしゃでは、

▽「#ノーモアステマ」を広告こうこくぬしやインフルエンサーに推奨すいしょうしたり、

適切てきせつ広告こうこく依頼いらいかたなどについて広告こうこくぬしのセミナーをおこなったりするなど、ステマの撲滅ぼくめつけた活動かつどうおこなっているということで、今回こんかい検討けんとうかい提言ていげんについては、「ひとルールができることで信頼しんらいせい担保たんぽしていける、業界ぎょうかい健全けんぜんせい寄与きよするいちかなとおもルールできることをしっかり周知しゅうちして、ステルスマーケティングとはなにかを理解りかいしてもらうことが非常ひじょう重要じゅうようポイントかなとおもなどはなしていました。

ステマ 過去かこにも問題もんだい多数たすう指摘してき

「ステルスマーケティング」に関にかんして国内こくないでもこれまでに問題もんだい指摘してきされるケース多数たすう報告ほうこくされています。

消費しょうひしゃちょうによりますと、2021ねん11つき合理ごうりてき根拠こんきょがないにもかかわらず「#むねおおきく」や「簡単かんたんにバストアップなどとネット広告こうこく宣伝せんでんしてサプリメントを販売はんばいしていたとして東京とうきょう会社かいしゃに対にたいして再発さいはつ防止ぼうし措置そち命令めいれいおこなった事例じれいで、インスタグラムでの宣伝せんでんが、投稿とうこうしゃ報酬ほうしゅうとして商品しょうひん提供ていきょうしてもらい宣伝せんでん指示しじけていたにもかわわらずそれせていた「ステルスマーケティング」だったとしています。

また、ECサイトをめぐっては、指定していされた商品しょうひん購入こうにゅうし、こう評価ひょうかのレビューを書き込かきこめば、購入こうにゅう代金だいきん返金へんきんされたり、商品しょうひんがタダではいったりする、いわゆる不正ふせいレビュー」または「やらせレビュー」も問題もんだいされ、有識者ゆうしきしゃ検討けんとうかいでは、こうしたケースもステルスマーケティングにたるのではないかと議論ぎろんおこなわれました。

また、「ステルスマーケティングではないか」とうたがわれたれいとして動画どうが共有きょうゆうアプリ「TikTok」は2019ねん7つきから2021ねん12つきにかけて、のべ20にんのSNSのインフルエンサーに対価たいか支払しはらって人気にんき動画どうが転載てんさいするよう依頼いらいしていたものの「#PR」など広告こうこく表記ひょうきをしておらず、「誤認ごにん不信ふしんかんあたえた」として2022ねん1つき、おわびの文章ぶんしょうをホームページで発表はっぴょうしました。

また、2019ねんにはウォルト・ディズニーうぉるとでぃずに-・ジャパンが映画えいが「アナとゆき女王じょおう2」について、宣伝せんでんのために複数ふくすう漫画まんが感想かんそうなどえがいた漫画まんがをSNSで発信はっしんしてもらうよう依頼いらいしていたのに、広告こうこく明示めいじしていなかったとしてホームページで謝罪しゃざいしたケースや、京都きょうとが、取り組とりくをPRするため人気にんき漫才まんざいコンビにツイッターで情報じょうほう発信はっしんをしてもらう対価たいかとして100まんえん支払しはら契約けいやく吉本よしもと興業こうぎょうむすんでいたにもかかわらず、漫才まんざいコンビのツイートのなかに「広告こうこく」と明示めいじしていなかったケースなどがあります。

EUやアメリカなど ステマ規制きせいする法律ほうりつ

消費しょうひしゃちょうによりますと、EUやアメリカなどの海外かいがいではステルスマーケティングを規制きせいする法律ほうりつなどがある一方いっぽうで、日本にっぽんでは直接ちょくせつステルスマーケティングを規制きせいする法律ほうりつがなく、業界ぎょうかい団体だんたいからも「業界ぎょうかい自主じしゅ規制きせいには限界げんかいがある」などとして、規制きせいもとめるこえがあがっていました。

このうちEUは「公正こうせい取引とりひき方法ほうほう指令しれい」で、公正こうせいなる取引とりひき方法ほうほう記載きさいしたブラックリストがありステルスマーケティングも対象たいしょうになっているほか、提供ていきょうされている情報じょうほう広告こうこくあることを明確めいかくしめことなど規定きていしている「デジタルサービスほう」があるということです。

またアメリカでは公正こうせいまたはまんてき行為こうい違法いほうとする「連邦れんぽう取引とりひき委員いいんかいほう」でひろ包括ほうかつてきにステルスマーケティングの規制きせいおこなわれているということです。

広告こうこくぬし公正こうせい競争きょうそう 実現じつげん期待きたい

大手おおて企業きぎょうなど加盟かめいする広告こうこくぬし業界ぎょうかい団体だんたいは、「公正こうせい競争きょうそう実現じつげんにつながる」などとして検討けんとうかい提言ていげん評価ひょうかしています。

広告こうこくぬしとなっている260しゃあま企業きぎょう加盟かめいしている「日本にっぽんアドバタイザーズ協会きょうかい」の鈴木すずき信二しんじ専務せんむ理事りじは、NHKの取材しゅざいに対にたい、「インターネットの普及ふきゅうなどによって若者わかもの購買こうばい行動こうどうおおきく変化へんかするなかで、口コミくちこみによるマーケティングは、重要じゅうよう宣伝せんでん方法ほうほうとなっている。ステルスマーケティングへの取締とりしま強化きょうかなど検討けんとうかい提言ていげん沿った対策たいさくすすめてもらい公正こうせい競争きょうそう実現じつげんすることに期待きたいしている」とはなしています。一方いっぽう規制きせい対象たいしょう範囲はんいについて「悪質あくしつなブローカーなど中間ちゅうかん事業じぎょうしゃによって広告こうこくぬし把握はあくできない場面ばめんでステルスマーケティングがおこなわれるそれあるため広告こうこくぬしだけでなく中間ちゅうかん事業じぎょうしゃへの規制きせいもさらに議論ぎろんふかめてもらいたい」とはなしています。

ステマが違法いほうという“あたらしい常識じょうしきひろげられるか

一方いっぽうで、報告ほうこくしょでは今後こんご検討けんとうすべき課題かだいにもれられています。ステルスマーケティングは、悪質あくしつ不正ふせいレビューを募集ぼしゅうする『仲介ちゅうかい事業じぎょうしゃ』が中心ちゅうしんとなって実施じっししている場合ばあいもありますが、現行げんこう景品けいひん表示ひょうじほうでは事業じぎょうしゃ広告こうこくぬししか対象たいしょうにならないため、「広告こうこくぬしだけを規制きせいしても不当ふとう表示ひょうじをなくすことはできないのではないか」と懸念けねんされています。

こうしたことから、ステルスマーケティングを解決かいけつするために必要ひつようせいもとめられれば、規制きせい対象たいしょう範囲はんい広告こうこくぬしだけでなく、▽仲介ちゅうかい事業じぎょうしゃや▽インフルエンサーまで拡大かくだいするよう検討けんとうすべきなど現行げんこう景品けいひん表示ひょうじほう見直みなおふくめたさらなる規制きせい必要ひつようとなってくるなどと提案ていあんしています。

消費しょうひしゃちょう有識者ゆうしきしゃ検討けんとうかい中川なかがわたけひさ座長ざちょうは「現状げんじょうは『ステルスマーケティングの存在そんざいらない』とか、『ステルスマーケティングはいけないことなの?』という段階だんかいなので、まずは周知しゅうちですが、ステルスマーケティングが違法いほうだという“あたらしい常識じょうしき”をどれだけひろげられるか、今回こんかい報告ほうこくしょきわめておおきな第一歩だいいっぽなるかんがえています」とはなしていました。

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