【詳しく】ことしの日本経済注目は賃上げ専門家はどうみる？ - Easy News

ことしの日本にっぽん経済けいざいは、新型しんがたコロナで落ち込おちこんだインバウンド関連かんれんの需要じゅようの回復かいふくもあって景気けいきの持ち直もちなおしが続つづくという見方みかたが多おおくなっています。ただ、物価ぶっか高だかが続つづくうえ、海外かいがい経済けいざいの減速げんそく懸念けねんが次第しだいに高たかまる中なか、企業きぎょうの賃上ちんあげの流ながれで景気けいきや消費しょうひを押し上おしあげることができるかが問とわれる1年ねんになります。

新しん年度ねんど・令りょう和わ5年度ねんどの経済けいざい成長せいちょう率りつの見通みとおしについて、政府せいふは物価ぶっかの変動へんどうを除のぞいた実質じっしつでプラス1.5％となりGDP＝国内こくない総そう生産せいさんの金額きんがくは過去かこ最高さいこうになると見込みこんでいます。

公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじんの「日本にっぽん経済けいざい研究けんきゅうセンター」が民間みんかんエコノミスト36人にんの予測よそくをまとめた成長せいちょう率りつも平均へいきんでプラス1.07％となっています。

コロナ禍かで途絶とだえていた外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくが増ふえ、インバウンド関連かんれんの需要じゅようが回復かいふくし、企業きぎょうの間までも物価ぶっかの上昇じょうしょうや人手ひとで不足ふそくを背景はいけいに賃上ちんあげの機運きうんが高たかまりつつあるという見方みかたも多おおくなっています。

その一方いっぽうで、アメリカなど海外かいがい経済けいざいは、記録きろく的てきなインフレと急速きゅうそくな利上りあげがブレーキになって景気けいき後退こうたいに陥おちいるという懸念けねんが強つよまり日本にっぽん経済けいざいへの影響えいきょうも避さけられないという見方みかたが指摘してきされています。

物価ぶっか高だかが続つづく中なか景気けいきの力強ちからづよい回復かいふくを実現じつげんできないまま再ふたたび低迷ていめいする事態じたいを避さけるためには、ことしの春闘しゅんとうで企業きぎょうの賃上ちんあげの流ながれが広ひろがり、景気けいきや消費しょうひを押し上おしあげることができるかが問とわれる1年ねんになります。

ことしの日本にっぽん経済けいざいの展望てんぼうについてマクロ経済けいざいが専門せんもんの伊藤いとう忠ただし総研そうけんの武田たけだ淳あつしチーフエコノミストは、企業きぎょうがどこまで前向まえむきな姿勢しせいを維持いじできるかが成長せいちょう実現じつげんの鍵かぎを握にぎると指摘してきします。

Q.ことしの日本にっぽん経済けいざい。持続じぞく的てきな成長せいちょうを期待きたいできるか？

A.政府せいふの経済けいざい成長せいちょう率りつの見通みとおしに加くわえ民間みんかん各社かくしゃの予測よそくはいずれもプラス成長せいちょうを見込みこんでいる。

GDPの半分はんぶん以上いじょうを占しめる個人こじん消費しょうひは、まだこのコロナ前まえの水準すいじゅんを回復かいふくしておらず、低ひくい水準すいじゅんでとどまっているので、伸のびしろは大おおきい。企業きぎょうの前向まえむきな姿勢しせいが維持いじされて、賃上ちんあげや投資とうしの拡大かくだいが期待きたいどおりに進すすめばことしの成長せいちょうは十分じゅうぶんに可能かのうだ。

Q.日本にっぽん経済けいざいにとってポジティブな要因よういんは？

A.大おおきく4つのプラスの要因よういんがある。

【脱だつコロナ】

新型しんがたコロナからの回復かいふくに出遅でおくれた日本にっぽんだが、2022年ねんの秋あきごろからウィズコロナ＝コロナとの共生きょうせいの局面きょくめんに入はいり、経済けいざい活動かつどうの正常せいじょう化かに向むけた余地よちはまだまだ大おおきいこと。いわゆるリベンジ消費しょうひが今後こんごも続つづく期待きたいがある。

【企業きぎょうの設備せつび投資とうしの意欲いよく】

各種かくしゅの調査ちょうさでは企業きぎょうの設備せつび投資とうしの意欲いよくは高たかく、人手ひとで不足ふそくが続つづいている中なか、企業きぎょうは将来しょうらいの成長せいちょうのために生産せいさん効率こうりつを高たかめる設備せつび投資とうしをもっと増ふやしていこうとするだろう。設備せつびの過か不足ふそく感かんを示しめす指標しひょうはマイナス、つまり設備せつび不足ふそくを表あらわす状況じょうきょうが続つづいている。

【インバウンド需要じゅようの回復かいふく】

去年きょねん1月つきに日本にっぽんに来きた外国がいこく人じん旅行りょこう客きゃくの数かずは月間げっかん2万まん人にん程度ていどだったが、10月つきにはおよそ50万まん人にん、11月つきには90万まん人にんを超こえた。ことしもその流ながれが続つづき、インバウンド需要じゅようの回復かいふくが本格ほんかく化かしていく。インバウンドのこれまでのピークは2019年ねんで年間ねんかん5兆ちょう円えん余あまり、GDPの1％の規模きぼという大おおきな存在そんざいだったが、年内ねんないにどこまで回復かいふくするかが注目ちゅうもくされる。

【物価ぶっか上昇じょうしょう】

物価ぶっかの上昇じょうしょうが続つづいているが、欧米おうべいと比くらべるとその水準すいじゅんは抑おさえられている。円えん安やすもひところより落ち着おちつき、海外かいがいの食料しょくりょう品ひんやエネルギー・資源しげん価格かかくの高騰こうとうもピークアウトしていることで、足元あしもとでは3％超こえる物価ぶっか上昇じょうしょう率りつがもう少もうすこし低ひくく収おさまると予想よそうする。

Q.逆ぎゃくに景気けいきを下押したおしするリスク要因よういんは？

A.一番いちばん深刻しんこくに懸念けねんされる問題もんだいは海外かいがい経済けいざいの悪化あっかだ。欧米おうべいはインフレに苦くるしんでいて、景気けいき後退こうたいを覚悟かくごしてでも利上りあげをして、インフレを抑制よくせいするスタンスを続つづけている。

アメリカの中央ちゅうおう銀行ぎんこうにあたるFRB、ヨーロッパの中央ちゅうおう銀行ぎんこうのECBはともに利上りあげを継続けいぞくする姿勢しせいを示しめしているので、これは景気けいきに対にたいしてかなり強つよいブレーキになる。

Q.ことしの海外かいがい経済けいざいで注目ちゅうもくするのは？

A.最近さいきん、混乱こんらんを見みせている中国ちゅうごく経済けいざいだ。中国ちゅうごくはゼロコロナ政策せいさくを事実じじつ上じょう廃止はいししたが、準備じゅんびが十分じゅうぶんに整ととのっていなかった中なかでの解除かいじょとなり、感染かんせんが急速きゅうそくに拡大かくだいしている。

これによって人々ひとびとは外出がいしゅつを控ひかえ、工場こうじょうも生産せいさん活動かつどうを停止ていしするような動うごきが起おきていて景気けいきの低迷ていめいが続つづいていくとみるべきだろう。

この感染かんせんがいつ収おさまるのかが全まったく見当けんとうがつかない。したがって中国ちゅうごく経済けいざいは当面とうめんは、手痛ていたい悪化あっかが続つづくと見みたほうがいい。

Q.海外かいがい経済けいざいの悪化あっかは日本にっぽんにどのような影響えいきょうを与あたえる？

A.欧米おうべいに加くわえて、中国ちゅうごくの景気けいきが悪化あっかするので、日本にっぽんの輸出ゆしゅつにとってはかなりのダメージとなる。日本にっぽんの輸出ゆしゅつは去年きょねんの秋あきから減少げんしょうに転てんじていて、この先さきもしばらくは低迷ていめいが続つづく可能かのう性せいが高たかい。

単たんに輸出ゆしゅつの減少げんしょうでとどまればいいが、企業きぎょうのマインドが悪化あっかしたり、期待きたいされる賃金ちんぎんの上昇じょうしょうが抑制よくせいされたりして消費しょうひのマインドも悪化あっかすることになると、ことしの景気けいきをけん引けんいんすると期待きたいされていた内需ないじゅに悪あく影響えいきょうを及およぼしてしまう。

企業きぎょうの設備せつび投資とうしや、個人こじん消費しょうひの悪化あっかにつながってしまうことが一番いちばんの懸念けねん材料ざいりょうといえる。

Q.この状況じょうきょうを打開だかいするためには？

A.期待きたいどおりに賃上ちんあげが行おこなわれない可能かのう性せいも低ひくくはない一方いっぽうで、かなりの企業きぎょうが今いま、雇用こようや設備せつびの不足ふそく状態じょうたいに陥おちいっていて、これから先さきの成長せいちょうを望のぞむのであれば、雇用こようも設備せつび投資とうしも拡大かくだいせざるをえない状況じょうきょうだ。

海外かいがい景気けいきに振り回ふりまわされるような日本にっぽん経済けいざいではなく、日本にっぽん企業きぎょうを中心ちゅうしんに自分じぶんの経済けいざいは自分じぶんで立て直たてなおすんだという気概きがいで前向まえむきに活動かつどうしていくということで乗り越のりこえていかなければならない。ことしは内需ないじゅで打ち返うちかえせるポテンシャルに期待きたいしたい。

Q.ほかにことしの経済けいざいで注目ちゅうもくする点てんは？

A.一いち番ばん気きにしないといけないのは日銀にちぎんの金融きんゆう政策せいさくの動向どうこうだろう。

去年きょねん12月つき、日銀にちぎんは金融きんゆう政策せいさくの修正しゅうせいに踏み切ふみきり市場しじょうでは金利きんりの上昇じょうしょうが近ちかづいてきたという機運きうんが出ではじめている。ことし4月つきまでには日銀にちぎん総裁そうさいが交代こうたいし、場合ばあいによっては金融きんゆう政策せいさくの枠組わくぐみなども変かわってくるかもしれない。

そうなれば、より一層いっそう金利きんり上昇じょうしょうの可能かのう性せいが高たかまり、それに備そなえないといけない年としになるだろう。