北朝鮮による
拉致問題は、
去年、
一部の
被害者が
帰国した
日朝首脳会談から20
年の
節目の
年でしたが、
ほかの
被害者について
進展がないまま
年を
越しました。
帰国を
待つ家族が
高齢化し、
時間に
限りが
ある拉致問題の
早期解決を
どう実現させるか、ことしは
政府の
実行力が
問われる
年になります。
拉致問題は去年、5人の被害者が帰国した初の日朝首脳会談から20年の節目の年でしたが、政府が認定しているだけでも12人に上る、ほかの被害者について進展はありませんでした。
解決にあまりにも長い時間がかかる中、この20年で子どもとの再会を果たせずに亡くなった親は8人に上り、健在な親は、横田めぐみさんの母親、早紀江さん(86)と有本恵子さんの父親、明弘さん(94)の2人となっています。
拉致被害者の家族会は、去年決めた新しい活動方針に「親の世代が被害者と抱き合うことなしに拉致問題の解決はない」と明記し、家族が老いに直面し残された時間が多くない現実を、繰り返し政府に訴えました。
また、これを受けて政府も「拉致問題は時間的制約のある人道問題」という表現を初めて使って、解決を急ぐ姿勢を示しました。
家族会はことし、親世代が存命のうちに被害者の帰国がかなうよう政府に強く求めていく方針で、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させる中、時間に限りがある拉致問題の早期解決をどう実現させるか、ことしは政府の実行力が問われる年になります。
家族会代表 横田拓也さん「日本政府は具体的作戦を」
横田めぐみさんの
弟で、
拉致被害者の
家族会代表に
就任して1
年が
過ぎた
横田拓也さん(54)がNHKの
インタビューに
応じました。
この中で拓也さんは、去年を振り返って「目に見える具体的進展がなく、姉のことで言えば、拉致から45年経過しても居場所さえ分からない状態が続いています。どうして、これだけ長い時間が過ぎても、なお解決できないのか疑問だし、この1年も同じことを感じました」と話しました。
そして、被害者の親世代の高齢化に触れ「私の母で言うと、ことし、父が亡くなった年齢と同じ87歳になります。実際に声は小さくなってきているし、歩くスピードも遅く、つまずいてけがをすることもあります。拉致問題の解決に時間的制約があることは厳しい現実だと感じざるをえません」と語りました。
そのうえで、家族会が4年前に初めて出したキム・ジョンウン(金正恩)総書記宛てのメッセージに言及し「家族会は拉致被害者が帰って来たときに、彼らから北朝鮮で見聞きしたことを聞き出さないし、秘密の暴露や日朝国交正常化交渉の妨げになるようなことはしないと何度も表明しています。北朝鮮当局には、そこを信じてほしいし、勇気を持って決断してほしい」と呼びかけました。
日本政府に対しては「どうしたら北朝鮮を動かせるのか、どうすればキム・ジョンウン総書記が前に出てくるのか、具体的に作戦を組んでほしい。国際社会が科している経済制裁の枠組みを逸脱しない範囲で、人道支援や医療支援の提案など、もっと北朝鮮側が前に出やすくなるような作戦を考えて解決を迫ってほしい」と求めました。