去年までは、病室に顔を出すと滋さんはにこにこして話をしてくれたということですが、ここ2か月くらいは新型コロナウイルスの感染防止のため、面会ができなくなっていたということです。
病室にはめぐみさんの写真がいくつも飾られていたということで、田島さんは、「滋さんと話をしていると、ときどきめぐみちゃんの写真を見ているんだなと感じることがありました。いつもめぐみちゃんの写真を見ながら思いを強くしていました。口かずの多いほうではありませんでしたが、拉致問題の話になると感情が高まるときもありました」と話しました。
そして、「この1年間くらいはいろんなことを考えたりする力は衰えたかもしれませんが、それでも拉致の話になると目つきが変わりました。めぐみちゃんのことを思い続けていたと思います」と話していました。
入院後の滋さんの様子
横田滋さんはおととし4月から体調を崩して入院していました。
妻の早紀江さんもことしで84歳になり、体力の衰えを感じながらも毎日病室を訪れ、滋さんとの面会を重ねてきました。
早紀江さんが病室に置かれためぐみさんの写真を見ながら「あと少しで会えるかもしれないから、がんばろうね」と声をかけると滋さんは「うん」とこたえ、励まし合っていました。
滋さんは自分の足で立つことが難しくなりましたが、車いすに乗って早紀江さんと病院の敷地内を散歩したり、リハビリを行ったりして体力の維持に努めてきました。
また、早紀江さんは滋さんの手足の関節がかたくならないようにと毎日マッサージをしてあげていたということです。
最近では新型コロナウイルスの感染防止のため、直接面会することはできなくなりましたが、タブレット端末を使ってテレビ電話で顔を合わせていたということです。
早紀江さんと40年来の友人の斉藤眞紀子さんは、「早紀江さんは、感染防止のため病院に行けなくなっていましたが、緊急事態宣言が解除されてからはまた足を運んでいたと聞いています。滋さんがだんだんやせて力がなくなったと話していました。亡くなってしまい本当に悲しいです。滋さんにはトンネルの向こうに一筋の光が見えるところまで伝えられればよかったなという思いです」と話していました。