新型コロナウイルスの
感染拡大による
難病患者の
生活への
影響について、
北海道の
患者団体が
行った
アンケートで、
およそ4
割が
感染を
避けるため
通院を
控えていたことが
分かりました。
専門家は、
患者は
医師と
相談のうえ
受診を
続けるとともに、
再び感染症が
拡大する
事態を
想定して、
行政や
病院が
患者ごとの
受診計画を
立てておく
必要が
あると
指摘しています。
北海道に
住む難病患者と
その家族で
作る「
北海道難病連」は、
先月、1000
人にアンケート
調査を
行い、540
人から
回答がありました。
それによりますと、患者や同居する家族の新型コロナウイルスによる生活への影響を複数回答で尋ねたところ
▽「感染を避けるため病院の受診を取りやめたり控えたりした」が39.8%
▽「病院や施設の都合で入院患者への面会や付き添いが制限された」が18.7%
▽「利用中の障害や介護のサービスが事業所側の都合で中断・変更された」が7%でした。
全身の関節に激しい痛みや腫れが発生する、関節リウマチの70代の男性は「感染が不安で、手術後、診察や検診を先延ばししているが、悪化するのではないかと不安だ」と回答しています。
北海道医療センターの菊地誠志院長は、定期的に診察や治療を受けなければ症状が急激に悪化する難病患者もいると指摘したうえで、「病院に行かないと1人で判断せず、まずは主治医に連絡を取ってほしい。再び感染が拡大する事態も想定して、治療を続けられるよう行政や病院などの関係機関が患者ごとに計画を立てておく必要がある」と話しています。
感染の不安続く難病患者
難病の治療のため、免疫の働きを低下させる作用もある薬を使う患者は、新型コロナウイルスの感染リスクに不安な思いを抱えながら生活しています。
北海道滝川市で広告業を営む山下克明さん(55)は、大腸や小腸の粘膜に慢性的な炎症を引き起こす難病「クローン病」の治療のため、2か月に一度、炎症を抑える点滴を打っています。
40年以上前に病気を発症して以来、頻発する激しい腹痛や下痢、発熱などに悩まされ続けてきましたが、治療を受けると症状が和らぐといいます。
しかし、薬には免疫の働きを低下させる作用もあり、新型コロナウイルスに感染しやすくなるのではないかと不安な思いで生活しています。
山下さんはこうした難病患者の思いなどを知ってもらおうと、地元のFMラジオに定期的に出演しています。
NHKが取材した日に出演した番組の中で、山下さんは先月、旭川市内の病院で治療を受けたことに触れ、「今、病院に行くことは私も怖かった。しかし、どうしても病院に行かなければならない人はいて、本当に感染に気をつけている」と心情を語りました。
そのうえで「僕らがこうやってしゃべっているのを聞いて、そういう人たちもいると気付いてもらいたい」と話し、多くの人に感染予防に取り組んでほしいと訴えました。
患者団体「難病患者の不安浮き彫りに」
アンケートを行った「北海道難病連」の増田靖子代表理事は、感染に対する難病患者の不安が浮き彫りになったと指摘しています。
増田さんは「日頃からの難病への不安に、新型コロナウイルスに感染することへの不安が加わり、患者の精神的な負担は増している。いわゆる『コロナうつ』状態の患者が増えていると思う」と指摘します。
そのうえで「病院での感染を恐れて通うのをやめる患者も約4割に上るなど、影響が懸念される。医療機関は難病患者からの相談と確かな検査体制の構築に向けた検討を行うとともに、国は新型コロナウイルスのワクチンと治療薬の開発を急いでほしい」と訴えています。