買収は、「アークランドサカモト」がTOB=株式の公開買い付けを実施してすべての株式の取得を目指し、買収金額は1000億円を超える見込みです。
新型コロナウイルスが多くの業界に厳しい影響をもたらすなか、ホームセンター業界は、テレワークに対応した商品や長時間、家庭で過ごすための商品を買い求める客が増え、その役割が改めて見直されています。
こうした中、新潟県を中心に多くの店舗をかまえる「アークランドサカモト」は、首都圏などに多くの店舗を持つ「LIXILビバ」を買収することで首都圏での事業を一気に拡大したいというねらいがあります。
一方、「LIXILグループ」は、事業の取捨選択を進めてホームセンター事業からは撤退し、本業である住宅設備関連の事業に投資を集中し業績を拡大しようというねらいがあります。
LIXILグループやアークランドサカモトは近く正式に決めることにしており業界再編が一気に動くことになります。
アークランドサカモトとは
アークランドサカモトは、新潟県三条市に本社を置きホームセンターの事業を主力としています。
グループ全体の従業員はおよそ4400人。東証1部に上場しています。
昭和45年に株式会社となった当初は金物類の卸売を手がけていましたが、昭和53年に新潟市にホームセンターの1号店を開き、現在は、「ホームセンタームサシ」などの店舗を新潟県内のほか、東北地方や北陸地方などに展開しています。
店舗の拡大に伴って業績を伸ばし、ことし2月期の決算で売り上げは前の年度より2%余り多い1126億円となっています。
去年8月には、埼玉県久喜市に会社としては最大規模のホームセンターを設立。関東地方へのホームセンターの出店は初めてで、首都圏の顧客開拓に取り組んでいます。
子会社がとんかつ専門店の「かつや」を国内外に展開するなど、外食事業も手がけています。
LIXILビバとは
LIXILビバは、LIXILグループの子会社で、「スーパービバホーム」や「ビバホーム」などの名称でホームセンターの事業を展開しています。
さいたま市に本社があり、社員はおよそ1300人。東証1部に上場しています。
ことし3月末時点で、関東地方を中心に合わせて102の店舗を展開し出店数の拡大とともに売り上げを伸ばしてきました。
店舗の拡大とともに業績を伸ばし、ことし3月期の決算で売り上げは前の年度を4%上回る1885億円となっています。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ホームセンターの来店客が大幅に増える中、会社は、いわゆる「3密」の状態となる危険性があるとして先月の大型連休中、国内のほぼすべてにあたる店舗を休業にする異例の対応をとりました。
その際、店頭に「来ないでください宣言」という表示を行い、話題となりました。
ホームセンター業界 競争は激化 コロナの影響で売り上げ増加傾向
ホームセンター業界は、各社が事業を拡大するために店舗を積極的に展開し、業界団体のまとめでは市場規模は4兆円近くにのぼっています。
しかし、ドラッグストアやネット通販などとの競争が激しさを増していることに加えて、消費税率の引き上げの影響もあって、このところ各社の売り上げは伸び悩んでいました。
こうした中、新型コロナウイルスの影響でテレワークに対応した商品や長時間、家庭で過ごすための商品を買い求める客が増え、各社の売り上げはことし2月ごろから増える傾向にあります。
既存の店舗で比較すると、各社の4月の売り上げは去年の同じ月より軒並み増えているほか、先月の売り上げも、ホーマックやカーマなどを展開する「DCMホールディングス」が15.6%、「コメリ」が17.5%、「アークランドサカモト」が21.1%とそれぞれ大きく伸びています。