中国で
審議されている
香港での
反政府的な
動きを
取り締まる法案に、
中国の
治安機関を
香港に
設置することや
国の
安全に関する裁判の
裁判官を
行政長官が
指名できるとする
内容が
盛り込まれていることが
明らかになり、
香港市民の
間では、「
一国二制度」の
形骸化だとして
懸念の
声が
強まっています。
今月18
日から
香港での
反政府的な
動きを
取り締まる「
香港国家安全維持法」を
審議していた
中国の
全人代=
全国人民代表大会の
常務委員会は20
日、
閉会し、
法案は
引き続き審議されることになりました。
国営の中国中央テレビなどによりますと、法案では、国家の安全に危害を加える犯罪行為として、国の分裂と政権の転覆、それにテロ活動、外国勢力と結託して国家の安全に危害を加える行為の4種類を規定しています。
また香港に「国家安全維持公署」という中国の治安機関を設置し、情勢の分析や犯罪事件の処理などを行うほか、国家の安全に危害を加える犯罪事件の裁判を担当する裁判官を、香港の行政長官が指名できるとする内容が盛り込まれています。
さらに、香港のほかの法律と矛盾する場合は「香港国家安全維持法」の規定を適用し、法律の解釈権は全人代の常務委員会が持つとしています。
こうした内容について、香港の民主派議員らは「司法の独立の精神に反するのは明らかで、『一国二制度』の原則に完全に背いている。表面上は『国家の安全を守る』といいながら、実際は香港市民の人権を奪うものだ」などと反発しています。
一部の香港メディアは、早ければ今月中に再度審議が行われる見通しだと伝えていて、法律が可決、施行されれば、中国政府に批判的な言論活動への締めつけがさらに強化されることになり、香港市民の間では、「一国二制度」の形骸化だとして懸念の声が強まっています。
香港行政長官「法律を香港で効果的に施行」
香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、声明を発表し、「香港政府は全力で支持し、職責を果たして関連する法律を香港で効果的に施行していく」として、支持する考えを示しました。
そのうえで、「中国政府の関連機関はこれまでに何度も、関連する法律は『一国二制度』や香港における高度な自治の方針を堅持すると強調しており、香港の資本主義制度と法律制度に影響を与えるものではない」として、「一国二制度」が損なわれるという指摘に反論しました。
「軽微な罪で禁錮3年、そのほかは禁錮5年から10年」
「香港国家安全維持法」を審議している中国の全人代=全国人民代表大会の常務委員会に出席した香港選出の譚耀宗氏は香港メディアのインタビューに対し、今回の法案で定められる罰則について、「軽微な罪で禁錮3年、そのほかは禁錮5年から10年だ」と述べました。
また譚氏は、香港に設置される中国の治安機関「国家安全維持公署」が「特定の状況下で、ごく少数の犯罪については管轄権を行使する」としていることについて、「管轄権を行使するのは、行政長官の要請にもとづいて、例えば、戦争といった極端な状況の場合だ」と説明しています。