デンマークにある美術館では先月24日から、労働の未来に関する展覧会を開催しています。この展覧会で来場者は、大きな2つの額縁に合計8万4000ドル(約940万円)相当の紙幣が埋め込まれた作品を目にするはずでした。
この作品はアーティストのイエンス・ハーニング氏によるもので、彼は過去に発表した2作品をこの展覧会で再現することになっていました。
だが展覧会に先立ち、オールボーのクンステン近代美術館に彼の作品が届くと、職員たちは驚くべき発見をした。額縁の中は空っぽだったのです。美術館がハーニング氏に貸与した現金が無くなっていたのは泥棒の仕業ではなく、「アート」の名の下に現金を保管しているハーニング氏自身によるものでした。
この「新しい」コンセプチュアルな作品は、ハーニング氏によって「Take the Money and Run(金を持って逃げろ)」と名付けられました。同作品は現在、労働、契約上の義務、作品の価値を巡って、美術館とアーティストの間で繰り広げられている議論の争点となっていますが、いずれも同展覧会のテーマにふさわしいものです。