そして、このうち1発はSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの可能性があるとした上で、最高高度50キロメートル程度を変則軌道で600キロ程度飛しょうし、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海に落下したと推定されると明らかにしました。
また、もう1発については「飛しょう距離などを引き続き分析中だ」と述べました。
さらに岸大臣は「発射されたミサイルがSLBMだとしたら、変則軌道は初めての可能性が高いのではないか」と指摘しました。
そして「アメリカ、韓国をはじめ関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、平和な暮らしを断固守り抜く決意だ。いわゆる『敵基地攻撃能力』の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく」と述べました。
それによりますと、会談では、朝鮮半島の情勢や懸案など共通の関心事について意見を交わし、今後も3か国の連携を強化していくことで一致したということです。 また、北朝鮮による19日のミサイル発射についても情報を共有したとしています。
北朝鮮が今回発射したのがSLBMだとすれば、おととし10月に東部のウォンサン(元山)沖から「北極星3型」を発射して以来となります。 韓国政府の関係者は、飛行距離はおよそ590キロ、高度はおよそ60キロだったとしたうえで、初めて潜水艦から新型のSLBMを発射した可能性があるとしています。
韓国の通信社、連合ニュースは、10月11日にピョンヤンで開幕した兵器の展示会で公開された、小型のSLBMとみられるミサイルの可能性もあると伝えました。 一方、韓国政府は、NSC=国家安全保障会議を開いて、対応を話し合い、関係国が協議を行っている中、北朝鮮がミサイルを発射したことに深い遺憾の意を表明しました。 そのうえで、アメリカなどとの緊密な協議を通じて必要な措置を講じるとともに、北朝鮮に対し、朝鮮半島情勢の安定が重要だとして対話に応じるよう求めるとしています。
そして「今回の発射はアメリカの人々や領土、あるいは同盟国への差し迫った脅威ではないと判断しているが、状況を監視し続ける。日本と韓国の防衛に対するアメリカの関与は揺るがない」として日韓両国と連携する姿勢を強調しました。
この背景について、防衛省がまとめた防衛白書では、発射する兆候の把握を難しくさせるための技術を取得し、奇襲的な攻撃能力の向上を図っていると指摘されています。 北朝鮮がSLBMの発射実験を初めて公開したのは2015年で、水中からの発射実験に成功したと発表しました。 そのよくとしには4月、7月、8月と相次いでSLBMを発射し、このうち8月はミサイルがおよそ500キロ飛行しました。 そして、おととしには、東部ウォンサン(元山)沖の海域で「北極星3型」の発射実験に成功したと発表しました。 発射は通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で行われたと推定され、防衛省は通常の角度で発射された場合、射程がおよそ2000キロになる可能性があると分析しています。 この発射について国営メディアは「われわれに対する外部勢力の脅威を抑制し、国の自衛的軍事力をさらに強化するのに新たな局面を開拓した」と強調しました。 その後去年10月には「北極星4」、ことし1月には「北極星5」と記された新型とみられるSLBMが軍事パレードで相次いで登場しました。 10月、首都ピョンヤンで開かれている兵器の展示会では、異なる大きさのSLBMとみられる兵器も公開されていて、SLBMの開発を継続していることを誇示していました。
北朝鮮が先月からミサイル発射実験を繰り返していることについては「さまざまなミサイル発射を行うことによって、北朝鮮の安全保障体制が非常に多様化され、緻密で体系化されていることを国際社会に示す意味があるのではないか」と分析しました。 発射されたミサイルがSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルだと推定されることについては、平岩教授は韓国も先月SLBMの発射実験を行ったことをあげ「北朝鮮がいきなりSLBMの実験をすれば国際社会から非難が集まることも意識していただろうが、韓国が先に発射実験を行ったことで仮に非難を受けても『韓国がすでに行ったことをわれわれはなぜやってはいけないのか』と反論することができる。そうして国際社会からの非難をかわしみずからの安全保障能力をより大きく示そうとしているのではないか」という見方を示しました。
日米韓国情報機関トップが会談
韓国軍 SLBMと推定
ミサイルが切り離されて2つになった可能性も
米軍「このような行為非難し、控えるよう求める」
中国外務省「関係国は自制を保ち、政治的な解決プロセスを」
発射実験を繰り返し技術向上進める北朝鮮
専門家「技術力の向上と同時に政治的メッセージ」