北朝鮮は、今月の5日と11日に北部のチャガン(慈江)道から弾道ミサイルと推定される飛しょう体を1発ずつ発射し、それぞれ翌日には、極超音速ミサイルの発射実験を行ったと発表していて、北朝鮮による飛しょう体の発射はことしに入ってからこれで3回目です。
今月11日の発射に立ち会ったキム・ジョンウン(金正恩)総書記は「国の戦略的な軍事力を質、量ともに持続的に強化し、戦争抑止力をいっそう強化するための成果を勝ち取らなければならない」と述べていました。
またアメリカのバイデン政権が12日、北朝鮮で核・ミサイル開発を担ってきたとされる機関の関係者などに対し、資金凍結などの経済制裁を科したと発表したことを受けて、北朝鮮外務省は13日、アメリカへの対抗措置も辞さないと反発する談話を発表していました。
北朝鮮は極超音速ミサイルを含む新型兵器の開発を盛り込んだ国防5か年計画を掲げる一方で、アメリカに対して「敵視政策の撤回」を繰り返し求めていて、今回再び発射することで、制裁の強化に動いたバイデン政権を強くけん制する狙いがあるとみられます。
その上で「これまでの弾道ミサイルなどのたび重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国と地域の平和と安全を脅かすものであり国際社会全体にとっての深刻な課題だ。国民の生命と財産を守り抜くため、引き続き情報の収集・分析と警戒監視に全力を挙げたい」と述べました。
防衛省によりますと、前回は内陸部から東方向に弾道ミサイル1発を発射しました。 最高高度は通常より低いおよそ50キロで、最大速度はおよそマッハ10に達し、左の方向に旋回するなど変則的な軌道で飛んだあと、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海に落下したと推定されています。
北朝鮮は3月に新型の弾道ミサイルを発射したのに続いて、9月から10月にかけて、立て続けにミサイルを発射しました。 このうち9月には新たに開発した長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したとして、「だ円や8の字の軌道に沿って2時間6分20秒飛行し、1500キロ先の目標に命中した」と主張しました。 この発表の2日後には、西部のピョンアン(平安)南道から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射し、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられています。 国営メディアは、山岳地帯で列車からミサイルを発射する映像を公開し、新たに組織された「鉄道機動ミサイル連隊」が射撃訓練を行ったと伝えました。 そして、およそ2週間後には北部のチャガン(慈江)道から弾道ミサイル1発を発射し、新たに開発した極超音速ミサイル「火星8型」の発射実験を初めて行ったと主張しました。 さらに10月には、東部のハムギョン(咸鏡)南道シンポ(新浦)から新型のSLBM=潜水艦発射弾道ミサイル1発を発射しました。 北朝鮮がSLBMを発射したのは、およそ2年ぶりで、国営メディアは「水中での作戦能力の向上に寄与するだろう」と強調しました。 ことしに入っても、キム総書記は国政運営の方針を示した演説で「朝鮮半島の軍事的環境は日増しに不安定になっている」と主張し、弾道ミサイルを相次いで発射します。 今月5日には、北部のチャガン道から日本海に向けて弾道ミサイル1発が発射され、北朝鮮は6日に、極超音速ミサイルの発射実験を行い「700キロ先の目標に誤差なく命中した」と強調しました。 この発射の6日後の11日に、再び北部のチャガン道から弾道ミサイル1発を日本海に向けて発射しました。 北朝鮮は12日に、極超音速ミサイルの発射実験を行ったと発表し「ミサイルから分離された弾頭が1000キロ先の水域に設定された目標に命中した」として発射実験に成功したと主張しました。 また、およそ1年10か月ぶりにキム総書記がミサイルの発射実験に立ち会ったと伝えられ、キム総書記は「国の戦略的な軍事力を質、量ともに持続的に強化し、戦争抑止力を一層強化するための成果を勝ち取らなければならない」と述べ、核・ミサイル開発を推し進める姿勢を改めて強調しました。 北朝鮮は、極超音速ミサイルの開発について、国防5か年計画の最優先事業の1つと位置づけ、技術的な特性を確認するための最終的な発射実験だったとしました。 これについて韓国軍は、最高速度がマッハ10前後だったなどと分析し、今月5日に発射した弾道ミサイルよりも技術的に「進展している」と明らかにしていました。
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1月11日以来 ことしに入って3回目
北朝鮮 核・ミサイル開発 推し進める姿勢