昔、三重県の北垣内(きたがいと)村に、嘘をつく名人の重蔵(しげぞう)という子供がいました。村人からも、今日はどんな嘘をついてくれるのか?と期待されていて、重蔵のつく嘘はみんなから愛されていました。
そんな重蔵も大人になり、毎日毎日村人たちのためにつく嘘を考え続けて、ついに病気で死んでしまいました。村人たちは反省し、ねんごろに重蔵の葬式を出してあげると、実は死んだふりの嘘でした。重蔵の嘘に、村人たちはいつも喜んでいました。
しかし重蔵も本当に年をとり、ついに寿命をまっとうする日が来ました。愛してくれた村人たちに、感謝として「床下にある壺の中にお金が入っているから使ってくれ」と遺言を残し、本当に死んでしまいました。
村人たちは泣きながら、床下の壺を堀り出して中を確認すると「嘘の言いじまい」とだけ書かれた紙が一枚入っていました。村人たちは最後まで、重蔵のつく嘘に騙されっぱなしでした。