吉野よしのさんは、大阪おおさか府ふ吹田すいた市し出身しゅっしんで71歳さい。京都大きょうとだい学がくの大学院だいがくいんを卒業そつぎょう後ご、旭あさひ化成かせいに入社にゅうしゃし、電池でんちの研究けんきゅう開発かいはつ部門ぶもんの責任せきにん者しゃなどを務つとめたほか、おととしからは名城めいじょう大学だいがくの教授きょうじゅも務つとめています。

吉野よしのさんは、「充電じゅうでんできる電池でんち」の小型こがた化かと軽量けいりょう化かを目指めざして開発かいはつに取り組とりくみ、当初とうしょは、ノーベル化学かがく賞しょうの受賞じゅしょう者しゃ、白川しらかわ英樹ひできさんが発見はっけんした電気でんきを通とおすプラスチック、「ポリアセチレン」を電極でんきょくに利用りようする研究けんきゅうをしていました。

その後そのご、コバルト酸さんリチウムという化合かごう物ぶつをプラスの電極でんきょくとして使つかう当時とうじの最新さいしんの研究けんきゅう成果せいかに注目ちゅうもくし、マイナスの電極でんきょくに炭素たんそ繊維せんいを使つかうなどした結果けっか、昭和しょうわ60年ねん、現在げんざいの「リチウムイオン電池でんち」の原型げんけいとなる新あらたな電池でんちの開発かいはつに成功せいこうしました。

小型こがたで容量ようりょうの大おおきいリチウムイオン電池でんちは、スマートフォンやノートパソコンといったＩあいＴてぃ-機器ききに欠かかせないものとなったほか、電気でんき自動車じどうしゃにも利用りようされるなど現在げんざいの社会しゃかいを支ささえる技術ぎじゅつとなっています。

こうした業績ぎょうせきは国内こくない外がいで高たかく評価ひょうかされていて、吉野よしのさんは平成へいせい16年ねんに紫綬しじゅ褒章ほうしょうを受章じゅしょうしたほか、平成へいせい26年ねんに「工学こうがく分野ぶんやのノーベル賞しょう」とも呼よばれるアメリカの「チャールズ・スターク・ドレイパー賞しょう」を、ことしはヨーロッパの特許庁とっきょちょうが主催しゅさいする「欧州おうしゅう発明はつめい家か賞しょう」を受賞じゅしょうしています。

日本人にっぽんじんがノーベル賞しょうを受賞じゅしょうするのは、去年きょねん、医学いがく・生理学せいりがく賞しょうを受賞じゅしょうした本ほん庶佑たすくさんに続つづき、アメリカ国籍こくせきを取得しゅとくした人ひとを含ふくめると27人にん目めで、化学かがく賞しょうは、９きゅう年ねん前まえの鈴木すずき章あきらさんと根岸ねぎし英一ひでかずさんに続つづいて８はち人にん目めとなります。