諦めず耐え抜き泳ぎ続けた25歳 初の五輪で金メダル
調子の浮き沈みで心が折れそうになりながらも耐え抜いた末に勝ち取った金メダルです。
故郷の滋賀で過ごした高校時代に出場した全国高校総体でその才能を日本代表の平井伯昌ヘッドコーチに見いだされ、大橋選手は大学入学とともに上京しました。
しかし、大学1年でひざの大けが、重度の貧血にも悩まされ2年生の時に出場した2015年の日本選手権では出場選手中、最下位という結果も経験しました。
「勉強して公務員を目指し、滋賀に帰ることも考えた」という大橋選手。
一方で平井コーチは「才能はあるけれども線が細い。時間がかかるのは最初からわかっていたので、近道をする必要はない」とじっくりと成長を見守ってきました。
その才能の芽が開花の兆しを見せたのは大学4年生になった2017年のことでした。
日本選手権の女子400メートル個人メドレーでそれまでの日本記録を3秒以上更新して初優勝。
初めて日本代表に選ばれたその年の世界選手権では200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得し、一気に注目を集める存在になりました。
ただ、その後の成長曲線は右肩上がりではありませんでした。
好不調の波に苦しみおととしの世界選手権の前には自分自身の泳ぎを見失い、「泳ぎたくなかったし、誰も知らないところに行きたかった」という所まで自分を追い込むこともありました。
それでも、プールにとどまった大橋選手はチームメートの萩野公介選手とほぼ同じメニューをこなすなど長い手足を生かした水の抵抗の少ない伸びやかな泳ぎに磨きをかけてきました。
去年3月、調子が悪いと感じていたにも関わらず、練習で想像以上のタイムをマークしたとき「迷いながらも泳ぎ続けたことは無駄じゃなかったんだ」と気づいたといいます。