収容しゅうようのスリランカ人じん女性じょせい死亡しぼう “体制たいせい不十分ふじゅうぶん” 局長きょくちょうら4人にん処分しょぶん

そのひとつはウィシュマさんに提供ていきょうされた医療いりょうが適切てきせつだったのかどうかです。

ウィシュマさんの死因しいんについては特定とくていにいたっていませんが、支援しえん者しゃや専門せんもん家かからはそもそも長期ちょうきにわたって明あきらかな体調たいちょうの悪化あっかがみられたのに、なぜもっとさまざまな角度かくどから検査けんさを行おこない、治療ちりょうや入院にゅういんなどの措置そちにつなげられなかったのか疑問ぎもん視しする声こえがあがっています。

ウィシュマさんは、ことし1月つき以降いこう、吐き気はきけや食欲しょくよく不振ふしんなどの体調たいちょう不良ふりょうを訴うったえ、施設しせつ内ないの診療しんりょう室しつのほか、外部がいぶの病院びょういんでも医師いしの診察しんさつを受うけました。

亡なくなるおよそ1か月かげつ前まえのことし2月つき5日にちに外部がいぶの消化しょうか器き内科ないかで診察しんさつや胃いカメラの検査けんさを受うけた結果けっか、ほぼ異常いじょうなしと診断しんだんされ、胃潰瘍いかいようなどを治療ちりょうする薬くすりの服用ふくようの継続けいぞくを指示しじされました。

支援しえんする弁護士べんごしらによりますと、このときの診察しんさつについて担当たんとうの医師いしは遺族いぞくらとの面会めんかいの中なかで「管理かんり局きょく側がわからは消化しょうか管かんのみの検査けんさを依頼いらいされた」などと説明せつめいしたということで、ウィシュマさんの体調たいちょうがその後そのご悪化あっかしていったにもかかわらず、およそ1か月かげつの間ま、外部がいぶの病院びょういんで追加ついかの検査けんさが行おこなわれたり、入院にゅういんの措置そちがとられたりすることはありませんでした。

弁護士べんごしらは体調たいちょう悪化あっかの原因げんいんそのものを突き止つきとめる検査けんさや適切てきせつな治療ちりょうが行おこなわれていないとしてその対応たいおうを批判ひはんしています。

ウィシュマさんがその後そのご、外部がいぶの病院びょういんを受診じゅしんしたのは亡なくなる2日にち前まえの3月つき4日にちで、精神せいしん科かでの診察しんさつと頭部とうぶのCT検査けんさを受うけましたが、精神せいしん科かの医師いしはその後そのごの遺族いぞくらとの面会めんかいの中なかで「管理かんり局きょく側がわからウィシュマさんが病気びょうきを装よそおっている可能かのう性せいについて伝つたえられた」と明あかしたということです。

弁護士べんごしらは、亡なくなる2日にち前まえの時点じてんでも管理かんり局きょく側がわがウィシュマさんが病気びょうきかどうかを疑うたがっていた可能かのう性せいがあるとしていて、追加ついかの検査けんさや入院にゅういん措置そちなど適切てきせつな医療いりょうが提供ていきょうされていれば亡なくなることはなかったのではないかと指摘してきしています。

次つぎに、ウィシュマさんの処遇しょぐうについても疑問ぎもん視しする声こえがあります。

ウィシュマさんは一時いちじ的てきに施設しせつから出だされる「仮かり放免ほうめん」について、亡なくなる10日にち余あまり前まえのことし2月つき22日にちに「体調たいちょうが悪わるい」といった理由りゆうで2度目どめの申請しんせいを行おこなっていました。

管理かんり局きょくでは仮かり放免ほうめんの方針ほうしんを検討けんとうしていたということですが、支援しえんする弁護士べんごしらは「速すみやかに仮かり放免ほうめんしていれば外部がいぶの病院びょういんで治療ちりょうを受うけさせることもでき、亡なくなることはなかったのではないか」として判断はんだんや手続てつづきの遅おそさを指摘してきしています。

また、弁護士べんごしらはウィシュマさんが職員しょくいんに繰り返くりかえし体調たいちょう不良ふりょうを訴うったえていたのに、なかなか外部がいぶの病院びょういんでの検査けんさや治療ちりょうにつながらず、支援しえん団体だんたいが入院にゅういんなどを求もとめて複数ふくすう回かいにわたって申し入もうしいれをしたのに実現じつげんしなかったとしています。

こうした対応たいおうについて専門せんもん家かなどからは「管理かんり局きょく内部ないぶでの意思いし決定けっていがどのようにされているのか不透明ふとうめいだ」などと指摘してきされていました。

さらに調査ちょうさの透明とうめい性せいについても、十分じゅうぶんではないという指摘してきがあります。

施設しせつ内ないでのウィシュマさんの様子ようすを映うつした映像えいぞうについて、出入国しゅつにゅうこく在留ざいりゅう管理かんり庁ちょうは保安ほあん上じょうの問題もんだいなどを理由りゆうに遺族いぞくに対にたいしても開示かいじしてきませんでした。

遺族いぞくらは「亡なくなるまでの施設しせつ内ないでの様子ようすを記録きろくした映像えいぞうは原因げんいん究明きゅうめいのためには欠かかせないものだ」として開示かいじを強つよく求もとめていて、出入国しゅつにゅうこく在留ざいりゅう管理かんり庁ちょうの佐々木ささき長官ちょうかんは近ちかく、遺族いぞくに対にたいして謝罪しゃざいし、最終さいしゅう報告ほうこくの内容ないようを説明せつめいするとともに、施設しせつ内ないでのウィシュマさんの様子ようすなどを写うつした映像えいぞうを開示かいじする考かんがえを明あきらかにしました。

今回こんかいの最終さいしゅう報告ほうこくに先立さきだち、出入国しゅつにゅうこく在留ざいりゅう管理かんり庁ちょうは、ことし4月つき、ウィシュマさんが亡なくなるまでの体調たいちょうの変化へんかなどをまとめた中間ちゅうかん報告ほうこくを公表こうひょうしています。

それによりますと、おととし1月つきから不法ふほう滞在たいざいだったウィシュマさんは、去年きょねん8月つきに施設しせつに収容しゅうようされ、ことし1月つき中旬ちゅうじゅん以降いこう、体調たいちょう不良ふりょうを訴うったえました。

このため、施設しせつ内ないや外部がいぶの病院びょういんで、合あわせて4人にんの医師いしの診察しんさつを受うけ、逆流ぎゃくりゅう性せい食道しょくどう炎えんや精神せいしん的てきな病気びょうきの疑うたがいがあると診断しんだんされ、薬くすりを処方しょほうされていましたが、3月つき6日にちに死亡しぼうしました。

ウィシュマさんは当初とうしょ、帰国きこくを希望きぼうしていましたがその後そのご「日本人にっぽんじんの支援しえん者しゃと日本にっぽんで暮くらしたい」として、ことし1月つきに、施設しせつから一時いちじ的てきに釈放しゃくほうされる仮かり放免ほうめんを求もとめましたが、認みとめられず2月つき下旬げじゅんに「体調たいちょうが悪わるい」などと訴うったえて、再ふたたび申請しんせいを行おこなっているところでした。

一方いっぽう、ことしの通常つうじょう国会こっかいには、不法ふほう滞在たいざいで国外こくがい退去たいきょの処分しょぶんを受うけた外国がいこく人じんの収容しゅうようの在り方ありかたなどを見直みなおす出入国しゅつにゅうこく管理かんり法ほうなどの改正かいせい案あんが提出ていしゅつされ、中間ちゅうかん報告ほうこくの公表こうひょう後ごに、本格ほんかく的てきな審議しんぎが始はじまりました。

立憲りっけん民主みんしゅ党とうや共産党きょうさんとうなどの野党やとう側がわは、同おなじような事態じたいを繰り返くりかえさないためにも、ウィシュマさんが死亡しぼうした真相しんそう究明きゅうめいが先決せんけつであり、改正かいせい案あんの採決さいけつには応おうじられないとしてきました。

中なかでも、問題もんだい視ししたのが、体調たいちょうが悪化あっかしていたにもかかわらず、「仮かり放免ほうめん」が認みとめられなかったことです。

野党やとう側がわは、死亡しぼうの2日にち前まえに診察しんさつを行おこなった医師いしの紹介しょうかい状じょうに、仮かり放免ほうめんを勧すすめる記述きじゅつがあったにもかかわらず行おこなわなかったことや、その記述きじゅつが、中間ちゅうかん報告ほうこくに盛り込もりこまれていなかったことなどを指摘してきし「調査ちょうさの客観きゃっかん性せいや公平こうへい性せいに疑義ぎぎがある」と批判ひはんしました。

そして、具体ぐたい的てきで客観きゃっかん的てきな証拠しょうことして、施設しせつ内ないのウィシュマさんの様子ようすなどを写うつした監視かんしカメラの映像えいぞうを開示かいじするよう求もとめました。

一方いっぽう、与党よとう側がわは「法案ほうあんの審議しんぎとウィシュマさんの死亡しぼうは別べつの話はなしだ」として、通常つうじょう国会こっかいでの成立せいりつを目指めざしたことから、改正かいせい案あんの採決さいけつをめぐって与野党よやとうの対立たいりつが続つづきました。

そして、打開だかい策さくを見みいだすための修正しゅうせい協議きょうぎが行おこなわれ、収容しゅうようの判断はんだんにあたっては透明とうめい性せいを確保かくほするための措置そちを講こうじることや、収容しゅうよう期間きかんの上限じょうげんを設もうけることなど、改正かいせい案あんの修正しゅうせい内容ないようについて大筋おおすじで合意ごういしましたが、野党やとう側がわは、制度せいどを運用うんようする出入国しゅつにゅうこく在留ざいりゅう管理かんり庁ちょうが、信頼しんらいの置おける組織そしきなのか明あきらかにする必要ひつようがあるとして、改あらためて、監視かんしカメラの映像えいぞうを開示かいじするよう求もとめました。

しかし、出入国しゅつにゅうこく在留ざいりゅう管理かんり庁ちょうが、故人こじんの尊厳そんげんを守まもることや、収容しゅうよう施設しせつの保安ほあん上じょうの理由りゆうから、開示かいじに応おうじなかったことから、協議きょうぎは決裂けつれつし、政府せいふ・与党よとうは改正かいせい案あんの成立せいりつを見送みおくりました。

ウィシュマさんの2人にんの妹いもうとはことし5月つきに来日らいにちし、上川かみかわ法務ほうむ大臣だいじんと面会めんかいするなどして姉あねの死しの真相しんそう解明かいめいを求もとめてきました。

ワヨミさんとポールニマさんは最終さいしゅう報告ほうこくの公表こうひょうを前まえにNHKの単独たんどくインタビューに応おうじました。

母親ははおやとウィシュマさんと4人にんで暮くらしてきた妹いもうとたちにとって、ウィシュマさんは優やさしく、父親ちちおや代かわりのしっかりものの姉あねでした。

その姉あねが日本にっぽんの入管にゅうかんの施設しせつ内ないで亡なくなったと聞きいたとき、信しんじられなかったといいます。

ワヨミさんは「とても優やさしい姉あねでした。お母おかあさんのように私わたしたちの面倒めんどうも見みてくれました。姉あねが亡なくなったと聞きいても信しんじられなかったです。人違ひとちがいだと思おもいました。実際じっさいに遺体いたいを見みても、違ちがう人ひとだと思おもうくらい信しんじられなかった。何なにの病気びょうきもなかったのに、入管にゅうかんで亡なくなったのはありえない」と振り返ふりかえりました。

姉あねの死しの真相しんそう解明かいめいを求もとめてきた2人にんは「報告ほうこく書しょは亡なくなった時ときにすぐに出だすべきなのに、出ださないのは入管にゅうかんのミスがあったからではないでしょうか」と話はなし、日本にっぽんの入管にゅうかんに対にたいする不信ふしん感かんをあらわにしました。

そして「入管にゅうかんがもっと配慮はいりょしていれば、姉あねが亡なくなることはなかったと思おもいます。わたしの姉あねはこの国くにを愛あいしてやってきました。このような死しに至いたったのは信しんじがたいし本当ほんとうに悲かなしい気持きもちです。最終さいしゅう報告ほうこくが信用しんようできる正確せいかくなものであることを望のぞんでいます」と訴うったえ、姉あねがなぜ亡なくなったのか助たすけることはできなかったのか、真相しんそうを明あきらかにするよう求もとめていました。

男性だんせいは自身じしんも収容しゅうよう中ちゅうに体調たいちょうが悪化あっかし、ことし6月つきに仮かり放免ほうめんされましたが、収容しゅうよう中ちゅうの医療いりょう環境かんきょうについて「中なかの人間にんげん（入管にゅうかんの職員しょくいん）たちは（収容しゅうようされている人ひとたちが）具合ぐあいが悪わるくても『ちょっと待まってください』と言いって、いつ診みてくれるのか決きまらないんです。『ナースが来きたら呼よびます』と言いったまま、1日にち、2日にち、3日にちたっても診みてくれない。どういうことかと思おもいました」と振り返ふりかえりました。

そのうえで「僕ぼくも彼女かのじょと同おなじ状況じょうきょうになっていたかもしれない。入管にゅうかんには人ひとの預あずかり方かたをもうちょっと考かんがえてほしいです。預あずかってるのは人間にんげんです。預あずかってるのは命いのちです。みんな考かんがえてほしい。自分じぶんの家族かぞくだったら、もし自分じぶんの息子むすこや娘むすめが他たの国くにでこういうことになって亡なくなったらどんな気持きもちかを考かんがえてみてください」と訴うったえました。