Japanese News: 政府主催の全国戦没者追悼式およそ310万人の戦没者慰霊

終戦しゅうせんから76年ねんを迎むかえた15日にち、およそ310万まん人にんの戦没せんぼつ者しゃを慰霊いれいする、政府せいふ主催しゅさいの全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきが都内とないで行おこなわれています。

東京とうきょうの日本にっぽん武道ぶどう館かんで開ひらかれた式典しきてんには、全国ぜんこくから遺族いぞくの代表だいひょうなどが参列さんれつしました。

ことしは新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいを受うけて、22の府県ふけんが遺族いぞく代表だいひょうの参列さんれつを断念だんねんし、参列さんれつ者しゃの数かずは午前ごぜん11時半じはん現在げんざいで181人にんと、これまでで最もっとも少すくなくなっています。

天皇てんのう陛下へいかが、皇后こうごうさまとともに式しき壇だんに着つかれたあと、国歌こっかが演奏えんそうされ、感染かんせん防止ぼうしのため、ことしも斉唱せいしょうは行おこなわれませんでした。

続つづいて菅かん総理そうり大臣だいじんが「私わたしたちが享受きょうじゅしている平和へいわと繁栄はんえいは、戦没せんぼつ者しゃの皆様みなさまの尊とうとい命いのちと、苦難くなんの歴史れきしの上うえに築きずかれたものであることを、私わたしたちは片へんときたりとも忘わすれません。戦争せんそうの惨禍さんかを二度にどと繰り返くりかえさない、この信念しんねんをこれからも貫つらぬいてまいります」と式辞しきじを述のべました。

式典しきてんでは、参列さんれつ者しゃが式しき壇だんに菊きくの花はなを手向たむけ、戦争せんそうの犠牲ぎせいになったおよそ310万まん人にんの霊れいを慰なぐさめます。

参列さんれつ者しゃ戦没せんぼつ者しゃの妻つまは初はじめて1人にんもいなくなる

終戦しゅうせんから76年ねんを迎むかえ、参列さんれつ者しゃの高齢こうれい化かも一層いっそう進すすんでいます。70歳さい以上いじょうの人ひとが全体ぜんたいの7割わりを超こえ、戦没せんぼつ者しゃの妻つまは、ことし初はじめて1人にんもいなくなりました。

最年長さいねんちょうの参列さんれつ者しゃで北海道ほっかいどうに住すむ94歳さいの長屋ながや昭次しょうじさんは、昭和しょうわ20年ねん、中国ちゅうごくに出征しゅっせいしていた兄あにの保ほさん（当時とうじ26）を病気びょうきで亡なくしました。

長屋ながやさんは「兄あには戦争せんそうに行いけるような体からだではなかったのに、なぜあんな人ひとを戦争せんそうに行いかせなければならなかったのか、兄あにを思おもうと、いつも泣なけてきます。戦後せんご、今日きょうに至いたるまで絶対ぜったいに戦争せんそうをしてはいけないということを考かんがえ続つづけてきました。ことしはコロナ禍かで正直しょうじきなところ、参列さんれつすることにためらいがありましたが、慰霊いれいのために何なん度どでも参列さんれつしたいと思おもっています」と話はなしていました。

参列さんれつ者しゃの高齢こうれい化かが進すすむ一方いっぽうで、ことしは10代だいの遺族いぞく4人にんが全国ぜんこくから参列さんれつしました。

このうち東京とうきょう都との高校こうこう3年生ねんせいで17歳さいの栗山くりやま栞しおりさんと隼はやぶさ輔さんの双子ふたごのきょうだいは、曽そ祖父そふの富田とみた美喜雄みきおさんが昭和しょうわ20年ねん6月つきに沖縄おきなわ本島ほんとうで戦死せんししています。

2人にんは親族しんぞくに声こえをかけられ、戦争せんそうの記憶きおくを受け継うけついでいこうと、今回こんかい、初はじめて参列さんれつしました。

式典しきてんの前まえに取材しゅざいに応おうじた栞しおりさんは「きょうは、曽そ祖父そふに『ありがとう。お疲れ様おつかれさまでした』と伝つたえに来きました。私わたしたちの世代せだいは、私わたしを含ふくめて戦争せんそうを直接ちょくせつ知しらず、身近みぢかな出来事できごととして感かんじるのが難むずかしいので、たくさんの人ひとが国くにのために戦たたかって命いのちを落おとしたということを分わかりやすく伝つたえ続つづける必要ひつようがあると思おもいます」と話はなしていました。

隼はやぶさ輔さんは「きょうは戦争せんそうで亡なくなった方々かたがたへの感謝かんしゃの気持きもちを胸むねに、若わかい世代せだいを代表だいひょうして花はなを手向たむけようと思おもっています。家族かぞくや友人ゆうじんのために命いのちをかけて戦場せんじょうに向むかってくれたその行為こういに、感謝かんしゃの気持きもちを抱いだき続つづけていかないといけないと思おもっています。これからもっと戦争せんそうを知しらない人ひとが増ふえていくと思おもうので、戦争せんそうを直接ちょくせつ知しらない世代せだいの目線めせんで、戦争せんそうについて伝つたえ続つづけていきたいと思おもっています」と話はなしていました。

天皇てんのう陛下へいか戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきでおことば

天皇てんのう陛下へいかは、皇后こうごうさまとともに全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきに臨のぞみ、厳きびしい感染かんせん状況じょうきょうにも触ふれながら、人々ひとびとの幸しあわせと平和へいわを願ねがうおことばを述のべられました。

終戦しゅうせんから76年ねんを迎むかえた15日にち、天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかは、東京とうきょうの日本にっぽん武道ぶどう館かんで行おこなわれた全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきに臨のぞまれました。

感染かんせん防止ぼうしのため、去年きょねんと同様どうよう参列さんれつ者しゃが大幅おおはばに減へらされる中なか、正午しょうごの時報じほうとともに全員ぜんいんで黙もくとうをささげ、天皇てんのう陛下へいかがおことばを述のべられました。

天皇てんのう陛下へいかは、はじめに「さきの大戦たいせんにおいて、かけがえのない命いのちを失うしなった数すう多おおくの人々ひとびととその遺族いぞくを思おもい、深ふかい悲かなしみを新あらたにいたします」と述のべられました。

そして「過去かこを顧かえりみ、深ふかい反省はんせいの上うえに立たって、再ふたたび戦争せんそうの惨禍さんかが繰り返くりかえされぬことを切せつに願ねがい、戦陣せんじんに散ちり戦禍せんかに倒たおれた人々ひとびとに対にたいし、全ぜん国民こくみんと共とともに、心こころから追悼ついとうの意いを表あらわし、世界せかいの平和へいわと我が国わがくにの一層いっそうの発展はってんを祈いのります」と結むすばれました。

おことばには、去年きょねんに続つづいて新型しんがたコロナウイルスに触ふれる一文いちぶんが加くわえられ、天皇てんのう陛下へいかは、現在げんざいの厳きびしい感染かんせん状況じょうきょうを新あらたな試練しれんと位置いちづけて「私わたしたち皆みながなお一層いっそう心こころを一ひとつにし、力ちからを合あわせてこの困難こんなんを乗り越のりこえ、今後こんごとも、人々ひとびとの幸しあわせと平和へいわを希求ききゅうし続つづけていくことを心こころから願ねがいます」と述のべられました。

式典しきてんの会場かいじょうでは、参列さんれつした遺族いぞくの代表だいひょうらが、天皇てんのう陛下へいかのおことばにじっと耳みみを傾かたむけていました。

天皇てんのう陛下へいかのおことば【全文ぜんぶん】

本日ほんじつ、「戦没せんぼつ者しゃを追悼ついとうし平和へいわを祈念きねんする日ひ」に当あたり、全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきに臨のぞみ、さきの大戦たいせんにおいて、かけがえのない命いのちを失うしなった数すう多おおくの人々ひとびととその遺族いぞくを思おもい、深ふかい悲かなしみを新あらたにいたします。

終戦しゅうせん以来いらい七なな十じゅう六ろく年ねん、人々ひとびとのたゆみない努力どりょくにより、今日きょうの我が国わがくにの平和へいわと繁栄はんえいが築き上きずきあげられましたが、多おおくの苦難くなんに満みちた国民こくみんの歩あゆみを思おもうとき、誠まことに感慨深かんがいぶかいものがあります。

私わたしたちは今いま、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの厳きびしい感染かんせん状況じょうきょうによる新あらたな試練しれんに直面ちょくめんしていますが、私わたしたち皆みながなお一層いっそう心こころを一ひとつにし、力ちからを合あわせてこの困難こんなんを乗り越のりこえ、今後こんごとも、人々ひとびとの幸しあわせと平和へいわを希求ききゅうし続つづけていくことを心こころから願ねがいます。

ここに、戦後せんごの長ながきにわたる平和へいわな歳月さいげつに思おもいを致いたしつつ、過去かこを顧かえりみ、深ふかい反省はんせいの上うえに立たって、再ふたたび戦争せんそうの惨禍さんかが繰り返くりかえされぬことを切せつに願ねがい、戦陣せんじんに散ちり戦禍せんかに倒たおれた人々ひとびとに対にたいし、全ぜん国民こくみんと共とともに、心こころから追悼ついとうの意いを表あらわし、世界せかいの平和へいわと我が国わがくにの一層いっそうの発展はってんを祈いのります。

菅かん首相しゅしょう「戦争せんそうの惨禍さんか二度にどと繰り返くりかえさず」

菅かん総理そうり大臣だいじんは、政府せいふ主催しゅさいの全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきの式辞しきじで、戦争せんそうの惨禍さんかを二度にどと繰り返くりかえさないという信念しんねんを貫つらぬくとともに、新型しんがたコロナウイルスを克服こくふくし、一いち日にちも早はやく安心あんしんな日常にちじょうを取り戻とりもどしたいという決意けついを示しめしました。

この中なかで、菅かん総理そうり大臣だいじんは「私わたしたちが享受きょうじゅしている平和へいわと繁栄はんえいは、戦没せんぼつ者しゃの皆みなさまの尊とうとい命いのちと、苦難くなんの歴史れきしの上うえに築きずかれたものであることを、私わたしたちは片時かたときたりとも忘わすれない」と述のべました。

そのうえで「わが国わがくには、戦後せんご一貫いっかんして、平和へいわを重おもんじる国くにとして歩あゆみ、世界せかいの誰だれもが、平和へいわで、心こころ豊ゆたかに暮くらせる世の中よのなかを実現じつげんするため、力ちからの限かぎりを尽つくしている。戦争せんそうの惨禍さんかを、二度にどと繰り返くりかえさない、この信念しんねんをこれからも貫つらぬいていく」と述のべました。

そして、菅かん総理そうり大臣だいじんは「積極せっきょく的てき平和へいわ主義しゅぎの旗はたの下した、国際こくさい社会しゃかいと力ちからを合あわせながら、世界せかいが直面ちょくめんするさまざまな課題かだいの解決かいけつに、全力ぜんりょくで取り組とりくんでいく。今いまなお、感染かんせん拡大かくだいが続つづく新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうを克服こくふくし、一いち日にちも早はやく安心あんしんと、にぎわいのある日常にちじょうを取り戻とりもどし、この国くにの未来みらいを切きりひらいていく」と述のべました。