東京都内で1人で暮らしています。
リウマチの持病があり、感染して重症化しないようにと、いち早く新型コロナウイルスのワクチンを接種していました。
2回目の接種を受けた8日後だったといいます。 女性 「リウマチのため免疫の働きを抑制する薬を服用していて、風邪ひとつでも症状がひどくなってしまうので、感染症には気をつけていました。インフルエンザのワクチンは毎年打っています。新型コロナのワクチンも接種券が届いてすぐに打ちました。熱が出てきたときは、冷房のなかにいることが多かったから夏風邪をひいたのかと思いました。でも熱が下がらなくて、だんだん味覚と嗅覚もおかしくなってきて、もしかしたらって7月29日にかかりつけ医にPCR検査をしてもらいました」
血液中の酸素飽和度は99%だったこともあり、かかりつけ医に軽症と診断されて女性は自宅療養することになりました。 基礎疾患があるため重症化するのではないかと心配で保健所には宿泊施設で療養したいと伝えましたが、「より深刻な症状の人が多いため今は絶対に無理だ」と告げられたといいます。 女性 「熱は38度、高いときで39度前くらいまで上がるような状態で、こみ上げるようなせきが出ました。通常の風邪のときとは違う、肺からこみ上げてくるような、痛みというか息苦しさを感じるようなせきです。横になったりかがんだりすると一気にせき込んで、夜になると熱が上がって、1人ということもあって夜がすごく不安でした」
しかし、保健所や都のフォローアップセンターの業務がひっ迫しているためか、届きませんでした。 女性は神奈川県の実家に頼んで食料品を部屋の外に置いてもらい、朝と夜の1日2回、電話やLINEで家族に体調を報告していたといいます。
「保健所との最初の電話のときに『食べ物は段ボールで届きますから安心してください』と言われたんですが、2回目の電話のときにも届いてなくて、『送り切れてないです』とのことでした。食欲がまるでないし味もにおいも分からないので、母と弟に頼んでレトルトのおかゆとかゼリーとかアイスとかのどごしがよいものを持ってきてもらって。シーツとかタオルとか汗をかいたままでは嫌なので熱を出しながら洗濯や洗い物をして。つらかったですね、それは」
女性 「自宅療養者はほとんど放置に近いのだと感じました。眠るときは携帯を枕元に置いていました。ひとりなので自分の症状がこの先どうなるのか分からない。パルスオキシメーターもないし、悪化したときになすすべがないという不安が強かったです。自宅療養していた人が重症化したとか救急車を呼んでも搬送されないというニュースを見聞きしていたし、どんな症状になったら危険なのかも分からないので、もしかしたら誰にも気づかれず死ぬかも知れないと生まれて初めて意識しました」
自宅療養者用の食料品が届いたのは、その電話の3日後でした。
「急に感染者が増えて保健所も混乱しているのでしょうが、後手に回ってしまっているなという印象でした。私の場合は家族のサポートがありましたが、本当に1人で年配の方などは、どうしていいかわからなくなってしまうのではないでしょうか」
いまも味覚や嗅覚は完全には戻っておらず、おいしいと思えるのは味噌汁だけだといいます。 ワクチン2回接種後の感染。 これまで以上に感染対策に気をつけているということです。 女性 「ワクチンを打ったあともかなり注意はしているつもりでした。でも、どこかで自分は感染しないという気持ちで過ごしていたかもしれません。自分の意識も甘かったなって反省してるんです。ワクチン2回打っても感染しましたが、ワクチンを打っていなかったらもっとひどくなっていたのではないかと思うし、わりと回復して、後遺症はあっても日常生活を送れるようになったのでやはり受けて良かったです。治療薬がない限りは危険は続くし、何もなかった日常にはとうてい戻れないので、個人の意識がゆるむ段階ではないと思います。ワクチンを打てる環境にある人は打って、自分ができることはやっていくということだと思います」 (取材:社会部 記者 高橋歩唯)
基礎疾患あっても「自宅療養」 1人暮らしで不安な夜
届くはずの食料品など届かず 実家に頼んで…
「自宅療養者はほとんど放置に近い」
食料品が届いたのは「療養終了」の3日後
ワクチン接種後の感染 それでも自分ができることを