日本新聞: 鬼っこ人っこ - Todaii: Easy Japanese

鬼おにっこ人ひとっこ

Feb 19, 2025 16:02

Furigana

昔むかし、里さとの女おんなが鬼おににさらわれ、やがて「できぼし」という男おとこの子こが生うまれた。

ある日ひ、里さとの爺じいさんが娘むすめに会あうために鬼おにの家いえに訪たずねてきて、その晩ばんは鬼おにの家いえに泊とまっていくことになった。しかし、美味おいしそうな爺じいさんを食たべたくて仕方しかたがなかった鬼おには、皆みなが寝込ねこんでから長ながい舌したを爺じいさんの方ほうに伸のばしてはできぼしにポカリと叩たたかれ、を一晩中ひとばんじゅうくりかえした。

翌日よくじつ、鬼おにが出でかけている間あいだに三人さんにんはこっそりと里さとへ逃にげ帰かえる事ことにした。できぼしは家いえの中なかのあちこちにウンコをして、自分じぶんの代かわりに返事へんじするように言いいつけた。しかし、鬼おにがみんな逃にげ出だしている事ことに気きが付つき追おいかけてきた。

川かわをイカダで逃にげていく三人さんにんを見みつけた鬼おにが、川かわの水みずを全部飲ぜんぶのみほすとイカダは止とまってしまった。腹はらがタブタプになって走はしって来くる鬼おにに向むかって、できぼしが尻しりをペチペチと叩たたくと、思おもわず笑わらい出だした鬼おにが川かわの水みずを全部吐ぜんぶはき出だした。その水みずの勢いきおいに乗のって、三人さんにんは無事ぶじに逃にげ延のびた。

しばらくたった節分せつぶんの夜よる、鬼おにができぼしを探さがしに爺じいさんの家いえにやって来きた。家いえの軒のきに、やいかがし（焼やいたイワシの頭あたま）が刺さしてあるのを見みた鬼おには、できぼしを焼やいてしまったと勘違かちがいして、恐おそろしくなって山やまに逃にげ帰かえった。

一安心ひとあんしんした爺じいさんができぼしの頭あたまを撫なでると、できぼしの頭あたまの角かくがポロリと落おちた。それからのできぼしは人間にんげんの子供こどもとして幸しあわせに暮くらした。