これは、映画で有名なスーパーマンをまねた遊びで、動画共有アプリ「TikTok」で拡散され、子どもや若者の間で世界的に流行しています。
しかし、この遊びの最中に、子どもたちがけがをするケースが各地で相次いでいます。
東京に住む男子生徒は先月、SNS上でこの遊びを知って、友人もやっていたことから自分も挑戦したところ、地面に落下して両手首を骨折する大けがをしました。
生徒は「SNSだと笑いながら楽しそうに遊んでいたので、最初は危険だと分かりませんでした。はやっているからといって、軽はずみな気持ちでやらないでほしいと伝えたいです」と話していました。
生徒の父親は「『スーパーマンチャレンジ』なんて聞いたこともなく、戸惑いました。子どもたちは、自分でリスク管理ができない部分もあるので、時代にあわせたデジタル教育を家庭や学校がしないといけないと感じました」と話していました。
このケース以外にも、兵庫県ではスーパーマン役の男子生徒がおよそ2メートルの高さから落ちて、頭蓋骨を骨折する大けがをしたほか、沖縄県浦添市では、この遊びの最中に数人の子どもたちがけがをし、教育委員会が注意喚起を促す文書を学校に配布する事態も起きています。
SNS上の動画をきっかけに、それをまねた子どもたちの間で相次ぐ事故について、佐久医療センター小児科坂本昌彦医師は「SNSを介した危険な遊びは、全世界に一気に広がります。また、遊びの延長なので、危険性は認識されにくいです。非常に大きなけがにつながるリスクがあるので、注意が必要かなと思っています」と話しています。
国内外でけがの投稿や報告
「スーパーマンチャレンジ」は今月に入り、SNSでけがに関連する投稿が増えていました。
このうちXでは、「スーパーマンチャレンジ」をして「たぶん骨折しました」などと自身のけがを明かしている投稿や、「息子が腕を折りました」「息子が頭を強打してCTを撮った」「友達がケガをした」など、身の回りの人のけがについての投稿が複数確認できました。
また、「学校で禁止になった」という投稿もみられ、沖縄県浦添市の小学校では今月16日付けで、「(県内外で)けがを負う生徒が多数出てきており、学校において大きな問題となりつつあります」などとして、SNSの動画を安易にまねして危険な行為をしないよう、注意を呼びかける文書を出しています。
けがの報告は海外でも相次いでいます。
イスラエルでは子どもや若者のけがが相次いでいると現地メディアが伝えたほか、フランスやギリシャ、ルーマニアなどでも同じようなケースが報じられています。
「TikTok」では現在、「スーパーマンチャレンジ」と検索しても動画が表示されず、「コミュニティガイドラインに違反する言動またはコンテンツと関連している可能性があります」と表示されるようになっています。
TikTokを運営する会社の日本法人はNHKの取材に対し、「検索やハッシュタグから関連する動画を検索できないようにし、審査を強化するなどの対策を講じています」としています。
同様の措置は日本だけではなく世界的にとられているということで、こうした動画の広がりについて運営する会社の日本法人は、「TikTokでは危険なチャレンジを助長または推奨するようなコンテンツは許容しません」とコメントしました。
過去に「○○チャレンジ」で死亡したケースも
SNSでは、これまでも「○○チャレンジ」と称した危険な遊びが世界的に流行し、けが人が相次いでいます。
このうち、みずからの首を絞めて失神させるという遊びでは、海外では死亡事例も報告されています。
また、足を蹴って相手を転ばせるというものでは、重症者が出たケースもあるということです。
日本では3年ほど前に、寄り目を繰り返す遊びが流行しましたが、医師の中には長時間行うと目の機能が損なわれ、寄り目が戻りにくくなるため、やめた方がいいという意見もあります。