4日の国内の反応をまとめてお伝えします。
アメリカのトランプ大統領は3日、「相互関税」として日本に24%の関税を課すと表明したほか、アメリカに輸入される自動車に25%の追加関税を課す措置も発動されました。
これを受けて、自民党は4日朝、対策本部の会合を開きました。
冒頭、小野寺政務調査会長は「アメリカの関税措置は、日本のみならず、世界経済全体に多大な影響を及ぼすもので極めて遺憾だ。党としても、現場の声を聞きながら、議論を深め、さらなる対応について政府に申し入れたい」と述べました。
4日の会合では「日本自動車工業会」など自動車関係の業界団体から聴き取りを行い、団体側は、追加関税の適用除外に向けたアメリカとの交渉の継続や、部品製造などを担う中小企業に対する資金繰り支援などを求めました。
このあと出席した議員からは「国内産業や雇用を守るためにあらゆる政策を早期に打つべきだ」という意見や「関税措置の見直しに向けてしっかり外交交渉を行う必要がある」という指摘などが出されました。
また、対抗措置を求める声のほか、自動車の輸出が減る場合、国内需要を喚起する政策が必要だという意見も出たということです。
日本自動車工業会「サプライチェーン壊れると修復難しい」
日本自動車工業会の片山正則会長は自民党の対策本部の会合のあと記者団の取材に応じ、「一度サプライチェーンが壊れると修復が難しいので、まずは短期のところで、資金的な支援をお願いした。われわれは開かれた自由貿易が基本的なスタンスなのでちゃんと守っていくし、逆に相手の国にもそれを理解してほしいという話もした」と述べました。
また、日本自動車部品工業会の茅本隆司会長は「日本の中で、ものづくりが空洞化していくことが非常に怖い。中堅・中小企業を含めて、非常にいい技術を持っているが、関税を機にそれが失われると、取り戻せなくなる。ものづくりの力が落ち、サプライチェーン全体が弱るのが非常に怖いという話をさせていただいた」と述べました。
その上で「交渉で関税が除外になればありがたいし、税率が低減されるのもありがたいので、粘り強く交渉してほしいというお願いをした」と述べました。
小野寺政調会長 米臨時代理大使に措置の撤回求める
自民党の小野寺政務調査会長は、4日午前、党本部でアメリカのヤング臨時代理大使と会談しました。
この中で小野寺氏は、会談に先立って開かれた党の対策本部の会合で、今回の関税措置に厳しい意見が相次いだことを伝えた上で、措置の撤回を求めました。
これに対し、ヤング臨時代理大使は本国に要望を伝えると応じました。
このあと小野寺氏は記者団に対し「日本とアメリカは同盟国として、長い間、信頼関係をつくってきた。これだけの関税をかけられることに、強い憤りを持っているということを伝えた」と述べました。
【首相や閣僚 与野党からも発言相次ぐ】
石破首相「国難とも称すべき事態」党首会談へ
石破総理大臣は、衆議院内閣委員会で、トランプ政権による関税措置について「わが国は、アメリカにとって最大の投資国であり、最大の雇用も創出してきた。『わが国だけ勘弁してね』というようないいかげんなことを言っているわけではなく、そういう意味で極めて遺憾であり不本意だ」と述べました。
その上で「税率の積算根拠が全く分からない。どうしてこうなるのかということは、感情的にならず、きちんとただしていくことが必要だ」と述べ、引き続き、税率の根拠をアメリカ側にただしていくと説明しました。
そして「国難とも称すべき事態で、政府・与党のみならず、野党各党も含めた超党派で検討、対応する必要がある。国、与野党を挙げて取り組み、これ以上ない対応をしていく」と述べ、4日午後の党首会談を通じて、与野党の意見を聴き、対応に万全を期す考えを強調しました。
林官房長官「超党派で検討 対応する必要がある」
アメリカのトランプ政権の関税措置について、林官房長官は、党派を超えて検討すべき課題だとして、石破総理大臣と与野党の党首との会談で野党の意見も聴き、対応に万全を期す考えを示しました。
林官房長官は、4日の閣議のあとの記者会見で、アメリカのトランプ政権の関税措置について「一方的な措置をとるべきでないと申し入れてきたにもかかわらずアメリカが発表したことは、極めて遺憾だ」と述べ、石破総理大臣の指示を踏まえ、関係閣僚で協力し、政府を挙げて必要な取り組みを進めていく方針を重ねて強調しました。
その上で「政府・与党のみならず、野党各党を含めた超党派で検討、対応する必要がある」と述べ、石破総理大臣と与野党の党首との会談で、野党の意見も聴き、対応に万全を期す考えを示しました。
武藤経産相 「国益を守る観点から見直し求める」
武藤経済産業大臣は4日の閣議のあとの会見でこの関税措置が発動される今月9日までの間のアメリカへの対応を問われたのに対し「アメリカと日本はそれぞれ立場が違うが、国益をいろいろと考えながら、成すべきことを必ずや成し遂げていかなければならない」と述べ、国益を守る観点から、アメリカに措置の見直しを強く求めていく考えを改めて示しました。
一方、経済産業省は、3日、関税措置の影響を受ける企業への資金繰り支援などを決めていますが、武藤大臣は、「国内産業への影響の把握を速やかに行いながら、追加の対応も検討していく」と述べ、国内産業への影響の大きさによっては、追加の対応も検討していく考えを示しました。
江藤農相「食品産業全体 きめ細やかな情報収集」
江藤農林水産大臣は4日の閣議のあとの会見で、農林水産物と食品の輸出額が1兆5000億円まで伸びてきていることを指摘した上で「一番の輸出先は何と言ってもアメリカだ。そこが非常に高い関税を課してくるとなれば、非常に影響はある」と述べました。
その上で「どのような影響があるのか生産現場だけでなく食品産業全体にわたってきめ細やかな情報収集をし、資金繰りも含めてどのような対応が可能か早急に検討を進めていきたい」と述べ、国内の農林水産業や食品産業への影響を精査し、対応策の検討を進めていく考えを示しました。
また、トランプ大統領が日本はアメリカ産のコメに700%の関税をかけていると批判したことに関連し、コメの関税の引き下げやアメリカからの輸入拡大などの対応を考えているか問われたのに対し、江藤大臣は「いま、そのようなところに踏み込む段階ではない。まずは影響をしっかり分析する」と述べました。
中野国交相 国際物流への影響精査
中野国土交通大臣は、閣議のあとの会見で「米国政府から一方的な関税措置が発表されたことは、私も大変遺憾に思っている」と述べました。
その上で「例えば国際物流については、グローバルなサプライチェーンへの影響が想定されるが、そのほかの所管分野への影響も含めて精査、分析していく」と述べました。
また、アメリカ政府が、非関税障壁として自動車関連の基準や認証の手続きに言及していることについて「わが国の基準や認証の手続きは国連の基準に合致しているものだ」と述べました。
公明 齋藤代表「この難関を乗り越えていけるかが重要」
アメリカのトランプ政権による関税措置を受けて、公明党は4日朝、政務調査会の関係部会による合同会議を開きました。
この中で、斉藤代表は「日本経済全体や個別の産業に与える影響が非常に大きい。私の地元は自動車産業が盛んな広島だが、私のもとにも心配の声が寄せられている。いかにこの難関を乗り越えていけるかが重要であり、われわれとして何ができるか議論したい」と述べました。
そして、会議では、外務省や経済産業省の担当者から関税措置の内容などについて説明を受け、出席者からは、経済への影響など状況を的確に把握することや、各国との緊密な連携を求める意見などが出されました。
立民 野田代表「総理みずから じか談判を」
立憲民主党の野田代表は、記者会見で「これまで外務大臣や経済産業大臣がアメリカ側と交渉してきたことが、トランプ大統領にあがっているのか。日本の主張が大統領に届いていないのではないかと心配している」と述べました。
その上で「石破総理みずからが、先頭に立って、じか談判し、日本の基本的な姿勢を示すことが大事ではないか。もし訪米するなら、それを妨げるものではないし、少なくとも電話会談は、早めにした方がいい」と述べました。
また「さまざまな分野に影響が出てくるので、政府は、省庁横断的なチームを作り、総力を挙げて交渉すべきだ。『日本を例外扱いしてほしい』と言っていてもきりがないので、ほかの国に呼びかけながら、国際協調路線の先頭に立つ構えを示すべきだ」と指摘しました。