そして、「最終18番のティーショットがフェアウェイにいったことがいちばんのキーポイントになった」と振り返ったうえで、初めての日本選手の優勝については「僕が勝ったことによってこれから先、日本選手がすごく変わっていくのではないかと思っている。僕も、もっともっと勝てるように頑張りたい」と話していました。
そのうえで「2011年のマスターズでは、東日本大震災で日本の国民が大きく傷ついているときに、見事ローアマチュアに輝き、特に被災した方々に勇気を与えてくれました。そして今回、新型コロナウイルスの世界的な拡大によって、皆さんの気持ちが落ち込んでいる状況の中でのマスターズ優勝で、本当に多くの方々に希望を与えてくれたと思います」としています。 さらに「今回の優勝は、ゴルフ界の将来を担う子どもたちに大きな夢を与えてくれたに違いありません。将来のプロゴルファーのためにも、松山選手の持っている心の強さ、忍耐力、技術の高さを、これからもいかんなく発揮し、披露してくれることを願っています」とメッセージを送っています。
ことしのマスターズは、観客数が例年の5分の1程度と大きく制限されていて、会場に入ることができなかったゴルフファンがオーガスタ市内のスポーツバーで観戦する姿が見られました。 ファンたちは松山選手と最後まで優勝を争った2位のアメリカの選手を応援しながらも、松山選手が優勝を決めると手をたたいて「おめでとう」などと祝福していました。 地元・オーガスタ出身の男性は「私たちにとってこの大会は誇りだし、優勝はすごいことだ。いろいろな国の選手が優勝するのはいいことだし、日本にとっても大きな意味があると思う」と松山選手の初優勝をたたえていました。 また、別のゴルフファンの男性は松山選手について「3日目の後半9ホールのプレーは、今までゴルフを見てきた中で1番すばらしいプレーだった。見ていて本当に楽しかった。彼はとても落ち着いてプレーしていたし、楽しそうにしているのがよかった」と話していました。
力強く正確なショットと巧みなテクニック、そして勝負強いパットが持ち味で、これまで国内ツアーで8勝、アメリカツアーで5勝を挙げています。 東北福祉大学の2年生で19歳だった2011年に、海外メジャー大会の「マスターズ・トーナメント」に出場し、日本選手最年少で予選通過を果たして27位に入りアマチュアで最も成績がよい「ローアマチュア」に輝きました。 その年の11月にはアマチュアで国内ツアー大会を制し、2013年4月に大学に通いながらプロに転向しました。 この年、国内ツアーで4勝をあげて新人として初めて賞金王に輝き、2014年からはアメリカツアーに本格的に挑戦しました。 そして、この年(2014年)の6月には日本選手として史上最年少の22歳で、アメリカツアー優勝を果たしました。 アメリカツアーでの優勝は男子では青木功選手、丸山茂樹選手、今田竜二選手に次いで4人目でした。 2017年2月にはアメリカツアーで丸山茂樹選手の記録を抜いて日本の男子選手では単独で最多となる通算4勝目を挙げ、さらに8月の世界選手権シリーズ第4戦で通算5勝目をあげました。 海外メジャーではこの年(2017年)の全米オープンで2位に入りました。 しかし、2018年の左手のけがの影響などもあってその後、ツアーでの勝利から遠ざかっていました。 ショットや、パットの感覚を確かめながらのゴルフが続く中、去年11月の大会では2位に入るなど復調を見せていました。
この海外メジャー大会を最も多く制したのは1960年代から90年代にかけて活躍し、「帝王」とも呼ばれたアメリカのジャック・ニクラスさんで、4つの大会で合わせて18回の優勝を誇っています。 1990年代からはアメリカのタイガー・ウッズ選手が活躍しおととし(2019年)のマスターズで11年ぶりの勝利を挙げたウッズ選手は歴代2位の15勝を積み上げています。 一方、日本選手はこれまでこの4つのメジャー大会で優勝の経験はなく、青木功選手が1980年に全米オープンで2位に入ったのが最高でした。 松山英樹選手は2017年の全米オープンで青木選手に並ぶ2位に入り、マスターズでも2015年に5位となるなど日本の男子選手として初めてとなる海外メジャー大会優勝への期待が高まっていました。
会場のアメリカ・ジョージア州にある「オーガスタ・ナショナルゴルフクラブ」は「ガラスのグリーン」と呼ばれるほど、速くボールが転がるグリーンが特徴で難易度の高いコースです。 また、11番から13番までの3つのホールは風向きを読みにくく「神に祈るほど難しい」ことから「アーメン・コーナー」と呼ばれています。 メジャー大会の優勝者や世界各地のツアーの賞金ランキング上位者など限られた選手のみが招待される大会で、優勝者がはおる「グリーンジャケット」はすべてのゴルファーの憧れとも言われています。 これまでに多くの日本選手が挑んできましたが2001年の伊澤利光選手、2009年の片山晋呉選手が4位に入ったのが日本選手としての最高成績です。 松山選手はアマチュアとして初めて出場した2011年に27位に入り、アマチュアとして最も成績のよい「ローアマチュア」に輝き、これまでは2015年の5位が最高成績でした。
この日はイーグル1つ、バーディー2つ、ボギー1つの3アンダーで、首位と4打差の2位と好スタートを切りました。
この日は、イーグル1つ、バーディー2つ、ボギー3つで回ってスコアを1つ伸ばし、通算4アンダーとして首位と3打差の6位で決勝ラウンドに進みました。
再開後の11番、12番を連続バーディーとすると15番のパー5で3日連続となるイーグルを奪い単独首位に立ちました。 続く16番と17番も連続バーディーで後半だけで6つスコアを伸ばしこの日はイーグル1つ、バーディー5つ、ボギーなしの会心のラウンドで通算11アンダーとして2位に4打差をつけて単独首位に立っていました。
青木功会長「ゴルフ界の将来担う子どもたちに大きな夢」
地元オーガスタのファンは
松山英樹 これまでの歩み
海外メジャー大会とは
多くの日本選手が挑んできたマスターズ・トーナメント
今大会の松山の成績
第1ラウンド:2位で好スタート
第2ラウンド:首位と3打差の6位に
第3ラウンド:単独トップに立つ
アメリカ・ジョージア州のオーガスタ・ナショナルゴルフクラブで11日、行われた最終ラウンドで29歳の松山選手は通算11アンダーで2位と4打差の単独首位でスタートしました。
松山選手は出だしの1番をボギーとしますが、続く2番のパー5をバーディーとしてすぐに取り返します。
さらに8番、9番と連続バーディーを奪って、前半、スコアを2つ伸ばして折り返します。
後半に入ると、12番のティーショットをバンカーに入れ、この日2つ目のボギーとしますが、直後の13番パー5でバーディーを奪い、再びスコアを戻します。
しかし、15番のパー5の第2打を池に入れてボギーとしたあと16番も連続ボギーとしてスコアを落とし我慢のゴルフが続きます。
2位と2打差で迎えた最終18番をボギーでしのぎ、1打差で首位を守りました。
松山選手は最終ラウンドをバーディー4つ、ボギー5つでスコアを1つ落としたものの、通算10アンダーで初めてのマスターズ優勝を果たしました。
日本の男子選手が、ゴルフの海外メジャー大会で優勝するのは初めてで、松山選手は10回目のマスターズ出場で歴史的な快挙を成し遂げました。
松山「いいプレー見せられ本当によかった」
男子ゴルフのマスターズ・トーナメントで初優勝を果たした松山英樹選手は「本当にうれしく思っています。きょうは朝からずっと緊張していたので、最後まで緊張しっぱなしで終わりました。いいプレーを見せられて本当によかった」とほっとした表情で話していました。
海外メジャーの全米オープンで1980年に2位に入り、現在は日本ゴルフツアー機構の会長を務める青木功選手がコメントを出し「日本初、アジア初となる今回の優勝は、私だけでなく、日本全国のゴルフファンや関係者が待ち望んだ瞬間でした」と悲願の初優勝をたたえました。
男子ゴルフの海外メジャー大会「マスターズ・トーナメント」が開かれたジョージア州オーガスタでは、会場近くのスポーツバーで多くの地元ファンが優勝争いの行方を見守りました。
松山英樹選手は愛媛県出身の29歳。
男子ゴルフの海外メジャー大会は、マスターズ・トーナメント、全米オープン、全英オープン、それに全米プロ選手権の4つの大会で、出場条件の厳しさや賞金額、それに歴史と伝統などから世界で最も注目を集める大会です。
1934年から始まったマスターズ・トーナメントは4つの海外メジャー大会のうち、唯一、毎年同じコースで行われます。
今大会の松山英樹選手の成績です。
第1ラウンドは前半の2番で6メートルのパットを決めてバーディーを奪ったあと、8番のパー5では7メートルのイーグルパットを沈めました。
第2ラウンドは後半最初の10番をボギーとしましたが、13番のパー5でグリーン奥からの残り14ヤードをパターで直接入れてイーグルを奪いました。
前半は安定したショットで、7番でバーディーを奪いスコアを1つ伸ばして折り返すと後半の11番でティーショットを打ったあと雷雨で1時間余り中断を余儀なくされました。
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