大会組織委員会は4月から各競技のテスト大会を行い、コロナ対策を含む運営面の課題を確認することにしていますが、水泳のうち水球と飛び込み、それにアーティスティックスイミングの3つのテスト大会が、海外から入国する関係者の隔離措置などをめぐって国と競技団体などの間で調整がつかず延期されました。
大会開催への否定的な見方がある中で、100日に迫った開幕に向けて、国民の納得する形で、安全に大会を開催するための道筋を示すことができるのか、組織委員会などは重大な局面を迎えています。
日本選手の代表選考は3月から再び本格化して、アーチェリーやソフトボールで内定選手が決まり、4月に入って行われた競泳の日本選手権では白血病から競技に復帰した池江璃花子選手が4冠を達成しリレーの代表選手に内定するなど、競泳だけで32人が新たに代表に内定しました。
国内ではこれまでに15競技で合わせて173人がオリンピックの代表に内定しています。 日本代表は33競技で合わせて600人前後になるとみられ、今後、体操は4月の全日本選手権や5月のNHK杯、また陸上は6月の日本選手権などが代表選考会として行われ、大会直前まで急ピッチで代表選考が進みます。 一方、新型コロナウイルスの影響で、パリで行われる予定だったボクシングの最終予選が中止となったほか、水泳では国内で行われる予定だった飛び込みが2週間ほど遅れて開催されたり、マラソンスイミングが開催地を変更したりするなど、競技によっては流動的な対応も続いています。
大会組織委員会によりますと、東京大会ではオリンピック・パラリンピックの期間中を通じて1万人程度の医療従事者に競技会場で活動してもらうため協力を依頼しているということです。 1日あたりでは、最大で医師300人程度と看護師400人程度が必要となり、このうちそれぞれ100人程度に新型コロナ対策に当たってもらう計画です。 しかし、医療機関側との調整は難航していて5日間程度と見込んでいる活動日数を短くしてほしいといった要望も組織委員会に寄せられているということです。 また、今後決まる観客数の上限によっては必要となる医療従事者の数が変わる可能性もあり、組織委員会は、活動日数の調整や医療機関に対する協力金の支払いを検討するなどして医療体制の整備を急いでいます。 一方、大会に出場する選手についての具体的な対策としては、選手村で感染者が出た場合に備えてホテルを1棟借り上げて、軽症者や無症状の感染者が療養する施設として使えるよう関係機関の間で調整を進めているということです。 また、大会本番で最低4日に1回とされていた選手たちの検査についてもさらに頻度を増やす方向で検討しています。
3月25日に福島県をスタートした聖火リレーでは、課題となっている密集対策のため組織委員会などは、インターネットによるライブ中継での応援を呼びかけているほか、著名人が走る区間の規制や、沿道のスタッフが密集を避けるよう注意喚起を行っています。
さらに、12日と13日の2日間リレーが行われている大阪府では、公道でのリレーが初めて中止され万博記念公園にランナーを招いて一般の観客を入れずに実施されています。 今後も新型コロナの感染拡大が続く地域では予定されている公道でのリレーの中止や、実施方法が変更される可能性があります。 さらに、大きな音を鳴らす聖火リレーの演出方法への疑問の声もあり、国民の関心を集めて機運を盛り上げたいという大会関係者の思惑と、沿道の密集対策というジレンマの中で、組織委員会などは難しい対応を迫られています。 こうした課題にひとつずつ向き合いながら聖火リレーを成功に導けるかどうかが本番の大会運営に向けた試金石となります。
コロナ禍における大会開催の難しさ
この1か月で56人が代表内定
医療体制の整備進まず
聖火リレー コロナ対策の難しさに直面
新型コロナウイルスの影響で、競技のテスト大会の延期や公道での聖火リレーの中止など、本番に向けた機運の醸成や準備が思うように進められない事態が相次いでいて、コロナ禍で迎える大会の難しさが改めて浮かび上がっています。
テスト大会が延期