西日本から東北にかけてのそのほかの地域でも雷を伴って非常に激しい雨が降るおそれがあり、土砂災害や川の氾濫などに警戒してください。
石川県に再び強い雨雲 新たな浸水被害や土砂災害のおそれ
気象庁によりますと、前線や低気圧の影響で石川県の能登地方では21日、線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となり、気象庁は石川県輪島市と珠洲市、能登町に大雨の特別警報を発表し、最大級の警戒を続けるよう呼びかけています。
能登地方では再び雨が強まっていて22日午前8時までの1時間には石川県の輪島市門前で42.5ミリ、珠洲市で34ミリの激しい雨が降ったほか、石川県が能登町に設置した雨量計で31ミリの激しい雨を観測しました。
低気圧の影響で石川県では風も強まり、午前8時までの3時間の最大瞬間風速は金沢市で29.8メートル輪島市で20.7メートルを観測しています。
また、九州や近畿でも雨が強まっていて午前8時までの1時間には長崎県が雲仙市に設置した雨量計で47ミリ、鹿児島県が錦江町に設置した雨量計で31ミリ、兵庫県が香美町に設置した雨量計で30ミリのいずれも激しい雨を観測しました。
さらに、22日午前8時までの72時間に降った雨の量は、石川県の輪島市で532.5ミリ、珠洲市で379ミリ、新潟県村上市の三面で305.5ミリといずれも気象庁が統計を取り始めてから最も多くなりました。
氾濫が相次いだ石川県では、再び強い雨雲がかかっているため川の水位が上がっていて、新たな浸水被害や土砂災害が発生するおそれが高まっています。
石川県と山形県、新潟県では土砂災害の危険性が非常に高くなり、土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。
今後の見通しです。台風14号から変わった温帯低気圧は今夜にかけて本州付近にある前線上を東へ進み、能登地方では昼前にかけて雨の強い状態が続く見込みです。
西日本から東北でも雷を伴って非常に激しい雨が降るおそれがあります。
23日朝までの24時間に降る雨の量はいずれも多いところで、
▽北陸では150ミリと予想されています。
また、
▽四国と近畿で200ミリ、
▽九州南部で180ミリ、
▽九州北部と東海で150ミリ、
▽関東甲信と東北で120ミリの雨が降る見込みです。
さらに、24日朝までの24時間には
▽九州南部で100ミリの雨が見込まれています。
気象庁は低い土地の浸水や川の氾濫、それに土砂災害に最大級の警戒を続けるとともに、落雷や竜巻などの激しい突風、それにひょうにも十分注意するよう呼びかけています。
最新の気象情報や自治体が出す避難情報に注意して安全を確保するようにしてください。
【専門家に聞く】能登半島地震の影響や今後の警戒点
記録的な大雨となった石川県では氾濫が相次ぐなど甚大な被害が起きています。
詳しい状況はまだわかっていませんが、能登半島地震の影響や今後の警戒点について石川県内の河川整備に詳しい金沢大学の谷口健司教授に聞きました。
整備計画超えるような豪雨
Q.石川県の河川整備の状況などを研究されてきた専門家として、今回の災害をどのように受け止めていますか。
A.24時間雨量が300ミリを超えるという観測史上最大規模の大雨によって河川を整備する計画の基準を超えるような豪雨が発生していると考えています。
設計以上の外力が働き、災害のリスクが高い状況が継続しているという意識を持つべきだと思います。
“急激に増水しやすい”特性
Q.能登地方の河川の特徴についてどのようなことが挙げられますか。
A.能登地方の河川は規模が小さく、流路が短い傾向があり、地形としては丘陵のすぐそばにある集落や海へ川の水が流れているという特徴があります。
このため、降った雨がすぐに下流に到達し、急激に増水しやすく、状況が悪化するスピードが早いことに警戒が必要です。
雨が続くという予報が伝えられていますが、河川の水位が十分下がりきってないところで、再び大雨が降れば、より早く水位が上昇することがあります。
山や崖では地盤が緩んでいて、より早い段階で災害が起きてしまうかもしれず、可能であれば早めの行動を取っていただきたいと思います。
地震の影響残る河川も
Q.元日の能登半島地震の影響は河川にもあるのでしょうか。
A.地震によって地盤が緩んだり、河川構造物が破損したりしている場所は各地で確認されています。
特に、堤防や橋の土台などの河川構造物の被害は広い範囲に及んでいて、私も現地を視察して川の脇にあるコンクリートブロックが崩れたままの状態になっているのを目にすることがありました。
まだ復旧されていないところもあるとみられ、そうした場所にたくさんの川の水が流れると、川岸や堤防が削られて災害のリスクが高まったり、川が道路脇を流れている場合は道路が寸断されたりするおそれもあります。
たくさんの方々の努力で復旧が進んでいますが、再度被害を受けてしまわないか、懸念しています。
避難先の災害リスク把握を
Q.仮設住宅で床上浸水の被害が出ているという情報もあります。今後、注意してほしいと考えている点を教えてください。
A.今回やむをえず浸水のリスクのある地域に住まなければならなかった人もいるかと思います。
もともと住んでいた地域のリスクは理解できていても、避難先のリスクは十分に把握できていないこともあるかもしれませんので、いま一度、自分の住んでいる場所などの災害のリスクを確認しておくことが大事になってくると思います。
この状況では非常に難しいところではありますが、土砂災害警戒区域など災害リスクの高いところで過ごしている方は、状況を見極めた上で安全な場所に移ることも考えてほしいと思います。
加えて、夜の時間帯は道路が浸水しているとどこに何があるかわからず、とても危険です。
急に災害のリスクが高まった場合は無理な移動はせず、可能な場合は垂直避難をして安全を確保していただきたいと思います。