河井克行前法務大臣と
妻の
案里参議院議員が
逮捕された
選挙違反事件で、
逮捕容疑となった
現金の
提供先94
人の
詳細が
関係者への
取材で
明らかになりました。94
人の
中には2
人の
首長の
ほか、
広島県議会や
県内9の
自治体の38
人の
地元議員が
含まれ、
首長や
議員に
提供された
現金の
総額は1680
万円に
上る疑いが
あるということです。
検察当局は、
河井夫妻が
広島県内の
幅広い地域で
大規模な
買収工作を
行っていたとみて、
実態解明を
進めています。
前の
法務大臣の
河井克行容疑者(57)と
妻で
参議院議員の
案里容疑者(46)は、
去年7
月の
参議院選挙をめぐって
地元議員らに
票の
取りまとめを
依頼し、
報酬として
現金を
配ったとして
公職選挙法違反の
買収の
疑いで
逮捕され、
検察当局は
合わせて94
人におよそ2570
万円を
配った
疑いが
あるとみて
捜査を
進めています。
関係者への取材で、この94人の詳細が明らかになり、広島県内の首長や地元議員合わせて40人に総額1680万円が提供された疑いがあることが分かりました。
40人のうち現金提供当時の首長は、25日に150万円を受け取ったことを認め辞職を表明した三原市の天満祥典市長と、現金20万円を受け取ったことを認めことし4月に辞職した安芸太田町の小坂真治前町長の2人です。
また、地元議員は広島県議会や、広島県の西部から東部にかけての9の自治体の合わせて38人で、県議だった去年、現金60万円を受け取ったことを認めた安芸高田市の児玉浩市長も含まれています。
内訳は、広島県議14人、広島市議13人、呉市議1人、尾道市議1人、廿日市市議2人、江田島市議1人、安芸高田市議3人、北広島町議1人、安芸太田町議1人、府中町議1人となっています。
金額が最も多いのは、広島県議会元議長で当選12回のベテラン、奥原信也県議の200万円で、県議14人の平均額はおよそ50万円でした。
また、広島市議13人に提供された現金の平均額はおよそ45万円、そのほかの自治体の議員への平均額は20万円で、当選回数や地域へ影響力を考慮し金額が設定されていたとみられます。
このほかの54人は後援会幹部や事務所関係者などで、提供された疑いがある現金の総額はおよそ890万円に上っています。
検察当局は、保守分裂の激しい選挙戦で案里議員を当選させるため夫妻が広島県内の幅広い地域で大規模な買収工作を行っていたとみて実態解明を進めています。
関係者によりますと、河井前大臣夫妻は「票の取りまとめを依頼する趣旨ではない」などと、いずれも容疑を否認しているということです。
新たに議員7人が現金の授受認める
広島県内では県議会議員や市議会議員、合わせて7人が新たに河井前大臣から現金を受け取ったことを明らかにしました。
このうち広島県議会の沖井純県議は、県議会で報道陣の取材に応じ、統一地方選後の去年4月、河井前大臣から「当選祝いです」と言われ、現金50万円が入った封筒を渡されたと明らかにしました。
そのうえで「河井前大臣から現金を受け取るのは初めてで、危ないカネだと思ったので返した」と述べ、5日後に返却したと説明しました。
また、広島市議会の沖宗正明市議は市役所で記者会見し、河井前大臣から去年の統一地方選挙のあと、2回にわたって現金50万円を受け取ったと認めました。
そのうえで「1回目は当選祝いの趣旨で、2回目は参議院選挙の公示の1か月前で、河井前大臣から案里議員の名前が出たので選挙の応援の趣旨だと認識した。受け取るべきではなかったと思う」と述べました。
呉市議会の土井正純市議も会見を開き、去年の参議院選挙中の終盤に案里氏の事務所で、河井前大臣から現金30万円を受け取ったと明らかにしました。
そのうえで「『お世話になります』と言って渡してきて、違法な金だと思い、何度か押し問答が続いたが受け取ってしまった。国会の中枢にいる議員とぎくしゃくする訳にはいかないと。返却できずにいる」と説明しました。
また、安芸高田市議会の先川和幸議長と水戸眞悟副議長、青原敏治議員の3人も、そろって記者会見を開き、いずれも河井前大臣から現金を受け取ったことを明らかにしました。
このうち先川議長と水戸副議長は、去年3月の同じ日に議長室と副議長室を訪れた河井前大臣から、それぞれ現金の入った封筒を受け取ったということです。
封筒には現金20万円と10万円が入っていて、2人はいずれも返そうとしたものの、河井前大臣はそのまま帰ってしまったということです。
青原市議は検察の調べに対し、河井前大臣から現金10万円が入った封筒を受け取ったと認めたことを明らかにしたうえで「封筒の中身は見ておらず、現金が入っていたという認識はなかったが、検察が指摘するなら認めるしかない」と説明しました。
さらに、廿日市市の藤田俊雄市議はNHKの取材に対し、去年の統一地方選挙のあと、河井前大臣から現金10万円を受け取ったことを認め「それは困るという押し問答はあった。現金を受け取った後も罪悪感に苦しんだ」と述べました。