モーリシャス 貨物かもつ船せん重油じゅうゆ流出りゅうしゅつ 貴重きちょうな生態せいたい系けいへの被害ひがいに懸念けねんの声こえ

商船しょうせん三井みついは、船内せんないに残のこっていた燃料ねんりょうについてはほぼ回収かいしゅうされたとする一方いっぽう、流れ出ながれでた重油じゅうゆのうち、回収かいしゅうできたのは半分はんぶん程度ていどにとどまっているということで、すでに大量たいりょうの重油じゅうゆが現場げんば近ちかくの海岸かいがんに漂着ひょうちゃくしています。

海岸かいがんでは、地元じもとのボランティアが重油じゅうゆを手てですくってバケツに入いれるなどして回収かいしゅう作業さぎょうに当あたっているほか、日本にっぽんやフランス、それに国連こくれんの機関きかんなども人材じんざいや物資ぶっしを現地げんちに派遣はけんし、国際こくさい的てきな支援しえんが本格ほんかく化かしています。

一方いっぽう、現場げんば周辺しゅうへんのマングローブ林りんにも重油じゅうゆが漂着ひょうちゃくするなど、被害ひがいは広範囲こうはんいに及およんでいて、生態せいたい系けいの保全ほぜんに詳くわしいＪＩＣＡじゃいか＝国際こくさい協力きょうりょく機構きこうの阪口さかぐち法ほう明あきら国際こくさい協力きょうりょく専門せんもん員いんは「油あぶらが付着ふちゃくすると酸素さんそ呼吸こきゅうができなくなり、死しんでしまう可能かのう性せいもある」と話はなしていて、生態せいたい系けいへの影響えいきょうを早急そうきゅうに調査ちょうさし、回復かいふくに向むけた計画けいかくを作つくる必要ひつようがあると訴うったえています。

原因げんいん究明きゅうめいへ乗組のりくみ員いん聞き取ききとり

モーリシャスのジャグナット首相しゅしょうは13日にち、貨物かもつ船せんが座礁ざしょうした現場げんば近ちかくの海岸かいがんを訪おとずれ、ＡＦＰえいえふぴ-通信つうしんのインタビューに答こたえました。

この中なかでジャグナット首相しゅしょうは、流出りゅうしゅつした重油じゅうゆの回収かいしゅう作業さぎょうを全力ぜんりょくで進すすめるとしたうえで「貨物かもつ船せんがなぜこれほど岸きしに接近せっきんし、座礁ざしょうしたかについて原因げんいんを調査ちょうさしなければならない」と述のべ、警察けいさつ当局とうきょくなどが貨物かもつ船せんの航行こうこうデータを記録きろくした「ブラックボックス」を回収かいしゅうし、船長せんちょうを含ふくめた乗組のりくみ員いん合あわせて20人にんから事情じじょうを聞きいていることを明あきらかにしました。

また、地元じもとの環境かんきょうや漁業ぎょぎょうなどへの影響えいきょうについては、「今後こんご、多おおくの被害ひがいの申し立もうしたてがあるだろう」と述のべ、他国たこくの専門せんもん家かの協力きょうりょくも得えながら全容ぜんようを明あきらかにしていく考かんがえを示しめしました。

流出りゅうしゅつから1週間しゅうかんがたっても…

現地げんちの環境かんきょう保護ほご団体だんたい「モーリシャス野生やせい生物せいぶつ基金ききん」が13日にちに船ふねの上うえから撮影さつえいした映像えいぞうには、濃こい青色あおいろに見みえる海うみに白しろい紙かみを浸ひたすと、重油じゅうゆで真っ黒まっくろに染そまる様子ようすが写うつっています。

また、船ふねが通とおったあとの波間なみまにも重油じゅうゆが浮ういていて、流出りゅうしゅつから1週間しゅうかんがたっても島しま周辺しゅうへんの広ひろい海域かいいきに重油じゅうゆが漂ただよっている様子ようすが分わかります。

モーリシャスで通訳つうやく兼けんフリーライターとして働はたらく永井ながい葉子ようこさんは、「観光かんこう業ぎょうが盛さかんなこの国くにでは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいによって失業しつぎょうした人ひとや給料きゅうりょうが半分はんぶんに減へった人ひともいて、すでに甚大じんだいな影響えいきょうが出でていた。さらにこの事故じこで観光かんこう業ぎょうや漁業ぎょぎょうなど、幅広はばひろい分野ぶんやの人ひとたちが影響えいきょうを受うけるのは間違まちがいない。1968年ねんの建国けんこく以来いらい、最大さいだいの環境かんきょう被害ひがいだと言いわれている」と話はなしています。

そのうえで、「モーリシャスは日本にっぽんから離はなれたインド洋いんどようの小国しょうこくだが、日本にっぽん政府せいふや運航うんこう会社かいしゃは自分じぶんの国くに、自分じぶんの庭にわで起おきたらどうするだろうという気持きもちで真摯しんしに対応たいおうしてほしい」と、環境かんきょうの保護ほごや再生さいせいに全力ぜんりょくをあげてほしいと呼よびかけました。