次に最新の
供給状況についてです。
一般向けの販売が解禁されてからインターネットなどですぐに販売を始めたのは1社にとどまりました。
そもそも同時検査キットは医療機関への供給が不足してはいけないので、一般販売向けの供給よりも医療機関への供給を優先することが前提になっています。
さらに一般販売を始めるにあたっては、それまでの医療機関向けのものとは違い、一般の人にも分かるような説明書や新たなパッケージの準備を各メーカーが行うには時間がかかるため、どれぐらいの供給量が確保できるのかが課題となっていました。
こうした中、少しでも多くのキットが市場に出回るよう、厚生労働省は薬剤師が常駐する薬局で販売する場合、医療用の検査キットであれば新たに一般販売のための承認を得なくても販売できるようにすることを特例で認める対応をとりました。
その後さらに各メーカーの対応も進み、1月17日時点で一般販売の条件を満たしているのは5社の製品で、うち3社の製品が薬局に加えドラッグストアやインターネットでも購入できます。
Q3.購入の際の注意点は?
インターネットで
購入しようと
通販サイトで
検索すると、さまざまな
種類の
商品が
出てきますが
注意点があります。
これらのうち「研究用」とパッケージなどに書かれている商品があります。
この「研究用」と書かれたキットは国が販売を認めているものではなく、また効果も確認されていないものです。
「研究用」と書かれたキットで行った検査結果は正しい結果が出ているかを保証できないため、保健所への報告やオンライン診療でも使えません。
では国が承認しているものには、なんと書かれているのでしょうか。
このようにパッケージに「
体外診断用医薬品」や「
第1
類医薬品」といった
表記があります。
厚生労働省は「研究用」と書かれたものは使わず、これらの国が承認した商品を使うよう注意を呼びかけています。
また同時検査キットは、新型コロナの抗原検査キットと同じように「体外診断薬」という医薬品の一部にあたります。
医薬品は医薬品医療機器法で転売が禁じられているため、キットが余ったからといって転売することはできません。
厚生労働省は転売をしないよう監視や指導を強化しています。
Q4.キットの使い方は?
新型コロナの
検査キットと
同じように、
鼻の
穴から
検体を
取ります。
そして線がどこに出るかで、コロナ・インフルそれぞれの「陽性」「陰性」の結果が分かります。
新型コロナで
陽性だった
場合、
基本的には
各地域ごとに
設けられている「
健康フォローアップ
センター」に
登録し
自宅療養をすることになります。
一方症状が重い場合は、コロナでもインフルエンザでもかかりつけ医などを受診し、軽い場合は電話やオンラインでの受診を検討してほしいとしています。
注意点として、陽性だった場合にキットで出た線が時間がたつと薄くなってしまう場合があります。
このため検査後の線が出た状態のキットをスマートフォンなどで撮影し記録しておくようにしましょう。
Q5.インフルエンザの感染状況は?
専門家は、コロナとインフルエンザの
同時流行が
起きつつ
あるとして
基本的な
感染対策の
徹底を
呼びかけています。
国立感染症研究所などによりますと1月8日までの1週間に全国約5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週の2.37倍の2万3139人でした。
1医療機関あたりの1週間の患者数は4.37人で、ここから推計される全国の患者数は、およそ18万2000人となっています。
1医療機関あたりの患者数(都道府県別)は以下のとおりです。
▼沖縄県17.77人▼宮崎県12.37人▼佐賀県10.08人。
これらの3県は今後、4週間以内にインフルエンザの大きな流行が起きるおそれが高いとされる「注意報レベル」の10人を超え、3県はいずれもインフルエンザに関する注意報を発表しています。
そのほかの地域では▼福岡県9.62人▼大阪府8.26人▼愛媛県7.39人▼長崎県7.11人などとなっています。
感染症に
詳しい東邦大学の
舘田一博教授は「
懸念されていたコロナとインフルエンザの
同時流行が
起きつつ
ある。
大きな感染の
波を
伴う同時流行を
起こさないように3
密回避や
手洗いなど、
基本的な
感染対策を
改めて徹底してほしい」と
呼びかけています。
Q6.キットを自宅で使う際の注意点は?
日本小児科医会公衆衛生委員会の
委員、
時田章史医師に
取材しました。
時田医師は東京・港区のクリニックで発熱外来も担っています。
ポイント1)使うタイミングは発熱から12時間以上たってから
コロナとインフルエンザ、
いずれも
発熱の
直後は
感染している
場合でも「
陽性」にならずに「
偽陰性」となって
しまう可能性があります。
特にインフルエンザは発熱から陽性になるまでに時間がかかるので、自宅でキットを使う場合は、発熱後おおむね12時間以上たってから検査してほしいということです(※医療機関では早期に検査できる場合もあるので相談を)。
時田医師「のどが痛い、熱も出てきた、といってすぐ検査をしたくなる気持ちはわかります。しかし、特にワクチンを接種していると最初からすぐにウイルス量が多いわけではなく、陽性になりにくいケースもあります。検査の結果が陰性でも仕事に行ったりせずにしっかり自宅で休んで様子を見て、時間を置いてもう一度検査をしてほしい」。
ポイント2)検査キットは冷やしすぎない
検査キットの
保管温度は2
度~30
度。
冷蔵庫の中に保管していたり、冬場で暖房が入っていない部屋で使うと反応が進まず「偽陰性」になるケースがあります。
時田医師「細かいことですが温度も影響してきます。逆に真夏に入手して放置していた検査キットを使うと偽陽性となることもあるので、適正に使用してほしい」。
ポイント3)検体採取はなるべく奥の方からしっかりと
医療機関では、「
鼻咽頭」と
言われる
鼻の
奥のウイルスが
多い場所まで
綿棒を
差し込んで
検体を
採取していますが、
自宅で
使用する
場合は
出血が
起こりやすいことから
鼻先2
センチほどの
場所から
採取することになっています。
このため時田医師によりますと、医療機関で行う場合に比べて10%ほど感度が落ちてしまうということです。
鼻先で検査する場合も、「添付文書」と呼ばれる説明書に書かれている範囲内でなるべく奥の方まで綿棒を入れて、定められた回数しっかりと綿棒を回転させて、入念に採取してほしいということです。
ポイント4)検体をしっかり溶かす
検体を
採取したあと、
溶液が
入った
付属の
容器に
綿棒を
差し込んで
溶かし
込みますが、
ここでもポイントが。
綿棒を溶液の中で回したり、容器の上から複数回もみ込んだりして、よく溶かすことが大切です。
時田医師「容器をつまんでもんだり、綿棒を回したりする動作は10回以上やることがお勧めです。やりすぎることはないので、しっかりと溶かすことで、結果がかなり違います」。
ポイント5)結果の判定ラインは色に注目
検体を
溶かし
込んだ
溶液を
判定キットに
垂らすと、
陽性か
どうかを
判断するラインが
出現します。
ウイルス量が多いほど線が濃くなりますが、この際に大切なのが「色」です。
検査キットごとに、定められた陽性の色と違う色が出現した場合は、陽性ではないのに反応した「偽陽性」の可能性もあるということです。
時田医師「鼻水の中の成分が入り込むことなどで偽陽性になる場合があって、その時は例えばピンクのラインが出るはずなのにグレーのラインが出る、といったことがあります。本来の色ではなかったり、ラインが薄くて判断できない場合は、医療機関に相談してください」。
まとめ:自宅検査はあくまでも補助的存在
採取方法や
採取部位、
採取の
タイミングだけでなく、
熱が
高いか
どうか、ワクチンを
接種しているかどうか、キットの
保管状況なども
検査結果に
影響します。
時田医師が強調するのは、同じ同時検査キットでも医療機関で検査する場合と、自宅で行う場合で精度に違いがあるということです。
このため、あくまでも発熱外来がひっ迫している時の補助的な手段として使うこと、検査の結果がすべてと思わず、特に症状があるのに陰性となった時は結果に安心して外出しないことが大切だとしています。
その上で、自宅で使う場合もできるだけ正しい結果に近づけられるよう、添付文書をよく読んでしっかりと使い方のポイントを抑えることが大切だといいます。
また特に幼い子どもは症状が似たさまざまな感染症にかかりやすく、中には重篤な結果となるものもあります。
このためコロナやインフルエンザが陰性でも安心せず、不安な症状があったらかかりつけ医を直接受診することが大切だということです。
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Source: NHK
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Source: NHK
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