このうち、城山栄治さん(69)は先月23日の夜、雪の中で倒れているのが見つかり、病院へ搬送されましたが、低体温症で亡くなりました。
その後の警察関係者や遺族などへの取材で、城山さんは腎不全を患って人工透析を受けていて、亡くなった日は、透析を受けるために松山市内の病院を訪れたあと、車で帰宅する途中に積雪で動けなくなっていたことが分かりました。
このあと城山さんは、車を置いて歩いて帰宅しようとしたとみられ、午後8時半ごろ、雪の中で倒れているのを通りかかった人に発見されました。
先月23日の午前8時すぎ、松山市内の病院に到着し、車を止めます。 病院によりますと、城山さんは午後1時すぎに透析を終え、スタッフは「雪の影響で道路が通行止めになっているが、大丈夫か」などと気遣うことばをかけたということです。 午後2時すぎ、城山さんは車に乗り込み、自宅のある久万高原町の方向に向かっていました。 ドライブレコーダーの映像では、松山市の郊外についたころから徐々に雪が強まり、午後4時ごろ、久万高原町の中心部に入ったあたりで周囲が真っ白になります。 道路には雪が積もり、対向車の姿はほとんど見られません。
このあと城山さんは、車を置いて歩いて帰宅しようとしたとみられます。 そして、午後8時半ごろ、雪の中でうめき声をあげて倒れているのを通りかかった人に発見されました。 発見した男性は「すでに体が冷え切っていましたが、まだ息はあったので、体を抱き締めたり、手を握ったりして一生懸命、体を温め、消防が来るのを待っていた」と当時の状況を証言しました。 消防によりますと、ふだんなら出動から10分ほどで病院に搬送できる距離ですが、この日は、雪の影響で救急車がなかなか進めず、およそ2時間かかったということで、城山さんは午後10時39分、搬送先の病院で低体温症で死亡しました。
現在は1人暮らしで、週3回、自分で車を運転して松山市内の病院に通い、治療を受けていたということです。 親族の男性は「大雪の中、倒れていたと連絡があったときは驚きました。透析を受けるために、無理を承知で病院に行ったんだと思います。どれだけ寒い思いをしたかと思うと無念です」と話していました。
町内には透析ができる病院がないため、久万高原町は、事前に申し込んだ患者について、病院への送迎バスを運行しています。 山内司郎さん(80)は週3回、このバスを利用していて、先月の大雪の際もこのバスで松山市内の病院に透析を受けに行きました。 透析を終えたあとには体調が悪くなることもあるということで、山内さんは「送迎バスがあってとても助かっている」と話しています。 一方、町内に住む17人の透析の患者のうち、城山さんを含む9人は、ふだんバスを利用せず、自分で車を運転して通院していて、これまでは積極的に連絡をとることはなかったということです。 今回のケースを受けて、町は、大雪などが想定される場合は、自分で車を運転して通院する人に対し、病院近くでの宿泊を呼びかけたり、町が車で先導したりする対応を取ることを決めたということです。 久万高原町保健福祉課の西森建次課長は「今後は自家用車で通院する透析患者についても、積雪や通行止めの状況を共有するなど、対応を取っていきたい」と話していました。
男性が亡くなるまでの行動は
親族の男性「無理を承知で病院に 無念」
久万高原町 人工透析患者の対応を見直し