8日に開かれた厚生労働省の専門家による部会がとりまとめたのは、新年度になることし4月以降の接種のあり方についての基本方針です。
そのうえで「それ以外の全ての世代に対して接種の機会を確保することが望ましい」としています。 また接種の時期については、これまで年末年始に比較的多くの死者を伴う感染拡大があったことなどから、「秋から冬に次の接種を行うべき」だとしています。 さらに、今後の感染拡大や変異株の状況などを踏まえ、重症化リスクの高い人のほか、重症化リスクの高い人に頻繁に接する人には追加して接種を行う必要性にも留意するとしています。 一方、使用するワクチンについては検討を進めた上で早期に結論を出すべきだとしています。 新型コロナのワクチン接種を巡っては、政府はことし4月以降も必要な接種であれば自己負担無く受けられるようにする方針を示していて、厚生労働省は今後、いまの「特例臨時接種」を継続するかについて、ことし3月にも方針を示すことにしています。
そのために十分な量のワクチンの配送や職域接種など体制の整備を進め、8日公表時点での接種率は42.3%となっています。 接種回数をみると、去年の夏に従来型のワクチンで4回目を接種した高齢者の5回目の接種が本格化した去年11月、12月の金曜日や土曜日には、国が目標としている1日100万回を超える日がありました。 一方で2月5日までの1週間の平均は、1日8万回ほどとなっています。 これに伴い、接種率(オミクロン株対応ワクチン)の増加ペースも鈍化しています。 こちらは、去年11月下旬以降の1週間ごとの接種率と、毎週の増加分の値をまとめたものです。
一方、6日公表時点の年代別の接種率は以下の通りです。
これについて厚生労働省は「高齢者が接種するピークは12月だと想定していたので、接種率の増加も落ち着いてきていると考えている。希望する方でまだ打っていない人は積極的に接種してほしい」とコメントしています。 厚生労働省は引き続き接種を希望する人が打てるように自治体に体制整備を求めるほか、テレビやインターネットの広告で接種を呼びかけることにしています。
オミクロン株に対応したファイザーやモデルナのワクチンの効果について、アメリカのCDC=疾病対策センターが、「BA.5」が主流だった2022年9月から11月にかけて接種していない人と比べて分析しました。
・発症を防ぐ効果にあたる救急の受診に至るのを防ぐ効果…56%、 ・重症化を防ぐ効果…57% また、CDCは、アメリカで広がっているオミクロン株の変異ウイルス「XBB.1.5」などに対するワクチンの効果も調べていて、去年12月から先月(1月)中旬にかけて、新型コロナの検査を受けた人のワクチンの接種状況などをもとに追加接種しない場合と比べたワクチンの効果を分析した結果を発表しています。 それによりますと、従来型のワクチンを複数回、接種したあと、オミクロン株の「BA.5」対応のワクチンを追加接種すると、以下のようなXBB系統のウイルスによる発症を防ぐ効果は、以下のようになりました。 ・18~49歳…49% ・50~64歳…40% ・65歳以上…43% CDCは、オミクロン株対応ワクチンを追加接種することによって「XBB」や「XBB.1.5」でも症状が出るのを抑える効果が上がるとしていて、可能な人は最新のワクチンの追加接種を受けるべきだとしています。 また、ワクチンの効果のうち、重症化や死亡を防ぐ効果は長続きすることを示すデータが出されています。 イギリスの保健当局が2月に発表した資料によりますと、65歳以上に対するワクチンの効果について、オミクロン株が主流の時期に接種していない人と比較して分析したところ、以下のような効果が認められました。 ・重症化を防ぐ効果(3回以上接種した人の場合) 接種から2週間~2か月…78.1% 3~5か月…65.3% 1年~1年2か月…52.3% ・死亡を防ぐ効果(3回接種した場合) 接種から2~4週間…85.0% 4か月前後…75.6% 約10か月以上たったあと…56.9% このように、死亡を防ぐ効果は比較的維持される傾向が見られています。
このうち、大阪の製薬大手「塩野義製薬」は、去年11月、ウイルスのたんぱく質を遺伝子組み換え技術で作成して人に投与する「組み換えたんぱく質ワクチン」を厚生労働省に承認申請しました。
また、製薬大手「第一三共」はことし1月、ファイザーやモデルナと同じ「mRNAワクチン」を厚生労働省に承認申請をしました。
このほか、熊本の製薬企業「KMバイオロジクス」は不活化したウイルスを人に投与する「不活化ワクチン」を、創薬ベンチャーの「VLPセラピューティクス・ジャパン」は、遺伝情報を伝えるmRNAが投与したあと一定の期間だけ体内で増殖する新しい仕組みを使った「次世代mRNAワクチン」の開発を進めています。
8日に出された基本方針部会のとりまとめを受け、今月下旬に予防接種・ワクチン分科会を開いて、より具体的な対象者や回数、時期、ワクチンの種類の検討が進められます。 また、政府はことし4月以降も必要な接種であれば自己負担無く受けられるようにする方針を示していますが、現在の「特例臨時接種」を継続するかについても議論されます。 厚生労働省は今月24日に予定されているアメリカCDC=疾病対策センターでの新型コロナワクチンに関する議論などを踏まえて、来月上旬にも今後のワクチン接種体制の方針を分科会にはかったあと、必要な政省令の改正などを行うことにしています。
Q2. ワクチン接種、今どの程度行われているの?
Q3. ワクチンの効果、最新情報は?
Q4. 国内製薬会社のワクチン開発は?
Q5. 今後の議論は?
新型コロナワクチンの今後の接種のあり方を議論する厚生労働省の専門家部会が、8日にとりまとめた基本方針です。
一方で、このところの接種率は若い世代を中心に伸び悩んでいます。
「5類」見直しの方針も決まる中で、今後のワクチン接種はどうなる?
費用負担、接種の効果について最新情報は?
Q&A方式でまとめました。
Q1. 8日の専門家部会、どんな方針がまとまった?