春場所は14日目を終えて、3敗で大の里と高安がトップで並び、星の差1つの4敗で美ノ海、新入幕の安青錦、時疾風の平幕の3人が追う展開となっていました。
千秋楽、高安は小結 阿炎と対戦して白星を挙げ、大の里も結びの一番で大関 琴櫻に勝ったため、12勝3敗で並んだ2人による優勝決定戦にもつれこみました。
そして、優勝決定戦では、大の里が持ち味の圧力で前に攻め続けて「送り出し」で勝ち、去年の秋場所以来、3場所ぶり3回目の優勝を果たしました。また、大関としては昇進後3場所目で初めての優勝です。
大の里は今場所、4日目に三役経験者の若元春に初黒星を喫しましたが、身長1メートル92センチ、体重183キロの体を生かして立ち合いから圧力をかける相撲を持ち味に白星を重ねました。
10日目に高安、13日目に関脇 王鵬に敗れて3敗に後退したものの、優勝争いの大詰めで再び力を発揮しました。
今場所は新横綱の豊昇龍が途中休場した中で、大の里が大関としての責任を果たし、目標である横綱昇進に向けて第一歩を踏み出しました。
大の里とは
大の里は石川県津幡町出身の24歳。
身長1メートル92センチ、体重183キロの恵まれた体を生かして圧力をかけ、前に攻める相撲が持ち味です。
小学校を卒業後、新潟県糸魚川市に“相撲留学”し、朝早くから夜遅くにまで及ぶ稽古で、多いときには1日100番以上相撲を取るなど、高校までの6年間、厳しい稽古に励みました。
相撲の強豪、日体大に進学後は、2年連続で「アマチュア横綱」に輝くなど、数々のタイトルを獲得し、大学卒業後のおととし5月の夏場所で幕下10枚目格付け出しとして初土俵を踏みました。
その後、おととしの秋場所で新十両への昇進を果たすと、力強い立ち合いから大きな体を生かした前に攻める相撲を持ち味に、2場所続けて12勝3敗のふた桁勝利を挙げ、去年の初場所で新入幕を果たしました。
初土俵から4場所での新入幕は、昭和以降では3番目に並ぶスピード出世でした。
そして去年の春場所では、千秋楽まで優勝争いに加わると、続く夏場所では初日に横綱 照ノ富士から初白星を挙げるなど勝利を重ね、12勝3敗の成績で初優勝を果たしました。
初土俵から7場所目での優勝は、幕下付け出しの力士としては元横綱 輪島の15場所目より早く、最も早い記録でした。
さらに去年の秋場所で13勝2敗の成績で2場所ぶり2回目の優勝を果たし、場所後に大関に昇進しました。
初土俵から所要9場所での大関昇進は昭和以降では最も早い記録です。
大関昇進後の去年の九州場所とことしの初場所ではいずれも優勝争いに絡むことができていませんでした。