出生時の平均体重は3000グラムほどで推移し、子どもの発育状況などを記す母子健康手帳は、これまで発育曲線のグラフの目盛りは1000グラムから始まっていました。
しかし、1000グラム未満の「超低出生体重児」は毎年2500人程度生まれ、出生数全体の一定の割合を占めているほか、医療の進歩で500グラム未満で生まれた子どもの生存率は60%に高まっています。
こうした中、小さく生まれた子どもの親などを中心に母子健康手帳のグラフをすべての子どもに対応した形にしてほしいとの声が数多くあがっていました。
こうした声を踏まえ、こども家庭庁は、10年をめどに行われている発育曲線のグラフの改訂にあわせ、目盛りの最小値を体重は0から、そして身長は40センチだったのを20センチからに見直しました。
こども家庭庁は今回の見直しについて「すべての子どもの成長を記録できる母子健康手帳とするために見直しを決めた」としています。
新たな母子健康手帳は来月から配付されます。
「超低出生体重児」の親 “つらい気持ち 書き込みできず”
栃木県真岡市に住む小林恵さんは、6年前、妊娠高血圧症候群となり妊娠6か月で長男の奏明君を緊急で出産しました。
予定日より4か月早く、体重は493グラムの「超低出生体重児」で、身長が29.5センチでした。
慢性肺疾患による呼吸機能への影響や、未熟児網膜症による視力への影響などが心配されましたが、NICU=新生児集中治療室で治療を受けるなどして、生後6か月で2700グラムを超え、退院することができました。
病院に預けていた母子健康手帳も返却され、生まれてからの成長を記録しようとした時に、発育曲線グラフが1000グラムから始まっていることを初めて知ったという小林さん。
グラフの欄外に定規で線を引き、493グラムと思われる場所に点を打ったものの、つらい気持ちになり、その後、書き込むことができなかったといいます。
小林さんは、「息子を小さく産んでしまったという自分を責める気持ちが強くなりました」と当時を振り返りました。
今回こうした親の声が反映されて母子健康手帳が見直されたことについて、「小さく産まれた赤ちゃんの親にとって、これまでは母子健康手帳は見るのもつらいものだったが、大きな1歩だと思います。成長を楽しみに記録できるものに変わっていくと思う」と話していました。