“生活保護打ち切りは違法” 孫が進学収入増の家族熊本地裁 - Easy News

生活せいかつ保護ほごを受うけている世帯せたいの子こどもが、大学だいがくなどに進学しんがくするために家族かぞくと家計かけいを切り離きりはなしたあと、学まなびながら働はたらいて収入しゅうにゅうが増ふえた場合ばあいに、家族かぞくへの生活せいかつ保護ほごまで打ち切うちきることが妥当だとうかどうかが争あらそわれた裁判さいばんで、熊本くまもと地方ちほう裁判所さいばんしょは打ち切うちきりは違法いほうだとする判決はんけつを言い渡いいわたしました。

生活せいかつ保護ほごを受うけている世帯せたいに同居どうきょする子こどもは、親おやなどと家計かけいを切り離きりはなして保護ほごの対象たいしょうから外はずす「世帯せたい分離ぶんり」という手続てつづきをとれば、世帯せたいの保護ほご費ひは減額げんがくされますが、大学だいがくや専門せんもん学校がっこうなどへの進学しんがくが認みとめられています。

熊本くまもと県内けんないで生活せいかつ保護ほごを受給じゅきゅうしている70代だいの夫婦ふうふの世帯せたいは、同居どうきょしている孫まごがこの手続てつづきをとって看護かんご専門せんもん学校がっこうに進学しんがくしていました。

ところが、孫まごが学まなびながら准じゅん看護かんご師しとしても働はたらき始はじめ、収入しゅうにゅうが増加ぞうかしたところ、熊本くまもと県けんから孫まごの収入しゅうにゅうは同おなじ世帯せたいのものだと認定にんていされ、夫婦ふうふの生活せいかつ保護ほごを打ち切うちきられたため、裁判さいばんを起おこしていました。

3日にちの判決はんけつで、熊本くまもと地方ちほう裁判所さいばんしょの中なか辻つじ雄一朗ゆういちろう裁判さいばん長ちょうは「世帯せたい分離ぶんりの趣旨しゅしは、生活せいかつ保護ほごを受うけている世帯せたいと同居どうきょしながら、大学だいがくや専門せんもん学校がっこうなどで能力のうりょくを身みにつけて自立じりつを促進そくしんすることにある。県けんは孫まごの収入しゅうにゅうが大幅おおはばに増加ぞうかしたという表層ひょうそう的てきな現象げんしょうだけに着目ちゃくもくしていて、世帯せたい分離ぶんりが経済けいざい的てきな自立じりつに効果こうか的てきだという視点してんに欠かけている」と指摘してきし、県けんの判断はんだんは違法いほうだとして、生活せいかつ保護ほごの打ち切うちきりを取り消とりけしました。

原告げんこく弁護士べんごし「極きわめて重要じゅうような意味いみを持もつ判決はんけつ」

判決はんけつ後ご、原告げんこく側がわは記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、弁護べんご団だんの高木たかぎ百合香ゆりか弁護士べんごしは「生活せいかつ保護ほご世帯せたいの子こどもの就学しゅうがく希望きぼうを最大限さいだいげんに尊重そんちょうしたもので、極きわめて重要じゅうような意味いみを持もつ判決はんけつだと考かんがえます」と述のべて判決はんけつを評価ひょうかしました。

また原告げんこくの70代だいの男性だんせいは「今後こんご、同おなじことが繰り返くりかえされないように県けんは取り組とりくんでほしい」と話はなしていました。