(1)物質が燃えるときに出す炎や熱。 また, 燃えたり熱せられて赤熱したもの。
「紙に~をつける」「~に当たる」「食物に~を通す」「鍋を~にかける」
(2)炭火。
「火鉢に~をつぐ」「~をおこす」
(3)火打ちの火。 きりび。
「~を打つ」
(4)火事。
「~の用心」「~を出す」
(5)火のように光るもの。
「蛍~」「鬼~」
(6)激しい感情。 燃えさかる情熱。
「胸の~が燃える」
(7)月経。
→ 灯
<i>~危(アヤ)うし</i>
昔, 宮廷などで夜番が見回りに歩くとき, 火の元を注意するように発した語。 火の用心。
「弓弦(ユヅル)いとつきづきしく打ち鳴らして, ~といふいふ/源氏(夕顔)」
<i>~が付・く</i>
(1)燃え出す。
(2)ある事が原因で事件や騒ぎが起こる。
「怒りに~・いた」「論争に~・いた」
(3)あわただしいさま, 切迫しているさまにいう語。
「~・いたような催促」「尻に~・く」
<i>~が入(ハイ)・る</i>
(1)窯(カマ)や炉に点火される。
(2)(揚げ油が熱くなりすぎて)燃え出す。
「鍋に~・る」
<i>~が降っても槍(ヤリ)が降っても</i>
どんな困難や障害があっても。 決意のほどを示すときなどに使う言葉。
<i>~が降・る</i>
きわめて貧しいさま, 家計の苦しいさまにいう語。
「内証は挑灯(チヨウチン)ほどな~・つて/浮世草子・一代男 3」
<i>~が悪・い</i>
月経がはじまっている。 生理中である。
「女の, 火の悪くなつた時あそこへはひつて/滑稽本・続膝栗毛」
<i>~に油を注・ぐ</i>
勢いのあるものにさらに勢いをつける。 多く不本意なことにいう。
<i>~に入(イ)る虫</i>
(1)夏の夜, 灯火に集まって焼かれる虫。
「笛に寄る鹿, ~/浄瑠璃・釈迦如来」
(2)危険な場面に自分から飛び込むたとえ。 飛んで火に入る夏の虫。
<i>~の消えたよう</i>
急に活気がなくなり, 寂しくなるさま。
「孫たちが帰ってしまったら, 家の中が~だ」
<i>~=の(=が)付いたよう</i>
(1)突然であわただしいさま。
(2)赤ん坊などが, 激しく泣き叫ぶさま。
<i>~の出るよう</i>
(1)恥ずかしさや怒りなどで, 顔が真っ赤になるさま。
(2)激しく行われるさま。
「~な熱戦」
<i>~の無い所に煙は立たない</i>
多少でもその事実がなければ, うわさの立つはずがないということ。
<i>~の中水の=底(=中)</i>
苦難の予想される境遇のたとえ。
「一緒になれるなら, たとえ~」
<i>~のよう</i>
(1)熱いさま。
「熱で額が~にあつい」
(2)真っ赤なさま。
「恥ずかしさで顔が~になった」
(3)怒りなどの激しいさま。
「~に怒る」
(4)熱烈なさま。
「~な情熱」
<i>~を入・れる</i>
炉などに点火する。
「窯に~・れる」
<i>~を落と・す</i>
調理場や風呂場の火を消す。
<i>~を掛・ける</i>
火をつける。 放火する。
<i>~を失(シツ)・する</i>
あやまって火事を出す。 失火する。
<i>~を摩(ス)・る</i>
表面はなごやかそうでも, 内面は不和であるたとえ。
「法花念仏は互ひに~・りたる間なり/御伽草子・鴉鷺合戦」
<i>~を散ら・す</i>
「火花を散らす」に同じ。
<i>~を付・ける</i>
(1)点火する。
(2)放火する。 火をかける。
(3)騒動などのきっかけをつくる。 また, 刺激する。
「反対運動に~・ける」
<i>~を通・す</i>
焼いたり煮たりして, 熱が食品の内部まで行きとどくようにする。
<i>~を吐・く</i>
(1)火をふき出す。
「~・く火山」
(2)弁論などの口調が激しいさまにいう語。
「舌端~・く」
<i>~を放(ハナ)・つ</i>
放火する。
<i>~を吹・く</i>
(1)「火を吐く{(1)}」に同じ。
「エンジンが~・く」
(2)銃砲から弾丸が発射される。
「ピストルが~・く」
(3)火をおこすために強く息を吹きかける。
<i>~を見たら火事と思え</i>
用心の上にも用心せよというたとえ。
<i>~を見るよりも明らか</i>
きわめて明白・確実であることにいう語。
「増税が国民の反発を招くことは~だ」
Angie Ymnk commented