※一※ (名)
(1)物の多少や順序を表す言葉。 一, 二, 三の類。 また, それを表す文字。
(2)物の数量。
「人の~を数える」「~が合わない」
(3)数量の多いこと。 古語では多く「かずの」の形で使われる。
「~をこなす」「~ある作品中の名作」「今我等~の仏を見奉りつ/栄花(鳥の舞)」
(4)数えあげるほどに価値のあるもの。 下に打ち消しの語を伴っていう場合が多い。
「物の~でない」「物の~にも入らない」
(5)あるものを構成する, 同類の仲間。
「亡き~に入る」「この御殿移りの~の内には交じらひ給ひなまし/源氏(玉鬘)」
(6)数を数える時に, しるしとして使う物。 特に, 勝負の点数を数える時の串など。
「~には, 榛とかやいふなる木の枝にかねの鵯鳥をぞすゑし/たまきはる」
※二※ (接頭)
〔近世語〕
名詞に付いて, ありふれた, 安っぽい, 粗末な, などの意を表す。
「~扇」「~具足」
<i>~限りな・い</i>
数え切れないほど多い。 無数である。
<i>~知らず</i>
数え切れないほど多い。
<i>~知れぬ</i>
数えつくせないほど多い。 数知れない。
<i>~でこな・す</i>
一つ当たりの利益などが少ないので, 多くの量を扱って通常程度の利益などを生み出す。
<i>~ならず</i>
とるに足りない。 数にもあらず。
「~ぬ下部(シモベ)どもなどだに/源氏(初音)」
<i>~ならぬ身(ミ)</i>
とるに足りないわが身。
<i>~にもあらず</i>
「数ならず」に同じ。
「この~ずおとしめ給ふ山里の人こそは/源氏(朝顔)」
<i>~の外(ホカ)</i>
定員外であること。 かずよりほか。
「白壁皇子~にて位に付き給ふべくもなかりけるに/十訓 6」
<i>~より外(ホカ)</i>
(1)「数の外(ホカ)」に同じ。
「~の大納言になさむ事は難し/落窪 4」
(2)とるに足りないこと。
「都にて月をあはれと思ひしは~のすさびなりけり/山家(秋)」
<i>~をこな・す</i>
(1)多数の物を処理する。
(2)多くの経験を積む。
「人前での発表は~・している」
<i>~を頼・む</i>
協力する人数の多さをたよりに事をなす。
<i>~を尽く・す</i>
(多く「数をつくし(て)」の形で)あるだけすべて。 残らず。
「~・して踏み殺しつ/今昔 4」
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