人間を超えた存在で, 人間に対し禍福や賞罰を与え, 信仰・崇拝の対象となるもの。
(1)(ア)宗教・習俗において, 信仰・崇拝・儀礼・神話・教義などの中心となる位格・存在。 日本の神道や民俗の祭りでまつられる対象, またはユダヤ教・キリスト教・イスラム教などの超越的絶対者。 仏教では, 仏や菩薩の権現・守護者などとされ, 仏とは区別される。 「~に祈る」「~のお告げ」(イ)哲学で, 世界や人間の在り方を支配する超越的・究極的な最高存在。
(2)(ア)日本の神話で, 神武天皇より前に登場する人格神。
「天地初めて発(ヒラ)けし時, 高天の原に成れる~の名は/古事記(上訓)」(イ)天皇。 「大君は~にしませば/万葉235」(ウ)人間に危害を加える恐ろしいもの。 蛇・虎など。 「韓国(カラクニ)の虎といふ~を/万葉 3885」(エ)かみなり。 なるかみ。 「~いとおそろしう鳴りたれば/枕草子 99」
<i>~掛けて</i>
神に誓って。 決して。
「~うそは言っていない」「~間違いない」
<i>~と仏は水波(スイハ)の隔(ヘダ)て</i>
神と仏とはちょうど水と波とのようにただ形が違うだけで, もとは同体である。
<i>~ならぬ身(ミ)</i>
全知全能の神ではない身, すなわち人間。 凡夫。
「~では知るよしもない」
<i>~の正面(シヨウメン)仏(ホトケ)の真尻(マジリ)</i>
〔「真尻」は後ろの意〕
神棚は正面の高い所に, 仏壇は陰に設けよの意。
<i>~の存在証明(ソンザイシヨウメイ)</i>
信仰における神の存在を, 理性によって哲学的に証明すること。 中世のスコラ哲学・近世哲学・キリスト教神学などにおいて試みられた。 その形式により, 存在論的証明・宇宙論的証明・目的論的証明・道徳的証明などに分けられる。
<i>~の見えざる手</i>
市場経済の自動調節機構をいう語。 経済活動を個々人の私利をめざす行為に任せておけば「神の見えざる手」により社会全体の利益が達成される, というアダム=スミスの経済社会思想を示す語。
<i>~は正直(シヨウジキ)の頭(コウベ)に宿(ヤド)る</i>
神は正直な人間を守る。
<i>~は非礼(ヒレイ)を受けず</i>
〔論語(八佾注)〕
神は, 神をまつるべきでない邪悪な人間がまつってもその心を受けない。 神は礼儀にはずれた物事は受納しない。
<i>~は見通し</i>
神にはどんなことでも見えているから, 偽ることはできない。 神仏はお見通し。
<i>~も仏(ホトケ)もない</i>
慈悲を垂れ人を救う神も仏もいない意で, 世間の無情・無慈悲などをはかなんでいう語。
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