※一※ (代)
不定称の指示代名詞。
(1)どういうもの。 どういうこと。 (ア)名前や正体がわからない物事をさして問う語。
「人間とは~か」「それが~か知っている」(イ)どれが相当するのか, はっきりしない物事をさして問う語。 「~がほしいの」「~をたべよう」「あいつに~ができる」
(2)
その名の思い出せないもの, 名をぼかしていう必要のあるものをさす。
「~はどうした」「~を~しよう」
(3)
ある物事を挙げ, その他のものすべてをさす。
「水も~もない」「お金も~もいらない」
※二※ (副)
(1)(下に打ち消しの語を伴って)何ひとつ。 全く。
「~不自由ない生活」「~気兼ねなく暮らす」
(2)原因・理由などの不明のときの納得のいかない気持ちを表す。 なぜ。 どうしてまた。 どういうわけで。
「春霞~かくすらむ桜花/古今(春下)」
※三※ (感)
(1)驚き, 怒りやとがめる気持ちなどを込めて聞きかえすときに用いる語。
「~, 成功したって」「~, できないだって」「~, もう一度言ってみろ」
(2)相手の気持ち, 特に, 心配・懸念などを軽く打ち消すときに用いる語。 いや。
「~, 大したことはない」「~, 構うものか」
(3)呼びかけるときに用いる語。
「~, お小性衆, 若殿様のお入を神主方へ/歌舞伎・韓人漢文」
→ 何か
→ 何が
→ 何と
→ 何も
<i>~が何(ナン)だか</i>
内容・筋道などが全く理解できないさま。
「事故の時は, ~さっぱりわからなかった」
<i>~から何まで</i>
いっさいがっさい。 すべて。 何もかも。
「~ひとの世話になる」
<i>~食わぬ顔</i>
知っているにもかかわらず何事も知らないような顔つき。 そ知らぬ顔。
「~でうそをつく」
<i>~するものぞ</i>
何ができようか, 何もできはしない。 恐れることはない。
「敵軍~」「悪天候も~」
<i>~ならず</i>
何ほどのことでもない。 物の数ではない。
「~ぬ草木の色もあはれなり/新葉(雑中)」
<i>~にしても</i>
他のことは別にしても。 とにかく。 なんにしても。
<i>~にせよ</i>
何にしろ。 なんにせよ。
<i>~にも増(マ)して</i>
ほかのどんなものよりも。
「~健康が大事だ」
<i>~は扨置(サテオ)き</i>
ほかのことはひとまず後まわしにしても。 まず第一に。
「~ひと休みしよう」
<i>~は然(シカ)れ</i>
ほかのことはさておき。 何はともあれ。
「まあ, ~, 二日酔ひの迎ひ酒とは/歌舞伎・韓人漢文」
<i>~はともあれ</i>
ほかのことはどうでも。 ともかく。
「~, 無事でよかった」
<i>~は無くとも</i>
ほかのものは全くなくても, そのものだけは欠かすことはできないという意を表す。
「~団欒(ダンラン)のひとときが欲しい」
<i>~はに付けて</i>
万事につけて。 何かにつけて。
「~便りなく思ひ参らせ候へば/浮世草子・禁短気」
<i>~はの事</i>
(1)すべてのこと。 万事。
「数ならで~もかひなきになどみをつくし思ひそめけむ/源氏(澪標)」
(2)なんのこと。 どんなこと。
「津の国の~かのりならぬ遊びたはぶれまでとこそきけ/後拾遺(雑六)」
〔和歌では地名「難波(ナニワ)」にかけて用いられる〕
<i>~も彼(カ)も</i>
あれもこれも。 すべて。
→ 何も
<i>~や彼(カ)や</i>
いろいろ。 あれやこれや。 なんやかや。
「~(と)忙しい」「~(と)口うるさい」
<i>~をか言わんや</i>
何を言おうか, 何も言うことはない。 おどろきあきれて言うべき言葉もない。
<i>~を隠そう</i>
何も隠すつもりはない。 思い切って真実を述べる前に言う語。
「~彼がその人です」
<i>~をがな</i>
何か適当なものを求めるさまにいう。 何かを。 何物かを。
「~と望みける程に/仮名草子・伊曾保物語」
Angie Ymnk commented