※一※ (名)
(1)何かが存在する気配。 何かが現れる兆候。
「酒乱の~がある」「噴火の前日まではその~もなかった」
(2)ある本体から発散されて, その本体の存在を感じさせるもの。 気体状のものや, 熱気・光・においなどをいう。
「東面の朝日の~いと苦しければ/蜻蛉(下)」「大きなる釜(カナエ)有り, 湯の~有り/今昔 14」
(3)どことなく感じられる趣。 雰囲気。 風情。
「物々しき~さへ添ひ給ひて/源氏(葵)」「恐ろしき~も覚えず, いとらうたげなるさまして/源氏(夕顔)」
(4)身体の異常。 病気。
「足の~起こりて, 装束する事の苦しければなむ/落窪 3」
(5)血の気。 血行。
「~や上がりぬらむ, 心地いと悪しうおぼえて/蜻蛉(中)」
(6)出産のきざし。 産気。
「日もあるに, 今朝から~がつきて/浮世草子・胸算用 2」
(7)大気。 空気。
「雨のどかに降りて~しめりたりけるに/栄花(本の雫)」
※二※ (接頭)
形容詞・形容動詞また動詞に付いて, 「何となく」「どことなく」の意を添えたり「…のようすである」の意を表したりする。
「~だるい」「~だかい」「~ざやか」「~おされる」
※三※ (接尾)
名詞, 動詞の連用形, 形容詞・形容動詞の語幹に付いて, そのような様子・気配・感じがある意を表す。
「塩~」「色~」「商売っ~」「吐き~」「まじり~」「寒~」「いや~」
→ げ(気)
<i>~も無・い</i>
(1)それらしい様子もない。 気配もない。
(2)思いもよらない。 とんでもない。
「『主人塩冶の怨を報ずる所存はないか』『~・い事, ~・い事』/浄瑠璃・忠臣蔵」