(1)生まれつきもっている心の傾向。 性質。 性格。
「~が小さい」「~のいい人」
(2)物事に積極的に立ち向かう心の動き。 意欲。
「~がはやる」「~のない返事」
(3)物事に引きつけられる心の動き。 関心。
「彼女に~がある」「~をそそる」
(4)物事に対してもつ, または物事に影響を受けて変わる感情。 情緒。
「~が沈む」「~が変わる」「~を楽にする」「~が滅入(メイ)る」
(5)外界を認識し, 外界と自分との関係を理解する心のはたらき。 意識。
「~を失う」「~を確かに持つ」「~が狂う」「~が付く」
(6)物事をうまく運ぶために, 状況を的確にとらえる注意力。 配慮。
「~が回る」「~を付ける」「~を遣う」「~にとめる」「~が散る」
(7)物事をなしとげるために心を支え動かす力。 気力。
「~を挫(クジ)く」「~がゆるむ」「~は天を衝(ツ)く」
(8)ある物が含みもっていて, その物を生かしている目に見えないもの。 特に, 味わいや香りをいう。
「~の抜けたビール」「樽(タル)に酒の~が残る」
(9)目には見えないが, 空間に立ちこめているもの。 精気。
「山の~を胸いっぱいに吸う」
(10)その場に広がっている感じ。 雰囲気。
「会場は厳粛の~に満ちている」
(11)(連体修飾語を受けて)(ア)これから何かをしようという気持ち。 つもり。
「彼を助ける~はない」「これからどうする~か」「あそこから飛びおりる~だ」(イ)実際はそうでないのに, そうしたような気持ち。 つもり。 「死んだ~になって努力する」「天下を取った~でいる」(ウ)その時々の心の状態。 気持ち。 「ちょっといやな~がした」「さびしい~がする」
(12)漢方で, 血(ケツ)とともに体内の経絡を循行する生命力の根源とされるもの。 無形であるが, 有形の血と一体となって生理機能全般をつかさどるとされる。
→ 血
(13)宋学で, 「理」が万有を支配する原理であるのに対して, 万物を形成する元素を「気」という。
〔「こころ」という語が精神活動を行う本体的なものを指すのに対して, 「気」はその「こころ」の状態・反応など現象的な面をいう傾向が強い。 「気は心」という言葉も, 表面的な「気」のはたらきは本体としての「心」の表れであるという考え方に基づく〕
<i>~が合・う</i>
その人の考え方や好みが自分に似ていて, うまく調子を合わせてつきあえる。
<i>~があ・る</i>
(1)関心をもっている。
「彼はそのポストに~・る」
(2)恋い慕う気持ちがある。
「彼は彼女に~・る」
<i>~がい・い</i>
気立てがいい。 人がいい。
<i>~が多・い</i>
あれこれと心が移りやすい。 浮気である。
<i>~が大き・い</i>
細かいことを気にしない。 度量が広い。
<i>~が置けない</i>
気遣いする必要がない。 遠慮がない。
⇔ 気が置ける
「~ない間柄」
<i>~が重・い</i>
よくない結果が予想されたり, 負担に感じることがあって, 気持ちが沈む。
⇔ 気が軽い
<i>~が勝・つ</i>
勝ち気である。 気性が強い。
「~・った女」
<i>~が利(キ)・く</i>
(1)よく心がゆきとどく。
「~・かないやつだ」
(2)いきである。 しゃれている。
「気の利いた服装」
<i>~が気でな・い</i>
心配で落ち着かない。
<i>~が腐(クサ)・る</i>
不順を恨み沈み込む。 くさる。
<i>~が差・す</i>
気になる。 うしろめたい思いがする。 良心がとがめる。
「不義理をしたので~・す」
<i>~が知れない</i>
相手の考え・意図が理解できない。
<i>~が進まない</i>
積極的にそれをしようという気持ちになれない。 気乗りがしない。
<i>~が済(ス)・む</i>
満足して気分がおさまる。
<i>~がする</i>
そのように思う。 感じられる。
「変な~した」「負ける~しない」
<i>~が急(セ)・く</i>
心がはやる。 気があせる。
<i>~がそが・れる</i>
何かをしようという意気込みがくじかれる。
<i>~が立・つ</i>
感情がたかぶる。 興奮する。
<i>~が小さ・い</i>
ささいなことを気にする。 小心である。
<i>~が散・る</i>
一つの事に注意が集中しない。 散漫になる。
<i>~が尽・きる</i>
気力がなくなる。 嫌気がさす。
「小夜中のおしらべごと, 嘸(サゾ)かしお~・きるであろ/桐一葉(逍遥)」
<i>~が付・く</i>
(1)考えが及ぶ。 気づく。
「間違いに~・く」
(2)細かいところに注意がゆきとどく。
「よく~・く人だ」
(3)意識が戻る。 正気に返る。
「~・いたらベッドの中だった」
<i>~が詰(ツ)ま・る</i>
気詰まりになる。
<i>~が遠くな・る</i>
(1)意識が薄れる。 ぼうっとなる。
(2)物事の規模やありさまが並外れていて, 冷静な判断ができなくなる。
「~・るような話」
<i>~が咎(トガ)・める</i>
心の中でやましく思う。
<i>~が無・い</i>
関心がない。 興味を感じない。
「~・い返事」
<i>~が長・い</i>
(1)あんまりゆっくり構えすぎていて, 周囲の人をいらだたせる。
(2)人の性格が忍耐づよく, 寛大である性分だ。
<i>~が抜・ける</i>
(1)張り合いがなくなる。 拍子抜けする。 また, 魂が抜ける。
(2)飲み物などの風味がなくなる。
「ビールの~・ける」
<i>~が乗・る</i>
する気になる。
「~・ったら徹夜もする」
<i>~が早・い</i>
せっかちである。 性急だ。
<i>~が張・る</i>
気がゆるまないように緊張し続ける。
<i>~が晴・れる</i>
憂うつな気分がふき飛ぶ。
<i>~が引・ける</i>
気おくれする。 ひけめを感ずる。
<i>~がふ・れる</i>
気が狂う。 発狂する。
<i>~が減(ヘ)・る</i>
やきもきする。 気疲れする。
「気の減るやうな事多し/浮世草子・禁短気」
<i>~が紛(マギ)・れる</i>
憂うつな気分や退屈な気分が, 他のことをすることで忘れられる。
<i>~が回・る</i>
細かいところまでよく注意がゆきとどく。
<i>~が短・い</i>
(1)事の実現の遅れを待ちきれず, いらついたり, 催促したりする性分である。
「~・い彼は, 信号の変わる前に横断した」
(2)忍耐強くなく, すぐに怒ってしまう性格である。
<i>~が向・く</i>
しようとする気になる。 乗り気になる。
<i>~が揉(モ)・める</i>
あれこれと心配で, 落ち着かない。
<i>~が若・い</i>
年の割に気のもち方が若々しい。
<i>~に入(イ)・る</i>
好みにかなう。 心を満足させる。
「この服が~・った」「世の中~・らないことが多い」
<i>~に掛か・る</i>
心にかかる。 心配に思う。 気になる。
<i>~に掛・ける</i>
心配りをする。 心にかける。 気にする。
<i>~に食わない</i>
気持ちに合わない。 いやに思う。
<i>~に障(サワ)・る</i>
感情を害する。 不愉快に思う。
「人の~・ることを言う」
<i>~にする</i>
気がかりに思う。 心配する。
「噂を~する」
<i>~に留(ト)・める</i>
心にかける。 意識にのぼせる。
<i>~にな・る</i>
心にひっかかる。 気にかかる。
<i>~に病・む</i>
心にかけて気をもむ。 心配する。 悩む。
「失敗をいつまでも~・む」
<i>~の所為(セイ)</i>
⇒ 気の所為(独立項目)
<i>~の病(ヤマイ)</i>
⇒ 気の病(独立項目)
<i>~は心</i>
量や額はわずかだが, 誠意がこめられていること。 贈り物などをするときに用いる語。
<i>~は世を蓋(オオ)う</i>
〔史記(項羽本紀)〕
気性の雄大なこと。 意気が盛んなこと。 蓋世(ガイセイ)。
<i>~を入・れる</i>
物事を熱心にする。
「~・れて勉強する」
<i>~を失・う</i>
(1)意識をなくす。 失神する。
(2)気落ちする。
「此の城を夜討に落して, 敵に~・はせ/太平記28」
<i>~を落と・す</i>
がっかりする。 失望する。 気落ちする。
<i>~を兼・ねる</i>
遠慮する。 きがねする。
「~・ねて詞をそらした/青年(鴎外)」
<i>~を利(キ)か・せる</i>
相手の気持ちやその場の状況を配慮して行動する。 気を利かす。
<i>~を砕(クダ)・く</i>
いろいろと心配りをする。 心を砕く。
<i>~を配(クバ)・る</i>
方々に注意を払う。 あれこれ気を遣う。
<i>~を遣・う</i>
心配する。 あれこれ心遣いをする。
<i>~を尽く・す</i>
(1)精根をつかいはたす。 うんざりする。
「おのづと~・しての手枕/浮世草子・一代男 7」
(2)精魂を傾ける。 熱中する。
「後生の我等を導かんために, そくばくの~・せる古賢の心ざし/戴恩記」
<i>~を付け</i>
⇒ 気を付け(独立項目)
<i>~を付・ける</i>
(1)注意する。 気をくばる。
「火の元に~・けること」
(2)元気を回復させる。
「此の人々なまじひなる事し出して敵に~・けつる事よ/太平記 30」
(3)気づかせる。
「定めて忘れさせられた物で有らう, 立戻つて~・けて見う/狂言・抜殻(虎寛本)」
<i>~を取られる</i>
注意をうばわれる。
「話に~れて手元がくるう」
<i>~を取り直・す</i>
元気を取り戻すため, 心のもち方を変える。
「~・して仕事に励む」
<i>~を抜・く</i>
(1)張りつめていた気持ちをゆるめる。
「~・くんじゃないよ」
(2)びっくりさせる。 度肝を抜く。
「からくりの太鼓に~・かれて/洒落本・辰巳之園」
<i>~を呑(ノ)ま・れる</i>
相手に圧倒される。
<i>~を吐・く</i>
(1)威勢のよいことを盛んに言う。 気炎を吐く。
(2)威勢のよいところを示す。
「ひとり~・く」
<i>~を張・る</i>
気持ちを引き締める。 心を緊張させる。
<i>~を引・く</i>
(1)それとはなしに相手の意中を探る。
(2)相手の関心をこちらへ向けさせる。
<i>~を回・す</i>
あれこれと必要以上に気を配る。 当て推量したり邪推したりする。
「万事に~・しすぎる」
<i>~を持た・せる</i>
(1)思わせぶりをする。 気をもたす。
「~・せた言い方」
(2)相手に期待を抱かせる。 気をもたす。
<i>~を揉(モ)・む</i>
あれこれと心配する。 やきもきする。
<i>~を許・す</i>
警戒心を解く。
「決して~・すな」
<i>~を良くする</i>
物事がうまく行って, いい気分になる。
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