(1)目に見えているものをなくする。 (ア)火・光などを消滅させる。
「たき火を~・す」「あかりを~・す」(イ)文字・図形・文様・色などを, 見えなくする。 「黒板の字を~・す」「雪が足跡を~・してしまった」「衣類の黄ばみを~・す」(ウ)スイッチを操作して, 器械・器具のはたらきを止める。 「テレビを~・す」「ガスを~・し忘れないように」
(2)心や耳・舌・鼻などに感じていたものをなくする。 また, 感じないようにする。 (ア)音や声を聞こえなくする。 磁気テープなどに記録された音やデータをなくすることにもいう。
「音を~・してテレビを見る」「飛行機の爆音で声が~・される」「録音を~・す」「データを~・す」(イ)記憶・感情や, 匂いなどをなくする。 感じなくする。 「記憶から~・す」「匂いを~・す」
(3)(「姿を消す」の形で)いなくなる。 その場所から見えなくなる。
「ちょっと目を離したすきに, 姿を~・してしまった」
(4)人を殺す。
「仲間に~・されたらしい」
(5)害毒を除き去る。
「毒を~・す」「其の殃(ワザワイ)を~・すには真言秘密の効験にしくはなし/太平記 12」
(6)時間を過ごす。
「日月を~・す」
(7)(「肝(キモ)を消す」などの形で)心の平静を失う。
「今日もや舟にのり給ふらんと肝を~・し/平家 10」
(8)否定する。 打ち消す。
「今云うた事は眠(ネム)た慰み, たは事なり, と~・して廻れば/浮世草子・新色五巻書」
(9)けなす。
「京に来て良い事を見た目で大かた(=世間並)の事は, と~・されて/浮世草子・一代男 4」
〔中古には漢文訓読文に用いられた。 → 消つ。 「消える」に対する他動詞〕
‖可能‖ けせる
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