(1)人・獣・鳥・魚・貝以外の小動物。 多く, 昆虫をいう。
(2)美しい声で鳴く昆虫。 マツムシ・スズムシなど。 ﹝季﹞秋。 《行水の捨て所なき~のこゑ/鬼貫》
(3)人に害を与える小動物。 人の体内にすむ寄生虫や, ノミ・シラミ・シミなど。
「~がわく」
(4)子供の体質が弱いために起こる病気。 虫気(ムシケ)。
「疳(カン)の~」
(5)人間の体内にあり, さまざまな考えや感情を起こすもとになると考えられているもの。
「~が知らせる」「ふさぎの~が起きる」
(6)何かをしようとする考え。
「浮気の~が起きる」「悪い~が頭をもたげる」
〔多く, よくない考えについていう〕
(7)癇癪(カンシヤク)。
「小町田も性来(ウマレツキ)疳癪持だし, 田の次も~のある人間だから/当世書生気質(逍遥)」
(8)一つの事に熱中する人。
「本の~」「芸の~」
(9)ある特定の性向をもっている人。 他の語と複合して用い, その人をあざけっていう。
「泣き~」「点取り~」
<i>~がい・い</i>
自分の都合ばかり考え, 身勝手である。 ずうずうしい。
「~・い話」
<i>~が起こ・る</i>
(1)子供が疳(カン)の強い状態になる。
(2)人間の体内にいると考えられている虫が動き出して, 何かをしようとする。 虫が騒ぐ。
「浮気の~・る」
<i>~が納ま・る</i>
怒りがおさまる。 癇癪(カンシヤク)がおさまる。
<i>~が齧(カブ)・る</i>
(1)腹痛が起こる。
「つれの者が少し~・るさうだから宿をおたのみ申しやす/滑稽本・膝栗毛 5」
(2)産気づく。
「しきりに~・ると見え/滑稽本・膝栗毛(発端)」
<i>~が嫌・う</i>
なんとなく気にくわない。 虫が好かない。
「~・ふと見え, 落雷に驚いて/真景累ヶ淵(円朝)」
<i>~が知ら・せる</i>
何かが起こりそうな予感がする。
<i>~が好かない</i>
なんとなく好感がもてない。 虫が嫌う。
「~ない奴」
<i>~がつ・く</i>
(1)衣類・書画などを虫が食い荒らす。
(2)未婚の女性などに愛人ができる。
「箱入り娘に悪い~・く」
<i>~の合方(アイカタ)</i>
歌舞伎の下座音楽の一。 大鼓・小鼓・松虫・オルゴールを交えた三味線曲で, 世話狂言のさびしい情景を表す。 「塩原多助」の庚申塚(コウシンヅカ)の場や「忍ぶの惣太」の梅若殺しの場など。
<i>~の息(イキ)</i>
今にも死にそうな弱々しい呼吸。
<i>~の居所(イドコロ)が悪・い</i>
ちょっとしたことにも機嫌を損ねやすい状態にある。
<i>~の知らせ</i>
何の根拠もないのに, よくない出来事が起こりそうだと心に感ずること。
<i>~も殺さない</i>
性質が穏やかでおとなしい人のたとえ。
「~ない顔をして心は鬼のようだ」
<i>~を起こ・す</i>
子供が虫気(ムシケ)を起こす。
<i>~を殺・す</i>
腹が立つのをじっと我慢する。
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