※一※ (名)
〔「み(実)」と同源〕
❶生きている人のからだ, またその主体としての自分。
(1)身体。 からだ。
「~をよじって笑う」
(2)我が身。 自分自身。
「信仰に~をささげる」「危険が~に迫る」「~みづから煙草をつめて/当世書生気質(逍遥)」
❷社会的存在としての自分のありようをいう語。
(1)地位。 身分。 分際。
「流浪の~となる」「~のほどを知れ」
(2)立場。
「私の~にもなって下さい」
(3)身持ち。
「~が修まらない」
❸あるものの本体部分。 付属部分や表面部分に対していう。
(1)(皮・骨に対して)肉。
「~だけ食べる」「白~の魚」
(2)ふたのある器物で物を入れる本体の部分。
「~とふたとが合わない」
(3)(鞘(サヤ)や柄(エ)に対して)刀や鋸(ノコギリ)の, 刃を持つ金属部分。
「~が鞘に入らない」
(4)木の皮の下の, 材の部分。
(5)衣服の袖・襟などを除いた, 胴体をおおう部分。
※二※ (代)
(1)一人称。 男子がやや優越感をもって自分をさしていう。 中世・近世の語。
「~が家は三条東洞院に有りしなり/正徹物語」
(2)(接頭語「お」「おん」を冠して, 「おみ」「おんみ」の形で)二人称。 相手をさしていう。
→ おみ(代)
→ おんみ(代)
<i>~が軽・い</i>
(1)身のこなしが軽い。 体の動きが軽やかである。
(2)負担となるものがない。
<i>~が入(ハイ)・る</i>
一生懸命になる。 熱中する。
「勉強に~・らない」「話に~・って, 時間のたつのも忘れる」
<i>~が持たない</i>
体力が続かない。 健康が保てない。
<i>~から出た錆(サビ)</i>
〔刀身そのものから生じて刀身を腐らせる錆の意〕
自分の犯した悪行のために自ら苦しむこと。 自業自得。
<i>~に余・る</i>
(1)好意や好遇などが過分で自分にふさわしくない。 身に過ぎる。
「~・る光栄」
(2)負担が大き過ぎて自分の力では処理しきれない。
「~・る大役」
<i>~に覚えがあ・る</i>
自分自身でたしかにそのことをしたという覚えがある。
<i>~に沁(シ)・みる</i>
(1)深く感ずる。 しみじみ感銘する。
「人の情けが~・みる」
(2)(俳句では「身に入(シ)む」と書く)秋の冷気が痛切に感じられる。 ﹝季﹞秋。 《身にしむや亡妻の櫛を閨に踏む/蕪村》
<i>~に過・ぎる</i>
「身に余る」に同じ。
「~・ぎる光栄」
<i>~に付・く</i>
知識・技術などが真に自分のものとなる。
「技術が~・く」「都会生活が~・く」「悪銭~・かず」
<i>~に着・ける</i>
(1)衣服を着る。
(2)からだにつけて持つ。 所持する。
「お守りを~・ける」「大金を~・ける」
(3)知識・技術などを自分のものとする。
「教養を~・ける」
<i>~につまされる</i>
他人の不幸などが我が事のように思われる。
<i>~にな・る</i>
(1)その身になる。 そのものとなりきる。
「相手の~・って考える」
(2)その人のためになる。
「~・る物を食べる」
<i>~の置き所がな・い</i>
窮地に立たされ, または恥ずかしさのあまり, その場から逃げ出したい気持ちである。
<i>~の振り方</i>
自分の将来についての方針。
「~を考える」
<i>~は身で通る</i>
(1)貴賤貧富などの差はあっても, 人はその人の身に応じた生活をしていけるものである。
(2)人は自分本位に暮らすものである。
<i>~二つになる</i>
子供を生む。 出産する。
<i>~も蓋(フタ)もな・い</i>
表現が露骨すぎてふくみも情緒もない。 にべもない。
「~・い言い方」
<i>~も細・る</i>
心労でからだがやせる。
「~・るような思い」
<i>~も世もあらず</i>
「身も世もない」に同じ。
<i>~も世もな・い</i>
我が身のことも, 世間の手前も考えていられない。 ひどく取り乱したさま。
「~・く泣き崩れる」
<i>~を誤(アヤマ)・る</i>
間違った生き方をする。 道を誤る。
<i>~を入(イ)・れる</i>
心をこめてする。
「仕事に~・れる」
<i>~を売・る</i>
(1)代金と引き換えに, 約束の期間, 芸者・娼妓(シヨウギ)などの勤めをする。
(2)売春をする。
<i>~を起こ・す</i>
出世する。
「一介の農民から~・した」
<i>~を落と・す</i>
おちぶれる。 零落する。
<i>~を躍(オド)ら・せる</i>
からだを跳躍させる。 ジャンプする。
「千尋の谷へ~・せる」
<i>~を隠・す</i>
(1)姿を隠す。
(2)世間を避けて暮らす。
<i>~を固・める</i>
(1)結婚して家庭をもつ。 また, 定職につく。
(2)きちんと身支度をする。
「鎧兜(ヨロイカブト)に~・める」
<i>~を切・る</i>
つらさ・寒さなどが非常にきびしいさま。
「~・られるような思い」「~・る寒風」
<i>~を砕(クダ)・く</i>
非常に苦労する。 身を粉(コ)にする。
<i>~を削(ケズ)・る</i>
非常な苦労をする。 骨身(ホネミ)を削る。
<i>~を焦(コ)が・す</i>
恋慕の情が抑えられず, もだえ苦しむ。
「恋の炎に~・す」
<i>~を粉(コ)にする</i>
労苦をいとわないで努力をする。 精根尽くす。
「~して働く」
<i>~を殺して以(モツ)て仁(ジン)を成す</i>
〔論語(衛霊公)〕
自分の身命を犠牲にして, 仁の徳を成就する。
<i>~を沈・める</i>
おちぶれた境遇に身を置く。 特に女性が身売りして, 遊女などになる。
「苦界(クガイ)に~・める」
<i>~を持(ジ)・する</i>
厳しい生活態度を持ち続ける。
<i>~を捨ててこそ浮かぶ瀬(セ)もあれ</i>
一身を犠牲にする覚悟があってこそ, 活路を見いだすことができる。
<i>~を捨・てる</i>
自分の身を犠牲にする。
「~・てる覚悟」
<i>~を立・てる</i>
(1)ひとかどの者になる。 立身出世する。
(2)生活の手段とする。 生計をたてる。
「針仕事で~・てる」
<i>~を尽く・す</i>
心身のありったけをささげる。 和歌では多く「澪標(ミオツクシ)」にかけていう。
「わびぬれば今はた同じ難波なる~・しても逢はむとぞ思ふ/後撰(恋五)」
<i>~を挺(テイ)・する</i>
(1)体を投げ出す。
「~・して防ぐ」
(2)一身をかけて物事を行う。
「事業完遂に~・する」
<i>~を投・ずる</i>
一身を投げ出して, 物事に打ち込む。
「実業の世界に~・ずる」
<i>~を投・げる</i>
投身自殺をする。
「海に~・げる」
<i>~を引・く</i>
これまでの地位・立場からしりぞく。
「政界から~・く」
<i>~を潜・める</i>
(1)物陰に身を隠す。
(2)世間から隠れる。
<i>~を任(マカ)・せる</i>
相手のするがままにまかせる。 特に, 女性が体を許す。
<i>~を持ち崩(クズ)・す</i>
品行が悪く, だらしのない生活をするようになる。
<i>~を以(モツ)て</i>
(1)自分自身で。 みずから。
「~範を示す」「~体験する」
(2)体ひとつで。 かろうじて。
「~逃れる」
<i>~を焼・く</i>
激しく思いつめて悩む。 身を焦がす。
「恋に~・く」
<i>~を窶(ヤツ)・す</i>
(1)やせてしまうほど物事に熱中する。 または思い悩む。
「恋に~・す」
(2)みすぼらしい姿に身を変える。
「旅の僧に~・す」
<i>~を寄・せる</i>
ある人の家に一緒に住まわせてもらい世話になる。 寄寓する。
Angie Ymnk commented