(1)脊椎動物の頭部にあって聴覚と平衡覚をつかさどる器官。 左右一対あり, 哺乳類と一部の鳥類では外耳・中耳・内耳の三部から成る。 また, 外耳のうち外から見える耳殻や外耳道をさす場合がある。 魚類は内耳のみ, 両生類・爬虫類は内耳と中耳をもつ。
(2)音を聞いたり聞きわけたり情報を集めたりする力。 聴力。
「~が遠い」「~が早い」「地獄~」
(3)織物・紙・食パンなどの端の方の部分。
「パンの~」「織物の~」
(4)耳に似た形のもの。 特に器物の取っ手。
「なべの~」
(5)本の部分の名。 本製本で, 表紙の平と背の境目のやや隆起した部分。
→ 製本
(6)のれん・わらじ・針などのひもを通すための輪。 乳(チ)。
(7)江戸時代, 兜(カブト)の吹き返しの俗称。
(8)大判・小判のへり。 転じて, その枚数。
「千両の小判, ~が欠けてもならぬ/浄瑠璃・傾城酒呑童子」
<i>~が痛・い</i>
他人の発言・批評などが自分の弱点をついているので聞くのがつらい。
<i>~が汚(ケガ)・れる</i>
けがらわしいことを聞いてしまう。
<i>~が肥(コ)・える</i>
音楽や話芸などをよく聞き込んでいて, 批評や鑑賞の能力にすぐれている。
<i>~が遠・い</i>
耳がよく聞こえない。 聴力が弱い。
<i>~が早・い</i>
うわさなどをすばやく聞きつける。 早耳。
<i>~順(シタガ)う年(トシ)</i>
〔論語(為政)「六十而耳順」から〕
六〇歳。 耳順(ジジユン)。
<i>~に入(イ)・れる</i>
(1)ふと聞いてしまう。
「車中で~・れた話」
(2)話して聞かせる。
「ぜひ~・れたいことがある」
<i>~に逆ら・う</i>
聞いて不愉快になる。 また, 聞く人にいやな思いをさせる。
「忠言は~・う」
<i>~に障(サワ)・る</i>
聞き流すことができない。 気にかかる。
<i>~にする</i>
(聞くつもりもなく)聞く。 耳にはさむ。
「変なうわさを~した」
<i>~に胼胝(タコ)がで・きる</i>
同じことを幾度も聞かされて, 聞きあきている。
<i>~に付・く</i>
音や声が耳ざわりで, 気にかかる。
「雨だれの音が~・いて眠れない」
<i>~に留(ト)ま・る</i>
聞いたことに心がとまる。 聞き捨てにできない。
<i>~に留(ト)・める</i>
聞いて心にとめる。 注意して聞く。
<i>~に残・る</i>
聞いた声や音が記憶に残る。
<i>~に入(ハイ)・る</i>
聞こえてくる。
「妙なうわさが~・る」
<i>~に挟(ハサ)・む</i>
ちらっと聞く。 偶然聞く。 小耳にはさむ。
<i>~を洗・う</i>
「耳を滌(スス)ぐ」に同じ。
<i>~を疑・う</i>
思いがけない音や発言を聞いて, 聞き間違いではないかと驚く。
<i>~を打・つ</i>
(1)ある音が強く聞こえる。
「雨の音が~・つ」
(2)耳打ちをする。
<i>~を掩(オオ)いて鈴を盗む</i>
音がして他人に知れるのを恐れて, 自分の耳をふさいで鈴を盗む。 策を弄して自らを欺いても益のないこと。
<i>~を貸・す</i>
相手の話を聞く。 また, 聞こうとする。
「いくら頼んでも, ~・そうとしない」
<i>~を傾・ける</i>
熱心に聞く。 傾聴する。
<i>~を聞・く</i>
話が聞こえてくる。 うわさを聞く。
「人なみなみなるべき耳をも聞くべきものかはと思ひしに/枕草子 319」
<i>~を信じて目を疑う</i>
人から聞いたことを信じて自分の目で見たことを信じない。
「凡そ~は, 俗の常の弊なり/平家 3」
<i>~を滌(スス)・ぐ</i>
俗世間の栄達にとらわれない高潔な心でいる。 耳を洗う。
「纓を洗ひ~・ぎて/鶉衣」
→ 許由
<i>~を澄ま・す</i>
注意を集中して聞こうとする。 耳を傾けて聞く。
「~・して虫の音を聞く」
<i>~を攲(ソバダ)・てる</i>
注意して聞きとろうとする。 聞き耳を立てる。 耳を澄ます。
<i>~を揃(ソロ)・える</i>
〔小判などの縁をそろえる意〕
金銭などを不足なくとり揃える。
「~・えて借金を支払う」
<i>~を立・てる</i>
「耳を攲(ソバダ)てる」に同じ。
<i>~を擘(ツンザ)・く</i>
耳を突き破られるように響く。 耳を聾(ロウ)する。
「~・く砲声」
<i>~を塞(フサ)・ぐ</i>
聞かないようにする。
「野卑な言葉に~・ぎたくなる」
<i>~を聾(ロウ)・する</i>
耳が聞こえなくなるかと思うほどの大きな音がするたとえ。 耳をつんざく。
Angie Ymnk commented