翻訳: Chikako Battani 校正: Takahiro Shimpo

まず クオートから始めさせてください

The only way to do great work is love what you do.

If you haven't found it yet, keep looking, Don't settle.

これは スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の

卒業の祝辞で述べた言葉ですけれども

偉業を成し遂げるためには その仕事を心の底から愛し

そして情熱を注ぎ込む必要がある

そして もしそのような仕事を 見つけていないのであれば

そういった仕事を諦めずに 探し続ける必要がある

そう言っています

この 好きなことを仕事にする

情熱を注ぎ込む事を仕事にする

とてもシンプルで当たり前 のことに思えます

それに疑問を持つ方は この部屋の中に

一人もいらっしゃらないと思います

けれども 実際 それがすごく難しい なぜか

すごく情熱を注ぎ込みたい 仕事だけれども

食っていけない

この仕事で働きたい

けれどもその会社が無名だから

家族や恋人なんかに 大丈夫かと心配される

私が実際にそうでした

私は まさに この京都で 学生生活を送っていたんですけども

学生の頃は 0から1を 生み出すのが大好きでした

大学一年生の時に ミスコンを企画したり

2年生になってからは

“Chot★Better”という フリーペーパーを創刊したりして

沢山の0から1を生み出してきました

けれども 就職活動が始まって

就活の波に流され

また周りの友達から良く見られたい

などといった気持ちも芽生えて

大企業であるゴールドマンサックス証券に 就職しました

会社では すごく沢山の優秀な 先輩方に恵まれ

また沢山多くの事を学ばさせて頂き

本当に感謝している一方で

やはり 金融機関ていうのは 0から1ではなく

1から10 1から100を 生むビジネスモデルが

根幹にあることを実感し

これは本当に私が人生をかけて やりたい事なのだろうか

と疑問を持つようになりました

けれども だからといって そんな簡単に仕事を辞めるだけの

勇気はありませんでした

そんな時 私の背中を押してくれたのは 母の姿でした

母はもうすぐ60歳になりますが 心理学を研究し

その研究成果を使って 世の中の司法や行政のあり方を

変えるといった仕事をしています

なぜ 女性の社会進出が すごく遅れていた時代に

マジョリティが男性である アカデミックな世界で

彼女はキャリアを築く事が出来たのか？

すごくシンプルです

彼女はたった一つの 簡単な事だけをしていました

それは 好きな事だけを続けるんですね

これは まさにスティーブ・ジョブズが言っていた

自分が愛せる 情熱を注ぎ込める 仕事を見つけなさいと

言ってたことと全く一緒です

母は 20代30代の頃 とてもお金がなかったと言います

お金が無さ過ぎて 講師の掛け持ちをし過ぎて

過労で駅のプラットフォームで 倒れるなんていう珍事件もあったと聞きます

けれども お金ではなく やりがい

自分がこれに情熱をかけれるんだ という仕事を探し

それだけに打ち込んできた

その結果 社会的地位や 名誉 社会的

経済的安定性がついて来ています

そして 今では大好きな研究をしながら

母はそれを学生に教え

その研究成果を社会に還元するという

とてもやりがいのある仕事をしています

目の前の自分が好きなことだけ をやっていれば

全ては後からついて来る

そういった姿を見て育った私は

私もそうなりたい そう思っていたので

その母を見て会社を辞めることが出来ました

この写真は 私がゴールドマンを退職した

その日に撮った写真です

4年前 24歳の私はとても不安でした

この24歳のちっぽけな若造が コネもお金も無くて

この小さな手でどんな未来を 切り開いて行けるんだろう

そう思ってたんですね

しかし 一方で大きな希望もありました

こんな小さい手の平ではありますけども

大企業にいない以上 アップサイドは無限大

全部自分で創造して行くことが出来る

この小さい手の平からでも すごく大きな未来を

築いていけるんじゃないかと思った

その不安と希望が入り混じった瞬間を

覚えておきたいと思って

シャッターを切ったんだと思います

こうして 私は会社を辞めました

けれども すぐそんな簡単に

情熱をぶつけられるものを見つけられたわけでは

ありませんでした

この何がやりたいのか分らないという質問は

多くの学生の皆さんや 社会人2，3年目の方から受ける質問です

私もまさにそうでした

好きなことをやればいい

けど何が好きなのかそもそも分らない

そういった方がすごく沢山いると思います

28年間生きて来て分った事は

情熱を注ぎ込める事を最初から 持ってる人はいないということです

これは 岡本太郎の言葉で 気付きを得たんですけれども

世の中の偉業を 成し遂げてる人達というのは

最初から情熱があったり これが好きだと言って

その事をしたわけではなくて

とにかく目の前にあったオプションを一つ一つ

愚直に 地道に シンプルにやって行って

ダメだったらすぐ次 そしてその次の事にまた全力で向かう

っていうことを 愚直に地道にやって行った結果

これは自分が情熱を注げる物だと気づいたり

これは自分が好きなことだ これを自分はやりたかったのだと気づく

っていうことが私も分ってきたんですね

ですので 私もともかく目の前のオプションを

全力でタックルしてやってみることにしました

私は まず北海道に飛びました

私の母が北海道で単身赴任をしていて 家があったので

そこに転がりこんで 朝から晩まで漫画を描きました

私はこう見えて 子供の頃から 漫画家になりたいという夢があり

大学3年生の頃には 長編漫画を描いて

それをモーニング編集部に持ち込むなんて こともしたりしていたぐらいです

もしかしたら これが自分が 情熱を傾けられる仕事なのかもしれない

そう思って 朝から晩まで 毎日毎日半年以上

全部で３０作品以上描き続けました

結果はどうだったか？

全然ダメでした

やはり 日本の漫画業界というのは すごくレベルが高く

私のような24歳の若造が金融機関を経て

ちょっと頑張ったからと言って なれるような世界ではなかったんですね

けれども私はそこで 挫折をし諦めてしまうというよりは

また次のオプション 次のアイディアに目を移して行きました

それが漫画投稿サイトです

私は コンピューターサイエンスを 大学で教えている父の影響もあり

子供の頃からプログラミングをしていました

小学校や中学校でサイトを作り

運営していた経験があったので

この漫画を投稿するウェブサービスの アイデアは面白いと思い

イスラエルにいるエンジニアのチームと一緒に

magajinというサービスを作りました

そして これを売り込む為に参加した インターネット系のカンファレンスで

フェイスブックジャパンの代表だった 児玉さんにお会いし

そこで彼に導かれてフェイスブックジャパンの

初期メンバーとして参画させて頂きました

私はフェイスブックで これからフェイスブックが

日本ですごく大きくなるっていうことを確信し

そのプラットフォームの上で何かやりたい

そう思うようになりました

そこでフェイスブックを経て 自分で本を読みながら

Ruby on Rails という プログラミング言語を使って,

Wantedly.comというサイトを作りました

最初は一人でマンションの一室から 始まったこのプロジェクトでしたが

会社になり 人もどんどん巻き込んで行き

メンバーも増え 今では大きく成長を遂げています

メンバーも5万人を越える会員のユーザーの皆様に

使って頂くほどの大きさになりました

振り返ってみると 私はスティーブ・ジョブズが言うように

母がやってきたように 諦めずに

とにかく情熱をぶつけられるものを探せるまで

目の前の事だけを次から次へと試してきています

キーは計画を立てない事だと思います

世の中の多くの人は 10年20年先のキャリアパスや

自分の人生の計画を立て

そこから逆算し自分が今 何をすべきだろうって

思い悩んで勉強したり 転職活動をしたりします

でも そうではないんです

自分で立ててしまった目標以上に

それを越える事は出来ないと思います

4年前の私に戻りましょう

会社を辞める時の私はとても不安でした

もう給料も振り込まれない ボーナスも振り込まれない

どうなるんだろう

けど 今では心の底から思っています

一歩踏み出して本当に良かったと

この世の中は 皆さんが知っているような

大企業や職業や キャリアパスや職業だけで

出来ているわけではないんです

それは全て 自分達と同じような過去の

生きた生身の人間が創りあげた 創造物にすぎません

ですから その創造物の枠組みの中で

縮こまって生きる必要はないんです

過去の人間が造った 職業だとか大学だとか

企業の名前を自分のゴールに 設定するのではなく

自分がそのシステムを作る側に まわる事ができるんです

私は28年間生きてきてそれを学びました

私は心の底から確信しています

人生の大半以上占める仕事だからこそ

そこに対して情熱を持って働ける人が増えるほど

世の中がとても元気な場所になると

仕事で心躍る人が増えれば増えるほど

日本が元気になって行くと

最後にクオートで閉めさせて下さい

The only way to do great work is to do what you love.

If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle.

Keep looking. Don't settle.

ありがとうございました

（拍手）