しかし、被害者への補償はいまだ十分ではないとして新たな団体を立ち上げたということです。
また、おととし、長野県内の自宅で22歳の長女と16歳の次男を暴力団員に殺害された市川武範さん(56)は「転居を余儀なくされたが、自宅は住宅ローンが残ったまま売却もできない。精神的なショックなどで仕事もできず、生活再建もままならない。被害者遺族が二重、三重に苦しまないようにしてほしい」と訴えました。 会では今後、国に対して補償の充実や、被害者が直面するさまざまな課題に一元的に対応する「犯罪被害者庁」の設置などを求めていくことにしています。
ただ、医療費についてはまずは被害者が医療機関にいったん支払う必要があり、金額も医療費と休業損害合わせて120万円が上限で、被害者の負担が大きいという声があがっています。
平成20年に導入された「損害賠償命令制度」により、殺人や傷害などの事件の被害者や遺族は、民事裁判を起こさなくても刑事裁判の証拠をもとに被告に損害賠償を請求することができます。しかし、裁判所が賠償を命じても加害者側に賠償金を支払う力がないというケースも少なくありません。 日弁連=日本弁護士連合会が平成30年に行った調査では、この制度などによって加害者に賠償を求めたケースで実際に賠償金が支払われたのは、殺人事件で13.3%、強盗殺人で1.2%、傷害致死で16%にとどまっています。 加害者が自殺している場合や不明のままのケースなど、賠償を求めることさえできないこともあり、被害の回復は難しいということです。
けがをしたり障害が残ったりした場合には、リハビリや介護の費用のほか、体の状態によっては住宅を改修する必要なども生じ、将来にわたって大きな費用を負担することになります。家族を失った悲しみや事件による精神的な被害で仕事が難しくなる人も少なくありません。 「新あすの会」によりますと、継続的に補償をする国の制度はなく、遺族や被害者からは元の生活に戻れるよう経済的な支援を望む声があがっているということです。
長野県に住む市川武範さんは、おととし、坂城町の自宅で長女の杏菜さん(当時22)と次男の直人さん(当時16)を面識のない暴力団員に殺害されました。暴力団員はその場で自殺しました。 事件のあと、市川さんは精神的に調子を崩して仕事を続けられなくなり、収入は途絶えました。現在は、国や自治体から支給された犯罪被害者やその遺族に対する給付金を取り崩し、周囲の支援を得ながらなんとか日々の生活を送っています。 凄惨(せいさん)な事件の現場となった自宅には住めなくなりましたが、ローンは残っていて、重い負担としてのしかかっています。 市川さんは「事件後、いきなり生活困窮者になってしまった。被害者の遺族が苦しい思いをしなければ生きていけないのが悲しい現実です」と話していました。 また、暴力団員の家族などを相手取って慰謝料や損害賠償を求める民事裁判を起こしたいと考える家族もいましたが、市川さんは止めたといいます。 理由について市川さんは「民事裁判で勝ったとしても、支払い能力がなかったりして慰謝料や賠償金が支払われないことが多い。それに、裁判で暴力団員側と関わり続けることは得策ではないと思った」としています。 市川さんはみずからの苦しい状況を踏まえ、「国の犯罪被害者給付金は非常に少なく、一時金としてもらってもすぐになくなってしまう。継続した支援をしてもらえるような施策ができれば、被害者が救われる社会になるのではないか。国は犯罪被害者の現状に目を向けて、手厚い経済支援をしてほしい」と話していました。
弁護士の岡村勲さんが中心となって被害者が泣き寝入りを強いられる状況を変えようと声を上げてきました。 岡村さんは、平成9年、顧問を務めていた証券会社を一方的に恨んだ男に妻の真苗さん(当時63)を殺害されました。当時は刑事裁判に遺族が参加することはできず、被告が妻を傷つけるような発言をしても傍聴席で黙っているしかありませんでした。 さらに、ほかの事件の被害者たちと交流する中で、重い傷を負って後遺症に苦しんでいても十分な補償を得られないという問題を目の当たりにしました。 被害者がかやの外に置かれていると疑問を強く感じた岡村さんたちは、被害者みずからが具体的な施策を提案し、権利を確立する必要があると考え先進的な制度を持つドイツやフランスで調査を行いました。そして、日本でも同じような制度を導入すべきだとして、全国で署名活動などに取り組みました。 思いは国を動かし、平成16年に被害者の権利を初めて明記した犯罪被害者基本法が成立。 平成20年には刑事裁判への被害者参加制度も実現させるなど、「あすの会」の活動によって犯罪被害者の権利は大きく前進しました。 そして、4年前、一定の成果をあげたとして解散しましたが、補償を中心に課題も残されているとしていました。
給付金制度の課題
損害賠償が難しい現実も
犯罪被害の影響は長期に
自宅で長女と次男を殺害された事件の遺族は
平成12年に結成の「あすの会」が原動力になり変化も 課題残る
26日、東京都内で開かれた設立大会には、発起人代表で自身も妻を殺害された岡村勲弁護士(92)をはじめ犯罪の被害者や遺族などおよそ100人が出席しました。
岡村さんたちが平成12年に結成した「全国犯罪被害者の会」、通称「あすの会」は、「犯罪被害者基本法」の制定など被害者の地位向上に大きな足跡を残し、4年前に解散しました。
岡村さんは「国には被害に苦しむ人たちの声を聞いて、一日も早く安心できる制度を作ってもらいたい」と述べました。
国は犯罪被害者や遺族に対する補償や賠償の制度を設けていますが、課題もあります。
殺人事件などで家族を失った人や障害が残った人には、被害者の年齢や事件前の収入、障害の程度などに応じて一時的な給付金が支払われます。また、重いけがを負ったり病気になったりした場合には、医療費と休業損害が支給されます。
加害者からの損害賠償が難しいという現実もあります。
さらに、「事件前の生活に戻るのが難しい」という声もあります。
長野県で起きた殺人事件の遺族は、事件のあと経済的に苦しい状況に追い込まれ、国に対して継続的な経済支援を行ってほしいと訴えています。
犯罪被害者を取り巻く環境はこの20年余りで大きく変化しました。その原動力となったのが、平成12年に結成された「全国犯罪被害者の会」通称「あすの会」です。
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