「アイム・ジャパン=
国際人材育成機構」は、1991
年に
設立された
外国人技能実習生の
国内最大の
受け入れ団体で、10
年前に
公益財団法人に
移行しました。
ホームページなどによりますと職員は300人余りで、海外を含めて合わせて20の拠点があります。
常勤の理事は会長を含めて7人で、この中には外国人技能実習制度を所管する厚生労働省と法務省のOBも含まれています。
アイム・ジャパンはインドネシアやベトナムなどアジアの5か国の政府と協定を結び、日本で唯一、各国の政府から直接派遣された実習生を受け入れているということです。
実習生はおよそ5か月にわたり日本語などの研修を受けたうえで、全国のおよそ2000の会員企業に配属されます。これまでに受け入れた実習生は合わせて6万人を超え、現在はおよそ1万人が日本に滞在しているということです。
財源は会員企業から集める実習生の指導費などで、決算報告によりますと、2019年度の収益は39億4000万円余り、一般企業の純利益にあたる「一般正味財産増減額」は2億1000万円余りに上っています。
公益財団法人は税制上の優遇措置があり、公益目的の事業については非課税となっています。
柳澤前会長とは
柳澤共榮 前会長は
旧労働省の
出身で、1993
年にアイム・ジャパンに
入り、
理事長などを
歴任したあと、
公益財団法人に
移行した2011
年から
おととし12
月までの
およそ9
年にわたって
トップの
会長を
務めました。
調査報告書によりますと、旧労働省に在籍していた当時の人脈を生かすとともに、海外政府の要人と直接交渉するなどしてその手腕を発揮し、業務全般を取りしきっていたということです。
柳澤前会長「特定の業者に特別な利益与えた認識全くない」
調査報告書の
内容について、
柳澤前会長はNHKの
取材に対し「
特定の
業者に
特別な
利益を
与えたという
認識は
全くない」と
主張しています。
このうち、知人が経営する会社などに優先的に物品や業務を発注していたという指摘について、前会長は「結果として随意契約が多かったのは事実だ」としたうえで「いずれも内部規程の例外にあてはまるケースで、問題はないと考えている。また、個々の契約については担当理事に任せており、優先的に発注するよう指示したことはない。知人の会社の見積もり価格が安かったため、結果的に発注が多くなっただけではないか」と説明しています。
一方、アイム・ジャパンは取材に対し、調査報告書について「おおむね誤認はない」としたうえで、一連の取り引きが公益法人認定法に違反するという指摘については「公正性を欠き、取り引きの規模が大きかったことも事実だが、前会長の知人が経営する会社がどの程度の利益を上げていたのかは確認できず、『特別な利益』にあたるとの認識には至っていなかった」としています。
そのうえで「報告書の指摘を踏まえ、去年4月以降、この会社などとの取り引きをすべて解消した。コンプライアンス体制を整備し、監査体制の充実を図るなどの改善策を実施している」とコメントしています。
優先発注 前会長の知人女性経営の会社などに
第三者委員会の
調査報告書によりますと、アイム・ジャパンが
物品などを
優先的に
発注していたのは、
都内に
ある合わせて5つの
株式会社や
公益財団法人です。
このうち3つは前会長の50代の知人女性が社長や代表理事を務め、残りの2つはこの知人がアイム・ジャパンに紹介したということです。
取り引き額が最も多いのは、知人が社長を務める職業紹介サービスや飲料水の販売などを行う株式会社で、9年間で合わせて4億6000万円余りに上っています。
調査報告書によりますと、前会長は知人とふだんから食事やゴルフに出かけていたほか、知人が所有する都心のマンションの部屋を借りて住んでいることも確認されたということです。
また、海外視察をする際には知人の会社から商品を購入し、土産として持って行くこともあったとしています。
知人との関係について、前会長は取材に対し「食事やゴルフは年に数回程度で、費用は折半している。マンションの部屋も社会通念上相当な家賃を支払っており、特別な関係はない」と主張しています。
また、知人は取材に対し、代理人の弁護士を通じて「公益財団法人内部の問題であり、営利企業として業務を多く受注しようとすることに何ら問題はない」とコメントしています。
専門家「かなりずさんな発注が繰り返されていた」
第三者委員会の
調査結果について、
公益法人の
制度に
詳しい淑徳大学の
鏡諭教授は「
調査報告書を
見るかぎり、かなりずさんな
発注が
繰り返されていたことが
分かる。
公益財団法人は、
国の
認可の
下で
税制上の
優遇措置を
受けており、
国の
支援という
点では
補助金と
同じだ。
このため、
公益性や
公正性が
担保されなければならず、
特定の
企業などに
特別の
利益を
与えるようなことがあってはならない。
また、
不適切な
取り引きが
何年も
続いていたことを
考えると、
組織のガバナンスやコンプライアンスに
問題が
あると
言わざるをえない。
監督官庁で
ある内閣府は、こうした『
公益法人の
名を
借りた
業者』が
出ないよう、
認定の
取り消しも
含めて
積極的に
監督する
必要がある」と
指摘しています。
内閣府の委員会 報告内容をもとに調査へ
調査報告書を
受けて、
公益法人を
監督する
内閣府の「
公益認定等委員会」はことし3
月、アイム・ジャパン
に対し、
一連の
経緯などについて
報告を
求める文書を
送付しました。
公益法人認定法では、公益財団法人は不特定多数の利益の増進に寄与することとされていて、特定の企業などに特別な利益を与える行為は禁止されています。
NHKが入手した文書によりますと、内閣府はアイム・ジャパンについて「特定の営利法人への特別の利益の供与に対するその後の対応をはじめ、公益事業を行うのに必要な経理的基礎および技術的能力について、重大な疑義を抱かざるをえない」としています。
そのうえで、一連の取り引きが公益法人認定法に違反するという認識があったかどうかに加え、前会長に権限が集中していた状況を理事会が監督できなかったのはなぜか、調査報告書で問題を指摘されながら前会長に対して責任を求めず、3000万円を超える退職金も支払われているのはなぜか、といった点について報告を求めています。
これに対し、アイム・ジャパンはすでに文書で回答したということで、内閣府は今後、その内容をもとに調査を進め、運営の抜本的な改善を求める「勧告」などの措置をとるかどうか判断することにしています。
約30年前のコメ輸入めぐる 日米交渉の内幕 外交文書で明らかに
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Source: NHK
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Source: NHK
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Source: NHK
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Source: NHK
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