安保あんぽ関連かんれん法ほうは「憲法けんぽう9条じょう違反いはんとはいえず」仙台せんだい高裁こうさい 初はつの憲法けんぽう判断はんだん

2015年ねんに成立せいりつし、集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんの行使こうしを可能かのうにした安全あんぜん保障ほしょう関連かんれん法ほうについて、福島ふくしま県けんの住民じゅうみんなど170人にんは戦争せんそうの放棄ほうきを定さだめた憲法けんぽう9条じょうに違反いはんし、平和へいわ的てきに生いきる権利けんりが侵害しんがいされたなどと主張しゅちょうして、国くにに賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえを起おこしました。

去年きょねん2月つき、一いち審しんの福島ふくしま地方ちほう裁判所さいばんしょいわき支部しぶは憲法けんぽう判断はんだんをしないまま訴うったえを退しりぞけ、原告げんこく側がわが控訴こうそしていました。

5日にちの二に審しんの判決はんけつで、仙台せんだい高等こうとう裁判所さいばんしょの小林こばやし久ひさ起おこし裁判さいばん長ちょうは「武力ぶりょくの行使こうしについて、政府せいふの国会こっかい答弁とうべんで国民こくみんが受うける犠牲ぎせいの重大じゅうだい性せいなどから客観きゃっかん的てき、合理ごうり的てきに判断はんだんして要件ようけんを満みたす場合ばあいに限かぎられるという、厳格げんかくで限定げんてい的てきな解釈かいしゃくが示しめされており、今後こんごの政府せいふの行動こうどうにおいて憲法けんぽう上じょうの重おもみを持もってしっかりと守まもられるべきものであることが前提ぜんていとなっている」と指摘してきしました。

そのうえで「政府せいふの憲法けんぽう解釈かいしゃくで一貫いっかんして許ゆるされないとされてきた集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんの行使こうしが、安全あんぜん保障ほしょう関連かんれん法ほうによってこのような限定げんてい的てきな場合ばあいにかぎり憲法けんぽう上じょう容認ようにんされるとなったとしても、憲法けんぽう9条じょうの規定きていや平和へいわ主義しゅぎの理念りねんに明白めいはくに違反いはんし、違憲いけん性せいが明白めいはくであると断定だんていすることまではできない」などとして訴うったえを退しりぞけました。

原告げんこくの弁護べんご団だんによりますと、同様どうようの裁判さいばんは全国ぜんこくで25件けん起おこされ、これまでに言い渡いいわたされた判決はんけつは、安全あんぜん保障ほしょう関連かんれん法ほうが憲法けんぽうに違反いはんするかどうか、判断はんだんを示しめさないまま訴うったえを退しりぞけていて、憲法けんぽう判断はんだんが示しめされたのは今回こんかいが初はじめてです。

原告げんこくは「不当ふとう判決はんけつ」

判決はんけつが言い渡いいわたされたあと、裁判所さいばんしょの前まえでは原告げんこく側がわの弁護士べんごしが「不当ふとう判決はんけつ」と書かかれた紙かみを掲かかげました。

原告げんこく側がわの広田ひろた次男つぐお弁護士べんごしは報道陣ほうどうじんに対にたいし、「これまでの判決はんけつとは違ちがう、踏み込ふみこんだ実体じったい的てきな判断はんだんをしたが、こちらの意いに沿そわない内容ないようだった。政府せいふの見解けんかいを補強ほきょうするような内容ないようで非常ひじょうに残念ざんねんな結果けっかだ」とコメントしました。

松野まつの官房かんぼう長官ちょうかん「国くにの主張しゅちょうが認みとめられた」

松野まつの官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「国くにの主張しゅちょうが認みとめられたと承知しょうちしている。2015年ねんに成立せいりつした平和へいわ安全あんぜん法制ほうせいにより、日にち米べい同盟どうめいはかつてないほど強固きょうことなり、抑止よくし力りょくや対処たいしょ力りょくも向上こうじょうしている」と述のべました。

その上うえで「政府せいふとしては、これまでの安全あんぜん保障ほしょう上じょうの施策しさくの積み重つみかさねを踏ふまえ、現下げんかの安全あんぜん保障ほしょう上じょうの諸しょ課題かだいにしっかりと対応たいおうしていく」と述のべました。

また、防衛ぼうえい省しょうも「国くにの主張しゅちょうが認みとめられたものと受け止うけとめています」とコメントしています。